『国家のツジツマ』・その2 | くらえもんの気ままに独り言

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 前回に引き続き、『国家のツジツマ』の感想になります。今回は第二部になりますが、ここでは改革神話がどのように生まれて現代で猛威を振るっているのかということを中世~近代ヨーロッパの歴史をもとに議論が展開されております。


 さて、付録のDVDを視聴したのですが、画質が悪い・・・o(TωT )

 ネット動画の方は音声がひどかったので、聞きやすくなった分はよいのですが、ちょっと不満・・・。

 (再生機器によっては画質・音質が粗くなるとは書いてありますが、トホホですね)


 では気を取り直していってみます。


第二部『改革神話はどこから来たか―近代世界の軌跡』


・理性と進歩への信頼

 ちゃちくて支離滅裂な物語に依っていると行き詰まうのですが、その時に現れるガラガラポンして一から作り直せばよいという考えは進歩主義・合理主義に基づくとのことです。要するに人間は必ず進歩するから、ガラガラポンすればよりよいものが作れるという考え方ですね。

 技術とか文明みたいなのは右肩上がりに進歩しているようなイメージはありますが、統治システムや文化・芸術みたいなのは日々退化していっている気もしますが(;^_^A 改革大好き人間たちは意識的か無意識的か知らないですけど、人間は必ず進歩するものだと思っているのでしょうね。


・合理主義を生み出したもの

 十七世紀のヨーロッパでは血みどろの宗教戦争があって、これを収拾するために宗教の代わりに理性を人々の共通の基盤としようとしたところから合理主義が生まれたようです。約300~400年前に合理主義なるものが生まれたとは意外でしたね。いや、不勉強なだけですが世界史の授業で習った記憶がないですねσ(^_^;)。

 三十年戦争ではドイツにおいては総人口の1/3以上が命を落としたとか・・・。当時の日本は江戸時代で天下泰平?だったというのに、野蛮ですなぁ・・・。 


・十八世紀に何が変わったのか

 合理主義で落ち着いたかと思いきや、十八世紀に入ると、産業革命・フランス革命でまたガタガタになっていったようです。そこで、そのブレーキ役として保守主義が誕生するわけですね。世界史の授業的には産業革命もフランス革命も割といいイメージだったんですが、民衆の生活はおかげでメチャクチャになっていたみたいですね(;^_^A

 ちなみに佐藤氏曰く合理主義は二元論的思考が特徴のようです。


・「進歩の暴走」だったフランス革命

 合理主義は理性の力で理想的な社会を作れるというところに至り、産業革命の始まりもあり、人間は必ず進歩すると思い込み、ガラガラポンに励んだのがフランス革命ということでしょうか。しかし、やりすぎはよくないということで、復古の機運が高まるのですが、産業革命による商業の暴走は誰も抑えれなかったと。進歩すること自体が弊害があるのか、進歩すると思い込むことが問題なのか、悩ましくはありますね・・・。


・なぜコールリッジが重要なのか

 産業革命が本格化すると当時のイギリスはデフレ不況に陥るのですが、デフレ不況というのは皆さんもご存じの通り、社会を破壊していきます。テクノロジーの進歩ってよいことばかりではないんですね。思いつくだけでも失業者は増えそうですし、デフレの悪化にもなりそうですし、格差拡大や社会の不安定化の一因にもなりそうです。いや、便利なのはいいのですが、チャモチャ星人みたいに・・・ゲホッ。

 まぁ、そんな当時に適切な処方箋を提示したのが保守思想家で詩人のコールリッジだったわけですね。


・百年に一度は行き詰まるのが世の中

 現代のデフレ不況も歴史的に見れば百年に一回はやってくるもので、コールリッジといい、ケインズといい、高橋是清といい対処法の仕方は示してきているんだから、とっとと解決しなさい\(*`∧´)/ 


・カネは水、政府は庭師

 庭園を国家経済に例えたコールリッジの話ですね。詳しくは中野氏の著書『保守とは何だろうか』を参照。素晴らしい庭園を造るには庭師の力が必要ということです。同感。


・自由主義は「庭師不要論」だ

 水さえジャブジャブ流せば、庭師などいらないというのがリフレ派(もといデフレ派)の理論でしたっけ( ̄∀ ̄)

 異次元緩和の話は置いといて、竹中平蔵氏みたいな自由主義者はこの時代からいて、政府は市場に介入しない方が良い、自由ですよ、自由が素晴らしいんですよ、とほざいていたみたいですね。産業革命以降、自由主義が跋扈して社会を壊そうとしていたのを止めようとしたのが保守主義および社会主義というわけです。


・格差による国民分裂の悪夢

 産業革命直後のイギリスは今の日本(世界と言ってもいいか)みたいに自由主義が悪いことやってたんですねぇ。この時はまだ保守主義社会主義自由主義をくい止める役割を果たしていたというのに・・・。


・保守が反社会主義になった過程

 自由主義を抑え込んだと思ったら、今度は社会主義が大きい顔をするわけですね。社会主義は庭園の話で言うと、完璧な庭師さえ作ればよいということで、合理主義の観点からいえば自由主義社会主義は同質のものと言えそうです。まぁ、社会主義が大きく出過ぎたため、保守主義自由主義は手を組んで結びついてしまったというわけですね。


・「自由の勝利」に酔ってはいけない

 社会主義が自滅して滅びるわけですが、保守主義自由主義は手を組んで社会主義を倒したと錯覚、そして結びついたまんま自由バンザーイってやってるわけですね。保守主義さーん、行き過ぎた自由はよくないんじゃなかったですっけ?


・日和見というバランス感覚

 左翼から見れば右翼に見えて、右翼から見れば左翼に見えるのが保守主義者の特徴のようです。日和見ってなんか言葉のイメージ悪いなぁ(;^_^A

 そう言えば中野氏なんかは某所ではよく共産主義者とかアカとか言われてますね(笑)保守として合格ということでしょうか。


・経済学は人心も支配できる?

 日銀はカネを刷ることで人心を支配することができるそうです(棒)。計画経済も可能ですね(苦笑)。

 合理主義という観点ではリフレ派含む新自由主義者も社会主義者も同類です。


・自由の中心で、改革を叫ぶ

 現代の保守主義自由主義と一緒になって自由とか改革を叫んでいる始末・・・。もはや保守ではないですが。さて、行き過ぎた自由主義を止める勢力が今は不在だということが問題ですね。リーマンショックで新自由主義の間違いは証明されたようなものだから、自由主義はとっとと退場してほしいんですが(-"-;A


 以上が、第二部の感想です。この流れが真の物語とするなら、問題の解決策としては保守は新自由主義と手を切れということになりますでしょうか?


 欧米の歴史を第二部では見ていきましたが、第三部以降では日本固有の問題にスポットが当てられております。お楽しみに。



今回の内容はこちらの動画で。

対談・保守はゴジラを夢見るか 第2回

http://www.youtube.com/watch?v=x50ziZltIHk



くらえもんが至高のギャグマンガ「ドラえもん」を独自の視点でおもしろおかしく解説!興味のある方は下記のエントリーにまとめを作っていますので是非ご覧ください。