認知症と介護 | 秋山のブログ

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リンクにあげているたけなか氏のブログはお勧めである。しかしもちろん全ての意見に賛成というわけではない。私の本職の医療に関して誤解のある発言を見つけたので、コメントを書いてみたら字数オーバーではねられた。折角だからこちらに流用しようと思う。(アメーバからトラックバック機能がなくなったのは残念だ)
問題の記事はこちら。(ちなみに自ブログで今まで書いてきた医療関連はこれこれ

問題部分を引用する。
『経済全体で考えると、ひとり認知症が増えれば、それを介護するために「他の生 産的な労働」から現役労働力を移転させなくてはならない。これで経済が富むことがきるか? ひとつ対策として考えられるのことは、65歳の引退人口でも元 気で働くことを希望する(あるいは必要とする)方々はいるわけだから、65歳以上が65歳以上の認知症患者を介護する「老-老」介護体制ではなかろうか。  

若い世代は、認知症老人の介護という未来のない職ではなくて、理系でも文系でも良いから日本の将来を発展させる仕事に就いて欲しい。』

実際に老人が老人を介護するという状況というのは現場では多々あって、現場ではさまざまなトラブルのもとになっており、老老介護は介入して改善を必要とするキーワードとなっている。推奨すべきものではなくて、むしろ避けるべきものということだ。

介護保険というのは本来秀逸なアイデアだ。医療において医師でなくてもできる部分を抜き出して、希少で給料の高い医師を使わずコストを下げる、また特化した専門の教育を受けた人間、特化した施設を使うことによって質も量も逆に上げるという、一石三鳥以上の効果を狙っている。
ところが、これを台無しにしたのが、あまりにも低すぎる価格設定だ。低い価格設定は即ち介護職員の給与に直結し、過重労働のもとにもなる。介護は決して簡単な仕事ではなく、介護職員は相応の能力が必要であるのに、これではまともに運用できるわけがない。
さらには、ありえない価格設定で効率化を台無しにしたのに飽き足らず、施設から自宅へなどと言って、より非効率な方向へ(まとめて看た方が効率がいいのは当然)舵をとろうとしている。

諸外国と比較すれば日本の医師数(人口比)は極端に少なく、他の医療スタッフの数も相当少ない。本来はもっと多くの労働力を投入して当たり前なのだ。医師は増やせなくても、働きたくてもまともに働けない若者はたくさんいるわけで、お金のやりくり上問題がおこっても、労働力としてはそうそう足らなくなる事態にはならないだろう。

介護制度を台無しにしている主犯は、木を見て森を見ない財務省と、間違った政策をおこなう政治家で、お金の問題の解決は、たけなか氏が推奨するステグリッツ教授の著作に従うだけでよいだろう。