船を造り、灯台へと足を向け、
魔物に狙われながら長旅をしていたトルネコに気を使い、
カインは、一度、トルネコの自宅を訪れることにした。
エンドールで銀行を運営するネネと、その息子ポポロに、
トルネコを再会させてあげようと思ってのことだった。
トルネコは、家族との再会を喜び、
また、銀行がちゃんと運営されていることを安心した。
トルネコは、
つぶれでもしていたらどうしようかと心配していたのだったが、
ネネの才覚からいって、その心配は無用なものであった。
カインもマーニャもミネアも、
その家族愛を見ながら、ほほえましく思う。
そして、マーニャは、さらに結婚願望が強くなった。
いや、マーニャの結婚願望は浅はかなもので、
実際は、
強いカジノ願望を叶えるための、一手段という位置づけだった。
場所は、戻って、コナンベリー。
この港町からネネポポ号に乗って、新しい大陸にたどり着き、
ミントスへと到着したカイン一同。
ネネポポ号に揺られている間に、マーニャは次の妄想を広げていた。
ミントスで商売を成功させたヒルタン老人は、
まだ独身なのではないか、と言うのである。
商売を成功させて、大金を持っているのだったら、
この際、ハンサムでも美男子でもなくてよくて、
ジジイで構わない、とまで言い出していた。
一応独身かどうかを気にしたのは、
トルネコの一件があったからであったが、
マーニャは、
お金もなく、勇猛でもなく、美男子でもないトルネコに、
あっさりと見切りをつけてしまっていたのだった。
マーニャの希望を叶えるつもりではなかったが、
カインは、ミントスに到着するとすぐにヒルタン老人を訪ねた。
老人は、商売について、日々、若者に講演をしていた。
講演中に、ちょっと話しかけるカイン。
老人は、
「商売の真髄は何か?」
と問うてくる。
答えられないでいるカインに対して、
「何もいわないとは天晴れ。そのとおり、沈黙は金なりじゃ。」
と、宝の地図をくれるのだった。
答えを聞いても、まだ意味がわからないカイン。
「沈黙は金」、これがどういう風に商売に絡んでくるのか。
意味はわからなかったが、とりあえず、宝の地図を手に入れ、
まずは喜ぶのであった、何の宝かもわからないでいたのだが。
宝の位置は、この町の東の山脈に囲まれた砂漠の中央を指していた。
ちなみに、ヒルタン老人は、若い頃は冒険家であり、
このミントスで、冒険者の憩いの場である宿屋を開いて、
大成功を収め、そして、当時小さな村だったミントスを
大きくしたという実績がある。
ホフマンは、このヒルタン老人の生き方と実績に惚れ込んでいて、
この町で修行がしたいと言い、パーティーを離れた。
パトリシアと馬車は、カインたちに寄贈された。
カインたちは、馬車をありがたく使わせてもらうとともに、
ホフマンの夢を応援するのだった。
ちなみにちなみに、
マーニャの熱い視線に全く気付かないヒルタン老人。
マーニャの結婚願望、カジノ願望は、まだ叶わなさそうである。
バルザックの一件を忘れたかのように、
カジノの話ばかりする姉を見て、
カインに申し訳なくなってくるミネア。
ミネアの心の苦労も、まだまだ続きそうであった。
さて、ここミントスで、
導かれし7つの光のいくつかと、
出会えそうな占いを出していたミネア。
宿屋に行ってみると、
若い神官が寝込んでおり、
老魔法使いが、その看病をしていた。
老魔法使いは言う。
「わしはブライという者。面識もない方にお願いするのは気が引けますが、このとおりクリフトが病に臥せっております。我が主人アリーナ姫が、ひとりで、病の回復の手段を探しに行ってしまいました。どうか、姫を助けて欲しいのですじゃ。」
マーニャは、ははぁ~ん、と思っていた。
彼らが、ゴッツイ姫の臣下たちだな、と。
ミネアには、ブライもクリフトもアリーナ姫も、
