NOTE/小池静一著「温泉の底力」・・・(2)
本物の温泉の見分け方の1つに、「飲める温泉」というのがある…
循環した古いお湯や、
塩素などの消毒剤が入っているお湯は飲めないからである。。。
(写真は、セブンイレブンで売っている天然水=島根県金城町の温泉水)
:
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飲泉が可能な温泉を増やすことが
温泉文化を守ることに繋がる?・・・
【書誌情報】
小池静一「温泉の底力 日本を元気にする極上の愉しみ」2009年 祥伝社
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【p.104】
本物の温泉は、湧出したお湯に何も加えず、そのままかけ流している
源泉のお湯は
時間が経てば経つほど化学変化が大きくなって、還元性を失う
:
お湯は新鮮であればあるほど、肌にもよい効果を与える
湧いてきたばかりのお湯に浸かることができれば、そでが最も良い温泉
(お湯が湧いている所が湯船=最高の温泉)
【p.106】
本物の温泉
:
1、足元から湧いてくる温泉
・丸駒温泉旅館(北海道支笏湖畔)
・薬師温泉旅館(北海道ニセコ温泉郷)
・酸ヶ湯温泉旅館「千人風呂」(青森県)
・鶴の湯温泉露天風呂(秋田県乳頭温泉郷)
・藤三旅館「白猿の湯」(岩手県花巻温泉郷)
・あべ旅館(山形県赤倉温泉)
・共同浴場「かわら湯」(山形県蔵王温泉)
・川原屋(山形県蔵王温泉)
・鷹泉閣岩松旅館「天然岩風呂」(宮城県作並温泉)
・大丸あすなろ荘(福島県二岐=ふたまた温泉)
・共同浴場露天風呂「砂湯」(岡山県湯原温泉)
・真賀温泉館「幕湯」(岡山県真賀温泉)
・奥津荘男性浴場「鍵湯」(岡山県奥津温泉)
・旅館大橋(鳥取県三朝温泉)
・蛍川荘(大分県川底温泉)
・旅館福元屋(大分県壁湯温泉)
・清風層露天風呂「すずめの湯」(熊本県地獄温泉)
・朝日屋旅館、山荘(鹿児島県白木川内温泉)
・かじか荘(鹿児島県湯川内温泉)
:
2、体に付着する「泡着き温泉」
・大丸旅館「ラムネの湯」(大分県長湯温泉)
・熊谷旅館(島根県小屋原温泉)
・柚木滋生=ゆのきじしょう温泉(山口県)
・泡の湯露天風呂(長野県白骨温泉)
・山口温泉(山梨県)
・韮崎旭温泉(山梨県)
・フサカワ温泉(山梨県)
・玉川温泉(山梨県)
【p.119】
温泉の定義
1948(昭和23)年制定…「温泉法」(現在の管轄=環境省)による規定
:
第2条
『温泉とは、地中から湧出する温水、鉱水、水蒸気、ガス(炭化水素ガスを除く)で次の条件を持たすもの』
↓
「質は別として、温泉法に則ると温泉には違いない、、、」
:
以下3つの条件のうち、1つでもクリアできれば、法的には「温泉」
①温度が25℃以上の温水
②1kg中に含まれるミネラル物質の総量(下記のうちいずれか1つ)
・溶存物質(ガス性のものを除く)/1000mg以上
・遊離炭酸(CO2)/250mg以上
・リチウムイオン/1mg以上
・ストロンチウムイオン/10mg以上
・バリウムイオン/5mg以上
・フェロ又はフェリイオン/10mg以上
・第1マンガンイオン/10mg以上
・水素イオン/1mg以上
・臭素イオン/5mg以上
・沃素(ヨウ素)イオン/1mg以上
・ヒドロひ酸イオン/1.3mg以上
・メタ亜ひ酸/1mg以上
・総硫黄/1mg以上
・メタほう酸/5mg以上
・メタけい酸/50mg以上
・重炭酸ソーダ/340mg以上
・ラドン/20(100億分の1キュリー単位)以上
・ラジウム塩/1億分の1mg以上
③1kgの中に溶けている物質が総量で1000mgの温水
【p.123】
温泉は掘削技術の進歩によって簡単に掘り当てられるようになった
:
地中(下に行けば下に行くほど地圧によって温度は上昇)
100m下がるごとに2℃上昇
↓
1000m地下から掘削した温泉は、それだけで地表よりも20度高いお湯が湧く
(例…地表温度15℃→1000mの地下水は35℃)
【p.124】
新しい温泉施設が得られる許可量の多くは、毎分50~100ℓ
(この程度では、到底、1000人も入る湯船のお湯を賄いきれない)
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お客さんに充分な新鮮なお湯を提供するには
1人当たり1分間に0.5ℓ、できれば1ℓ以上の湧出量が必要
(本来は、規定の10倍ものお湯が必要…p.161)
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不足分を補う方法
・水を加える
・お湯を循環する
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温泉法には、源泉水をどのように利用し、
湯船に注ぎ込むまでの間にどのようなことをしていいのか(いけないのか)
何も規定していない(どう処理しようがお構いなし)
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温泉法=ザル法?
