ドラクエ4冒険日記(35) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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ルーシアを仲間にし、天空の武具を揃えたカイン。
一行は、ルーシアを送り届けるため、
そして、竜の神様に会うために天空城を目指す。

でもその前に。
ガッカリしているトルネコのためにも、
ヒルタン老人に一言物申したいカイン。
こんな剣がこの世で一番の宝ですか、と。
この程度の宝を求めただけで名声を得たんですか、と。

カインは、すぐにミントスへ飛び、
ヒルタン老人に詰め寄る。
バツが悪くなった老人がどう応対するか、
カインはその反応を待った。
カインの追及に対して、老人の対応は実に巧みであった。
老人は、歳のせいで耳が聞こえなくなっているという演技を
カインにも誰にも悟られることなくやってのけた。
「そなたらなら、きっとその地図の謎を解き明かせるじゃろう!」
ヒルタン老人は、聞こえないフリで、カインの話をやり過ごし、
まだ地図の謎が解けていない体で、一芝居打つのだった。

老人の芝居に完全に引っ掛かったカイン。
ブランカ王と違って、歳が歳だからね。
そうやってトルネコをなだめながら、
渋々と天空城を目指すのだった。

一方、ヒルタン老人はというと、
カインをやり過ごした後、
若かりし頃の眼力はまだまだであったか、と、
過去を遠く見やるのだった。
しかし、
と、老人は独り言を言った。
時に、宝は、そのときには真価を発揮しないこともあるものじゃ。
宝を取るや、すぐに駆け付けたところを見ると、
若い彼らには、まだそのことがわからんのじゃろうて。
ふぉっふぉっふぉ。


さて、ミントスを後にしたカイン一同。
天空城はどこにあるのか。
それはまだわからなかったが、
大海の中央に、浅瀬に囲まれた島があるのを前々から気にしていた。
大空の帝王号を手に入れた今となっては、
何の苦もなく、島に上陸することができた。

着陸と同時に敵襲があった。
大きなコウモリのモンスター。
その名も、夜の帝王。

カインは少し後悔していた。
それは、敵に襲われそうな場所に着陸したことではなくて、
着陸が夜になってしまったことでもなくて、
気球に「帝王」の名を付けてしまっていたこと。
「帝王」なんて、滅多に存在しないと思って、
気球に大それた名前を付けたにもかかわらず、
すぐに別の帝王と出くわしてしまうとは。

この島は帝王で溢れていた。
そして、この帝王は弱かった。
帝王イコール強い、というイメージを勝手に持っていただけに、
そして、強いイメージで気球に名前を冠しただけに、
カインは残念な思いを抑えきれず、
この場で気球の名前をマイナーチェンジした。
気球の新しい名は「オオゾラテイオー」。
これはこれで、速いし強い、という気がしたカインであった。
ただ、カインは、もはやオオゾラテイオーを必要としないことを
この時点では知る由もなかった。


大コウモリの亡き骸を後に、
カインは、ゴッドサイド、という天空に一番近い町を訪れた。
天空に一番近いと聞いて、大喜びしたのは、
ルーシアではなくてトルネコだった。
トルネコは、天空饅頭、天空煎餅、天空最中、天空カステラなど、
天空の商品を発案中だったので。

ゴッドサイドには預言者がいた。
預言者とは、予言を預かる者。
預言者は、
エスタークが蘇り、勇者が倒す、
そして勇者はゴッドサイドを訪れる、
これもすべて予言のとおりなのだと言う。
しかし、それ以降の予言は、全く聞こえないのだと言う。
カインは、この預言者とは初対面である。
「これ以降は全くわからない。」と堂々と言ってはいるが、
本当にこれまでのことが事前にわかっていたのかどうか、
それも怪しいものだ、と思っていた。
地獄の帝王が斃れたのが過去となってしまった今、
「予言が当たった!」と言われても、信憑性に欠ける。
当たったことがわかった後に「当たった」と言っているわけなので。

別の情報として、
空から落ちてきた羽根のある人物がこう言う。
一刻も早く竜の神様にお会いください、
このままでは世界は滅びてしまう、と。

この羽根人間が、天空人だということは、
誰が言わなくても、カインにはわかっていた。
そして、
天空の装備ができるのも天空人だけ、というルーシアの言葉から、
自分も天空人の血を引いていることを理解していた。
ここまでくれば、母である「天女」というのも、
天空人であったことは推測に難くない。
カインは、この町に、
自分の出生の秘密へのヒントがちりばめられていることを
肌で感じるのだった。

しかし、竜の神様に会わなければ世界は滅びる、
とはどういうことか。
少なくとも、予言のとおり地獄の帝王を倒したのだから、
もう少し、人間側に余裕ができても良さそうなものであるのに。

カインはまた考えた。
最悪の事態とは、どういうことか。
それは、地獄の帝王が復活し、デスピサロと手を組み、
黄金の腕輪を使って、進化の秘法を存分に使って、
人間界を滅ぼそうとすることであったはず。
デスピサロが、ロザリーのことで復讐に身を預けるとしても、
カインにとって、それは想定外のことではなかった。
黄金の腕輪と進化の秘法がデスピサロの手にある限り、
デスピサロはいつでも、究極の進化を遂げることができる、
と、カインは考えていたのだから。

つまり、カインが地獄の帝王を倒している分だけ、
最悪の事態から遠ざかっているわけで、
人間側として、
安心ができるわけでも余裕があるわけでもないにせよ、
魔族側もまた、決して余裕がないことを示している。
いや、カインにはむしろ確信があった。
デスピサロ側よりも、こちら側のほうが圧倒的に有利である、と。
デスピサロは、
配下であったキングレオ、バルザック、ピサロナイトを
次々と失っている。
そして、怒りに狂い、沈着ささえ失っている。
一方で、カインは、次々と仲間に巡り合い、
憎しみを拭い去り、人々に勇気を与えてもらっている。
勢力としても、心理状態としても、
カインは、デスピサロに引けを取っていないつもりだった。
カインはまた、デスピサロを哀れにも思っていた。
魔族の若き王として住民から慕われ、
愛する者がいて、
行動力を備えた実力者として君臨していたデスピサロ。
今のデスピサロに、果たして何が残っているだろうか。

もちろん、デスピサロをそこまで追いやった原因として、
人間の仕業があるのは、カインも苦々しい気持ちであった。
しかし、今、カインは、
自分が人間であるのかないのか、それがわからないでいる。
天空人の血を引くかもしれない自分は、
果たして人間側でいていいのだろうか?

カインがデスピサロを許せないと思っていたのは、
まず、シンシアのことがあったからであった。
その憎しみを乗り越えたときに、
人間の平和のためにデスピサロを討ちたいと思うに至った。
しかし、自分が人間でないとすれば、
人間の平和のために尽力することが果たして妥当なのか、
それがわからなくなった。

僕は一体何者なのか?
カインは、その答えを求めて、
天空城へと繋がると言われる天空の塔へと進む。


カイン:レベル30、プレイ時間23時間4分




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