導かれし者であると察しがついている。
トルネコは、伝説の武器を探していて、
すでに、守ってくれるパーティーとも出会っているわけであり、
この老魔法使いには特に興味がなかった。
が、彼らは最初から、カインに判断を一任しており、
カインは、人助けの一環として、ブライの依頼を受けるのだった。
居ても立ってもいられないブライは、
早速、クリフトの看病を宿の職員に頼み、
自らは、カインに同行して、アリーナ姫を追うのだった。
一行は、ミントスで、ソレッタというお城の情報を聞き、
一路ソレッタを目指した。
目指しながら、ブライがぼやいた。
「クリフトのアホーめが。病気が治ったらこき使ってやるわい。」
マーニャもぼやいていた。
「なによ、このむさいパーティーは。若い男はいないのかしら。」
カインは、自分が、マーニャの眼中に入っていないことに、
ある意味安心したのだった。
一行がソレッタを目指したのにはわけがあった。
ソレッタでは、
伝説の薬草「パデキア」を栽培しているという情報があり、
パデキアを飲ませると、クリフトの病も治るかもしれない。
と、いうのが、安直な考え方であった。
というのも、カインには、クリフトの病状がよくわからなかったし、
何にでも効く薬、というものほど怪しいものはなかった。
本来なら、病状から病名を特定し、
その病気にあった薬を入手する、というのが正しいやり方だと、
カインは思ったし、ミネアも同じ事を思っていた。
実は、ブライもそう思っていたが、
ブライには、もう一段階深い読みがあった。
それは、ブライの目的は、クリフトの病を治すこともあるものの、
アリーナ姫と合流することを先決に考えていたからであった。
アリーナ姫では、
ブライと同じ考えには届かないことをブライは熟知していたので、
万能薬があると聞けば、
すぐにそれを求めて行動に出ることが、ブライにはわかっていた。
そして、さえずりの蜜のときの経験から、
その短絡的な考えが功を奏する場合もあることもまた知っていた。
カインは、ブライの一連の判断に少し違和感を覚えていた。
というのも、どうやら3人旅をしている途中に、
神官のクリフトが病に犯され、寝込んでしまい、
ブライ老が看病をしながら、アリーナ姫が薬を探しに行く、
というのは、納得が出来た。
しかし、今になってブライ老が看病を宿の職員に任せ、
自らが動き出したのには納得ができない。
最初から、
アリーナ姫と2人で薬を探しに行けばよかったのではないか、
と、カインは思ったのである。
ブライは、カインのこの不思議そうな顔の意味がわかったし、
言葉にはしなかったが、それはそれで理由があった。
クリフトが病に倒れたときに、
アリーナ姫が、ここぞとばかりに一人旅を主張して、
絶対にブライを連れて行かなかったのである。
ずっと一人旅をしたがっているアリーナ姫を
ブライは止めることができなかったし、
同行することもできなかった。
そして、今になって、そのことに後悔し、
カインに同行させてもらうことを願うのだった。
一同はソレッタのお城に着いたが、
お城というには、あまりにも貧困な状態にあることに驚いた。
ソレッタは、パデキアの栽培でのみ繁栄していたが、
今となっては、パデキアが絶滅し、
大根や人参を栽培して生計を立てる国となっていた。
王自らが畑仕事をするほどに貧しい国であり、
これでは、クリフトの病を治すのは難しいと、一同は思った。
ところが、貴重なパデキアが絶滅した場合を考えて、
先代の王が、その種を洞窟に封印していた事実がわかってきた。
カインは、もしかしたら、
ソレッタとクリフトを一度に救えるかもしれないと思い、
すぐに洞窟を目指した。
洞窟へは、馬車が入り込めなかったため、
4人のメンバーを選出し、
カイン、マーニャ、ミネア、ブライ、という、
超呪文型パーティーを組んだ。
