デフレーションの解釈 | くらえもんの気ままに独り言

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 本日の三橋貴明さんのブログでデフレーションの定義について述べられていたので、私もデフレーションの解釈について考えてみようと思います。ちなみに三橋さんのブログと当該ブログにおける私のコメントは以下の通りです。


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デフレーションの定義(前編)

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11871778456.html#cbox


『8. 「定義」というよりは「解釈」

デフレーションの「定義」の問題だと思います。言葉としての定義は、この場合はどうでもよく、実質的な意味、国民の生活に直結した意味における定義です。
(A)デフレーション:物価の下落が「所得の縮小」を引き起こし、国民の実質賃金が下落し、貧困化する
(B)デフレーション:物価の継続的な下落
 わたくしは、もちろん(A)の定義に基づき、「デフレ」という言葉を使っています。
(三橋さんのブログ内の文章の引用です↑)

 この場合、「定義」というよりはデフレという言葉に対する「解釈」という表現の方が正しいような気がします。もちろん(B)の方はデフレのほんの一側面を見ているに過ぎないため、間違った「解釈」であると言えますが。

 デフレの語源を調べるとラテン語のflare「吹く」から来ているようですね。in-flareで吹き込む、膨らます、それに対し、de-flareで吹き飛ばすという意味になるようです。そこからdeflate「(空気を)抜く」「しぼませる」という言葉になったようです。

 膨らんだものがしぼむというイメージからすると、バブル崩壊とデフレの関連が思い浮かべることができます。一部の人が垂れ流している「モノよりカネが少ないとデフレになる」みたいな珍説はデフレの意味をよくよく理解できていないためのものでしょう。
くらえもん 2014-06-06 12:44:09
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 定義で言えばデフレーションとは物価の継続的な下落ということになってしまうので、おそらく三橋さんはデフレーションの「解釈」の問題について述べられていたのだと思います。

 三橋さんが「解釈」の意で定義という言葉を使ったと仮定したうえで書きますが、デフレーションとは何かと考えたときに、(B)の物価の継続的な下落とだけ捉えた場合には、デフレーションがどういうものであるかを適切に表しているとは言えません。あくまでもデフレーションの性質の一部を「説明」しているにすぎません。

 一口にデフレーションと言っても、「物価の下落」以外にも「需要不足」「供給過剰」「資産価値の暴落」「マネー不足」「実質賃金の低下」「経済規模の縮小」という性質もデフレーションという言葉には含まれているのではないでしょうか。物事は多面的に捉えないと、そのものの本質を見ることができないということでございます。

 さて、上記にもあげましたが、デフレーションについて「需要不足」と「マネー不足」という2つの見方がありますが、この両者のうち、どちらがデフレーションの本質に近いのかということについて比較検討してみようと思います。

①デフレーションは需要不足が原因である

 つまり供給に対して需要が少なければ物価が下がるということですね。それでは、簡単な例で考えてみましょう。

例)1000円の品物を100個作りました。が、しかし70個しか売れませんでした。

 さぁ、この値段設定では30個余ってしまいます。このままでは30個分まるまる損してしまいますので、どうにかして売りたい。ということで、売り手側は販売価格を下げるのではないでしょうか。

 そう考えるとデフレーションは需要不足によって起きるということは正しいような気がします。

 ちなみに「「個別価格の下落」は「物価の下落」とは違う。」と言い張っているお馬鹿さん(というかJKリフレ信者の方々ですが)がおりますが、彼らの主張はこうです。個別価格が下がっても、その分手元にお金が残って別のモノに対する消費が増えるので物価は変わらないとのこと。

 この考えの前提ですが、

1.全ての人が手元に残ったお金を全て他のモノに対する消費へ回す
2.個別価格を下げた売り手の所得は変わらない

 でございます。

 そもそも需要不足が起こるという考え方の前提にデフレスパイラルにより「所得が減り続ける」、「雇用が不安定化していく」というものがありますので、やはり手元に残ったお金を使い切るようなことは心理的には考えにくい思いますが、百歩譲って全ての人が手元に残ったお金を全て他のモノに対する消費へ回したとしましょう。しかし、買い手側の手元にお金が残った分、確実に売り手側の所得が減ります。そうすると売り手側の方の消費が減ってしまうので、個別価格の下落を打ち消すような物価の上昇圧力は発生しなくなってしまいます

 つまり、個別価格の下落は物価の下落へ寄与すると考えた方がよさそうです。

 ありえない前提をもってきて、さも一般的に通用するようなモノの言い方はJKリフレ信者によく見られる手法なので騙されないように気をつけましょう。

 それでは、二つ目の見方について考察してみましょう。

②デフレーションはマネー不足が原因である

 こういう言説を垂れ流しているのは誰かというと、そう、JKリフレ信者の連中でございます。
 マネーという言葉にも色々な意味がありますが、彼らはよく「日銀がお金を刷ればオッケー」ということを言っているので、このマネーとは「マネタリーベース(日銀が発行した通貨のこと)」を表していると考えることにしましょう。

 ちなみに彼らの主張は以下の通りです。

 マネーの量よりモノの量が多ければ物価は下がる。マネーの量よりモノの量が少なければ物価は上がる。つまり、マネーの量を増やせば物価上昇率は上がる

 ・・・・・・
 What?Σ(゚д゚;)

