ここ何戦かの岩佐擁護論~判定だからKOに劣るわけでない~ | リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

マニアの隠れ家を目指します。
中津の生渇きの臭い人はお断り。

$リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論


ここ3戦ほど判定続きの岩佐の評価が落ちてます。岩佐本人もインタビューでは思った通りの事が出来ていないと発言しており、格下(と見られる)相手に爽快なKOを期待しているファンをヤキモキさせてはいるものの、私はそれほど心配しなくてもいいと思ってます。
そもそも岩佐本来のスタイルが柔軟なボディワークと絶妙な距離感、相手の攻撃の起点に回り込んでパンチを先置きしていくチェスの様な試合運びであり、KOを狙って量産するタイプではないからです。勿論、カウンターのタイミングやハッとさせるパンチのキレがあるために一瞬で相手を切って落とすようなダウン・シーンを現出させることはあるものの、基本、相手にダメージを残して判定勝ちを狙うスタイルではないかと推察します。
タイミングとキレでダウンを誘発するタイプですから、然るべきタイミングが捕えられなければフル・ラウンドを戦うことになりますが、決してペースを渡さずに相手にダメージの跡を残して(ほぼ)フルマークの判定を勝ち取っていきます。
フルマークの判定を量産する選手としてサーシャ・バクティンが思い浮かびますが、サーシャと違うのはサーシャは徹頭徹尾、自分の距離を崩さず、自分の不利となる距離やアングルに決して足を踏み込まなかったのに対して岩佐やツニャカオは相手の出方によって柔軟に対応していくところでしょうか。だから比較するとサーシャほどの安定感はないものの、試合に起伏があり、サーシャより試合が見ていて面白いという違いがあります。後は直接対決しても岩佐の方が強いとファンに認識させられれば完璧です。サーシャは引退してしまったのでそれぞれのファンの頭の中でイメージとの戦いになりますが・・・

KOはボクシングの華であり、勝ち方としてこれ以上のものは無いでしょう。しかし、(ほぼ)フルマークの判定勝ちもまたKO勝ち以上の評価を享受して然るべきでは無いでしょうか。今回のジェッカー・ブハウェ戦は前回のマーク・ジョンヤップ戦で見られた集中力の欠如も無く、キッチリとダウンを奪って完勝した内容だっただけにKOで無かったからといってスランプはおろか、もう終わった様な短絡的な意見を見かけると何を見てるのかとガッカリさせられます。
個人的な意見ですが、KOにはラッキー・パンチという言葉もあり多少の偶発性が重なることで現出することがあります。(無論、本当の意味でのラッキー・パンチは無く、全てのパンチは必然の上に成り立つと思っていますが。)
しかし、判定勝ちはジャッジが判断するという第三者の主観を介入させてしまう余地はあるものの、長いラウンドを相手にダメージを与えて、自分でペースを握るということを考えると偶然の入る余地は極めて少なくなるのではないかと思います。試合時間が長くなるほど自分の引き出しを開けなければならないわけですし。例えば徳山の凄さはナバーロやキリロフみたいな元トップ・アマにペースを掴まずにフル・ラウンド戦い抜いたことでありますし、川島郭志もリアルタイムでは鬼塚や辰吉に比べて地味といわれていたものの後年の評価は彼らよりも上でした。
ワッと湧きあがる様な熱狂でなく、会場がピーンと張り詰めた緊張感で静まり返る様なそのような試合を岩佐に期待したいところです。とりあえずOPBF王者の椎野へ挑戦と噂がありますが、個人的には日本王者の大場浩平戦が見てみたいところです。

※亀一家のフルマーク判定は審判買収込みのインチキ、イカサマの結果なのは賢明な皆さまには言わずともわかるはずです。ま、彼らには「熱狂」も「緊張・緊迫」も産み出す力量も度胸も無い事は言わずとも明白ですが・・・