ドラクエ5冒険日記(31) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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過去のサンタローズへと遡り、
ゴールドオーブを手に入れたカイン。
無口に天空城へと戻り、プサンにオーブを渡す。

天空城は、オーブの力で、再び浮上し、
浮遊した天空城は、カインをどこへでも連れて行った。

カインには行きたいところがあった。
それは、以前、魔法の絨毯で行き損ねた大神殿。
セントベレス山の頂上に位置する、光の教団の本部は、
超低空飛行の魔法の絨毯では登ることができなかった。
今、より高く飛べる天空城の舵を取ることができたカインは、
当然、セントベレス山を目指すことになる。
しかし、セントベレスの頂は、
天空城の浮遊領域よりも、なお高かった。
天空城の操舵室から、なお上を見上げながら、
カインはまたしても、辛酸を舐めさせられることとなった。


ところで、天空城が再浮上したことで、
水没から命を救われた天空人たちがいた。
天空人の老人がこう言う。
あとは、地上に降りたマスタードラゴンが戻るのみだ、と。

かつて、天空城の主マスタードラゴンは、
天空人と人間の間に生まれた勇者と、
人間の仲間たちの冒険の一部始終を天空から眺めていた。
神でありながら人間を蔑んできたマスタードラゴンの目に、
彼らの友情は、それはそれは美しく見えた。
以来、機会があれば、人間界へと降りてみたいと、
浅はかな考えを持った竜の神は、
あるとき、竜としての力を封印し、人間界に降りてしまった。
そして、天空城が墜落したことにも気付かず、
自分の封印を自分で解くこともできず、
ただ、カインに封印を解いてもらうことを
期待するだけの存在になってしまっていた。

もちろん、そんなマスタードラゴンの事情などは知らないカイン。
老人の依頼を受け、竜の封印を解くことを目指す。

カインは、マスタードラゴンに何も期待していなかった。
いや、なんでも願いを叶えてくれるというのなら、
魔界の門を閉じることを願いたかった。
もっと個人的な願いも聞いてくれるのなら、
母マーサと妻デボラの救出を願いたかった。
願いを3つまで叶えてくれると言うのなら、
故パパスを生き返らせて欲しいと願いたいぐらいである。
しかし、そこまでの能力がある存在が、
今、ただ助けを待っているだけなどとは考えられない。
つまり、ただ助けを待っているだけのマスタードラゴンに、
そこまでの能力はない、と、カインは即座に思った。
セントベレスの大神殿まで送ってくれるくらいが関の山だろう。
カインは竜神の力をそう値踏みした。


ゲマはボブルの塔でカインを待っていた。
ゲマには、
カインが竜の封印を解こうとしていることがわかっていた。

ここ、ボブルの塔には仕掛けがあり、
封印の宝玉ドラゴンオーブに辿り着くためには、
「竜の右目」と「竜の左目」という宝玉が必要であった。
ゲマは、このそれぞれの宝玉の番人として、
自らと、手下のゴンズを配置した。
ゲマには、カインを仕留める機会が何度でもあった。
パパスを灰にしたときに、
少年カインの首を鎌で落としてもよかった。
奴隷のカインを理由を付けて処刑してもよかった。
石化したカインを叩き壊してもよかった。
そのいずれも実行しなかったことを
ゲマは、天空城が復活した今になって、後悔していた。
いや、より正確には、ゲマが後悔したのは、
天空城が復活したからではなくて、
天空城が復活したことを知った上司から叱責されたから。
ゲマは、余興気分でカインを生かしておいたのに、
そのカインの活躍がもとで上司に激怒され、
その責任を負わされて、ボブルの塔へと左遷されたのだった。

カインから見たら、憎い憎い父の仇であるゲマだったが、
ゲマから見ても、カインは憎い存在であった。
その憎いカインが、
ゴンズを屠って、ゲマの前に姿を見せた。
ゲマは雄弁にカインを挑発したが、
カインは無言で剣を構えた。