 そ、それではこの言説の前提条件を考えてみましょう。(※)

1.デフレ時にはマネタリーベースが絶対的に不足している
2.マネタリーベースを増やせば金利が下がる
3.金利が下がればお金を借りる人が増えて投資が増える
4.増える投資は住宅投資・設備投資である

 なんか、最近口すっぱく言っている気もしますが、設定された前提条件が現実に即しているかどうかということが肝心なので見てみましょう。

1.デフレ時にはマネタリーベースが絶対的に不足している

 1998年以降、日銀準備預金はブタ積み状態(準備預金額が法定準備預金額をはるかに超えている=日銀がお金を刷ったけど借りてくれない状態)となっておりますので、マネタリーベースは十分すぎる量であったということが分かります。

(参考)
「日銀理論」を取り戻そう
リフレ派をフルボッコにしてみる

 ・・・・・・

 もうすでに前提条件を満たせていないので、これ以上は必要ないのですが、マネタリーベースをこれ以上いくら増やそうがゼロ金利政策がとられている以上は金利は下がりようがないし、金利は最低水準なのに投資はなかなか増えませんでした。

 つまり、デフレーションの原因はマネー不足というのはウソだったということのようですね。

 さて、詐欺師のJKリフレ信者はこう反論するでしょう。「いや、マネタリーベースを増やせば金利は下がらなくても実質金利は下がるから投資が増えるんだ。」と。

 実質金利とは金利(名目金利)から物価上昇率を引いたものですが、この考えの前提は以下の通りでございます。

1.マネタリーベースを増やせば物価が上がる

 ・・・・・・
 ・・・・・・

ふざけとんのかいっ!!!!!!!!!!!ヽ(`Д´)ノ

 いやはや、彼らは頭の構造がおかしいのでしょうか・・・?それでは、この考えの前提条件はというと・・・※に戻る。


 最近では彼らはこんなこと言っているようです。「マネタリーベースの増加量は重要じゃない。大事なのは日銀のスタンスだ。コミットだ。インフレターゲットだ。期待に働きかけるんだ。」と。

 さっきまで、デフレーションの原因はマネー不足とか言っていなかったっけか?では、日銀のスタンスetc.で物価が上がるという考えの前提は?

1.マネタリーベースを増やせば物価が上がる
2.またはマネタリーベースを増やせば物価が上がると期待させれる
3.が、日銀の意思がしっかりしていなければマネタリーベースを増やしても物価は上がらない

 また・・・(-"-;A

 もう一回※に戻るかい??

 それに2.ですが、銀行に積んであるお金が増えたら、人々はなぜ物価が上がると思うのでしょうか?(なんでもプラシーボ効果(実際に効果はないが、効果があると思えば効果が表れる)だと言われていますが・・・。)

 しつこいようですが、この考えの前提ですは以下の通りです。

1.人々はマネタリーベースを気にして買い物すべきか判断する
2.マネタリーベースを増やしても物価に影響がないということを人々が知らない

 1.2.を満たすのなんてJKリフレ信者くらいしかいないんじゃないですかね・・・。いや、JKリフレ信者たちもマネタリーベースが増えるのを見て買い物を増やすかを判断しているのか怪しいもんですが。

 はっきり言いましょう。彼らは頭の構造がおかしいのです。
 それでは、最後にもっとひどい番外編を。

③デフレーションは物価が下がることが原因だ

 はいΣ(゚д゚;)??

骨太の方針:「もはやデフレではない」…原案が判明
http://mainichi.jp/select/news/20140605k0000m020155000c.html

 以下、一部抜粋
『「(2013年度の消費者物価指数の伸び率が5年ぶりにプラスになるなど)もはやデフレ状況ではなく、デフレ脱却に向けて着実に前進している』
『アベノミクスが効果を発揮するには「財政規律の堅持が求められる」とし、政策経費を国の借金なしでまかなえるかどうかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)を、20年度までに黒字化する目標の堅持を明記。』

 つまり、円安による輸入物価上昇、消費税増税(およびそれに伴う駆け込み需要)、制度変更による公共料金値上げによって物価が上昇をしたことで、もはやデフレではないということが政府の見解のようです。

 では、この発想の前提はどうなっているのでしょうか・・・?

1.物価を上げさえすれば景気は良くなる
2.物価が上がっていくのであれば、消費や投資を前倒しするはず

 2.は先の消費税増税前の駆け込み需要も見られたように現実世界との乖離は少なそうですね。では、1.はどうか?
 以前のエントリーでも示した通り、4月以降、消費や投資は激減している様子。物価は上がったはずなのに・・・。景気が良くなれば物価が上がるということはあっても、物価を挙げれば景気が良くなるというのは必ずしも言えないのではないでしょうか。

 それでは、消費税etc. を半永久的に上げ続けるか?

 いずれ国民の財布がすっからかんになってしまうんじゃないでしょうかね(-。-;)


今回のまとめ
現実との関わり合いにおいて、デフレーションは需要不足であるという解釈がこの中ではデフレーションの本質に最も近いのではないでしょうか。

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