もう一つのフィリップス曲線 | 秋山のブログ

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フリードマンの戯言が相当市民権を得ていることにいちいち腹が立つ。そこでフィリップス曲線についてさらに補足。

そもそもフィリップス曲線は、物価上昇率と失業の関係ではなくて、賃金上昇率と失業の関係である。それは100年のいついかなる時も極めて相関が高かったのだ。賃金の上昇率と物価の上昇率はよく一致するので、それならこちらでも成り立つ。(過去においては)実際に成り立った。というのがそもそもの話である。本来賃金が上がることと失業率が低いことは正の相関があるのだ。

実質賃金の低下が失業率を改善するならば、賃金上昇率は大凡負の相関を示すはずであろうし、少なくとも正の相関は示さないはずであろう。賃金の硬直性も、この正の相関からは否定的だ(あっても大した影響力はない)。

賃金の上昇が雇用を減少させるという根拠はそもそも何かと考え、フリードマンの「資本主義と自由」を読めば、消費者の商品選択と、経営者の雇用計画という全く違うものを混同している誤りによるということが分る。同書にはこういう混同が目白押しだ。
一応引用しておこう。
P234
『そこでの雇用は必ず減ることになる。これは、値上げをすれば売れ行きが減るのと同じ理屈だ。』
消費者には買わない、又は別の物を買うという選択があるのに対して、雇用者の場合は賃金が上がったあげく雇用を減らせばますます利益が減るということからそのような選択はありえない。消費と生産を同じに考える程愚劣なことはないだろう。必ず減るどころか大凡減るであっても誤りだ。