ゲマの攻撃は苛烈だったが、
ブオーンの攻撃を凌いだカインにとってみれば、
どんな攻撃もささやかなものだった。
しかし、カインは、戦いながら、
どうも、ゲマが本腰ではないことを感ずる。
なるほど、今は僕の力量を計っているのか。
カインが感じたことは的を射ていた。
ゲマは、戦況が思わしくなくなると、脱出を図った。
ゲマはまた、雄弁に語りながら脱出し、
カインも、それを追ったりはしなかった。

ゲマとの決着はいずれつける。
けど、まずはマスタードラゴンの封印を解くのが先だ。

カインは、ゴンズとゲマが守っていた竜の両目を手に入れ、
仕掛けを動かし、ドラゴンオーブを手に入れ、天空城に持ち帰った。


この頃、天空城ではひと騒ぎ起こっていた。
天空人に、「プサン」などという名前の者などいない、
と、皆が口々に言い、
プサンは天空人によって捕えられようとしていた。

ここに戻ってきたカイン。
プサンは、待ってましたとばかりに、
カインからドラゴンオーブを受け取ろうとする。

カインは迷った。
明らかに疑わしい状態のプサンに、
この大切なドラゴンオーブを渡してしまっていいのか。
そんなカインにカミュが言う。
プサンを信じて大丈夫、と。
カインが、カミュの発言を
たかが子供、と軽んずることはなかった。
そして、よくよく考えた。
何ゆえにプサンはドラゴンオーブを欲しがるのか。
ドラゴンオーブは、マスタードラゴンを封印した宝玉であるはず。
この宝玉を欲しがる理由は2つある。
自分がマスタードラゴンであるか、
または、マスタードラゴンの復活を妨げる者であるか。

カインは2つの可能性をよく吟味する。
プサンがマスタードラゴンならば、早くそう名乗ればいい。
そうしないのは、復活を妨げる者であるからではないのか。
いや、逆だ。
復活を妨げる者だとしたら、
いかにもマスタードラゴンの化身であるかのように振る舞い、
ドラゴンオーブを受け取りやすい環境作りをしておくはずだ。
プサンの真意はよくわからないが、
どちらの可能性を考えても、
プサンがあまり賢くない者であることが、
カインには感じ取れた。

この賢くないプサンがマスタードラゴンだったらイヤだなぁ、
と思うカイン。
もし、そうなら、
マスタードラゴンは、
自分の城が落城したことも知らず、
トロッコに20年も乗り続けて、
ほんの今しがたのゲマとの対決の苦労も知らず、
簡単にこのドラゴンオーブを渡せと言っていることになる。
故パパスは、こんな竜を探して、あんなに苦労をしていたのか。

この考えに辿り着いたときに、
カインには、マスタードラゴンを復活させることが、
バカバカしいことであるように思えてきた。
そう思うと、
途端にドラゴンオーブに価値がないような気がしてくるカイン。

散々考えた挙句、カインのとった行動は単純そのものだった。
プサンにオーブを渡してみれば、すべてがわかる。
カインは、結局、この考えに辿り着いたのだったから。


オーブの力は、
カインの想像の範囲内だった。
そうでなければいい、というカインの想像は、不幸にも具現化し、
プサンは竜へと姿を変えた。
名前を聞くまでもなく、
それがマスタードラゴンであることはすぐにわかった。
このために苦労してドラゴンオーブを持ち帰ったカインだったが、
結末を知って、ひどく落胆もした。

いや、いいんだ。
大神殿まで連れて行ってくれれば、それでいい。
あとは自分たちでなんとかするから。


目的を果たしたのに、ガッカリ感を否めないカイン。
ガッカリしながらも、大神殿を目指すのだった。


カイン:レベル30、プレイ時間21時間43分
パーティー:カイン、カミュ、クレア、サンチョ、ピエール、ゲレゲレ、ベホマン、ゴレムス





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