洞窟に入ると、アリーナ姫がドアを蹴破るところだった。
アリーナ姫は、扉の鍵を持っていたのだが、
ちまちました作業が苦手であり、
腕力、脚力で物事を解決するのが得意であった。
ミネアは、姫が扉を蹴破るのを見つめながら、
あることを思い出していた。
それは、オーリンという仲間が、
鍵のかかった扉をこじ開けていたときのこと。
オーリン、あなたの命は無駄にはしない。
勇者様と共に歩く私たちは、
必ずバルザックに仇を討つから。
マーニャは、アリーナ姫を見ても、
それがアリーナ姫だと気付かなかった。
ゴッツくなかったので。
ブライは意外に思っていた。
アリーナ姫がパーティーを引き連れているとは。
てっきり、一人で力試しがしたいとばかり思っていたのに、
案外、クリフトのことを本気で心配していたのだったのか、
と思うに至っていた。
カインは、アリーナ姫が率いるパーティーに覚えがあった。
それは、村を滅ぼされ、失意の中ブランカ城に行ったときに、
地獄の帝王を探して、旅をしているパーティーであった。
地獄の帝王を探すのと、パデキアを手に入れるのと、
どう繋がるのかわからないが、
彼らは彼らなりに冒険をしているのだろう、
と軽く一瞥するのだった。
ブライは、アリーナ姫に声をかける。
カインは、ここで姫が仲間になるのかと、思っていたが、
逆に、パデキアを争うライバルになってしまった。
姫は姫で、どうしても自分の手で、
クリフトを助けたいと思っているようだった。
このライバル争いを制したのはカイン。
無事、「パデキアの種」を持ち帰り、
ソレッタですぐに栽培し、
あっという間に成長したパデキアから根っこを取って、
ミントスで寝込んでいるクリフトに届けるのだった。
ちなみに、ソレッタ王は、
パデキア絶滅の危機が回避された今となってもなお、
畑仕事が楽しくなりすぎて、より一層農耕に精を出すのだった。
カインがミントスに着いたとき、
クリフトの看病は、一足先に戻ったアリーナ姫がしていた。
そこに、カインとブライが到着し、
パデキアの根っこを煎じてクリフトに飲ませた。
何の病気だったかわからなかったクリフトだったが、
この伝説の薬草のおかげで、見事に復帰したのだった。
アリーナ姫は、サントハイム城の人々の消失と、
デスピサロがなんらかの関係があるという結論を持っていて、
ずっとデスピサロを探していた。
この話を聞いて、
自分もデスピサロを追っているという話をするカイン。
そして、アリーナ姫と神官クリフトが仲間になった。
カインは、初めて、目的を共にする仲間を手に入れたのだった。
ところで、この時点でやっとアリーナ姫を認識するマーニャ。
ゴッツくなくて、容姿端麗な姫に驚き、
ライバル意識を持ちつつ、うらやましくも思うのだった。
ちなみに、うらやましく思うのは、
一国の姫なら、カジノを買い取って、遊び放題なんじゃないか、
という部分が大半であった。
一連の話は、宿屋の一室で行われたのだが、
カインとアリーナの話を立ち聞きしてしまった詩人がいた。
詩人は、申し訳無さそうに言う。
「実は、ライアンと名乗る旅の戦士が、勇者様を探してここを訪れ、キングレオ城を目指すという話をしていました。」
久しぶりに会話に参加できたトルネコは言う。
「私はライアンさんには会ったことがありますよ。立派な剣を携えた、屈強そうな戦士でした。エンドールの武術大会で誰かをお探しでしたが、今思うと、あれはカインさんのことだったのかもしれません。」
このとき、マーニャとミネアは苦い表情をしていたのだが、
カインはそのことには気付かず、
進路を西の大陸へと定め、キングレオを目指すのだった。
カイン:レベル14、プレイ時間12時間11分

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