(温泉水がスポイト1滴でも入っていれば温泉)
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2004(平成16)年長野県「白骨温泉」の入浴剤混入偽装
(温泉法的には違反ではないが、、、)
【p.137】
循環湯
いったん浴槽を満たした浴槽水を何度も使い回しするシステム
フィルターなどで濾過した後、消毒して再び過熱したもどを浴槽に戻す
(30分から1時間で1回循環)
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レジオネラ菌による死亡事故
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塩素消毒を保健所行政=各都道府県の条例で義務付け
【p.140】
伝統を捨て「内湯」・集中管理方式への移行(兵庫・城崎温泉)
その昔、
温泉地は共同浴場を中心に宿屋がそれを取り囲むように発展
(宿は泊るだけ、入浴は共同浴場へ)
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時代が下って、全国の温泉宿が
自分の宿専属の湯船=「内湯」を造り始める(契機=城崎温泉)
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1927(昭和2)年に城崎温泉における1軒の宿が内湯を設置希望する
(温泉街全体を管理する「財産区」との間で長い裁判沙汰)
↓
個人の財産権を重視し、内湯を希望する旅館側の勝訴判決
1955(昭和30)年から内湯利用開始
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その後、城崎温泉内の他の施設は、、、
7つの源泉のお湯をブレンドして各旅館や7つの外湯(共同浴場)に配湯
(日本初の集中管理方式による配湯)
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今ではその湯を循環して配湯
(1200トン/日の使用量を、700トン/日に削減する効果)
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全国の温泉地に波及
(全国2万2000軒の温泉宿のうち、7割以上でお湯を循環利用)
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城崎温泉の内湯開始からほぼ20年にわたって、
全国の大きな温泉地の旅館は、温泉地への団体旅行ブームに合わせて
お客の収容能力を高めるために大幅な改築を進めていく。
(大型施設は館内に様々な施設を整えてお客を囲い込み)
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(例)
「お土産品は館内売店に何でも揃えてあります
小腹がすいたら地下1階のラーメンコーナーでどうぞ
館内には何でもありますから!」
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温泉街をそぞろ歩きする姿が徐々に消えていき
周辺土産物店などの商店は閑古鳥が鳴き始める。。。
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肝心の温泉水は増やすわけにはいかない・・・
温泉街の各旅館が競って大型化を目指すので
大型旅館が建ち並ぶ仙台市郊外の秋保温泉中心部にて、、、
(仙台市太白区秋保町湯元字薬師)
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珍しく?
…秋保の場合は館外に出ないと絶対に買えない名物の「おはぎ」があり
この「おはぎ」を売る小売店(地場の食品スーパー)1軒が賑わっている…
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但し、その他の面では館内に全てが揃っているので
街に人通りは少なく、商店街としての連担した街並み景観に乏しい。。。
(単なる、大型ホテル「街区(1街区)」に過ぎない、、、)
【p.147】
温泉水を循環させること=古いお湯を繰り返し使うこと
温泉が本来持っている力は、時間とともに衰えていく。。。
さらに塩素の混入が加わる・・・
(温泉の泉質が塩素によって変化?)
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本来の温泉水(源泉)には、錆びた銀のスプーンを蘇らせる底力
すなわち肌を若返らせる「還元性」を持っているが
塩素の混入はその「還元性」を失い、奪ってしまう。。。
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2005(平成17)年5月「温泉法施行規則改正」
「加水」「加温」「循環濾過」「入浴剤と消毒」を実施している場合に
その旨とその理由を掲示
(但し、掲示の方法・場所に関する統一基準は無い)
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2007(平成19)年の改正「温泉法」
10年ごとに成分分析をやり直すように義務付ける