京都の2015シーズンはJ2で17位という成績に終わりました。
J1昇格どころか、J2残留争いをすることになり、いろいろと問題の多かったシーズンでしたね。
来季に向けて様々な話が既に出始めていますが、まずは例年通り今シーズンをしっかり振り返っておこうと思います。
全体の分量をざっくりとしか考えてないので何とも言えませんが、全部で3回か4回くらいになる予定です(いい加減ですいません・笑)



強化部の一新から始まった混沌


大木武監督の下での3年間を経て、昨季はブラジル人のバドゥ監督を迎えました。
しかし、自由を標榜する中で組織作りは一向に進まず、自分たちで崩れる試合も多かったことから解任に至りました(詳細は「バドゥ監督解任について」「昨季まとめ・その1」 に)。

その後、森下仁志コーチが監督代行を務めた後、川勝良一監督が就任。
オーソドックスな形で守備の整備を行いながら、ショートカウンター中心に攻撃を作ろうとしました。
しかし、負傷者にも悩まされて中盤のバランスを取りきれず、勝ち切れない試合が多くなってしまうことに(詳細は「昨季まとめ・その2」 に)。
最終的にJ昇格後最低の成績となる9位に終わってしまいました。


この結果の責任を取る形で、バドゥ監督の招聘に動いた祖母井秀隆GMが辞任。
また、補強等を巡ってGMと強化部の連携に不具合をきたしていたようでもありました。
2者が連携なく動いていたと言えばよいでしょうか。
実際にGMにどの程度の権限があったのか疑問を持つこともありました。
クラブ内部でも問題視されたのか、長年京都の強化部として動いていた細川浩三強化部統括、高間武強化部テクニカルディレクターも退任。


つまり、2015シーズンを迎えるにあたって、強化部を真っ更な状態でスタートすることになりました。
後任の強化部長にはスカウトを務めていた野口裕司が就き、スカウトには鈴木慎吾普及部コーチと本田将也U-15コーチが異動。
強化部の体制は急遽決まった感もあり、シーズンオフの動きは混乱した印象が強かったですね。


この一連の流れが、今季の戦力にも大きく影響したのは間違いないでしょう。

選手の動向についてはシーズン前にもまとめ ていますが、昨季までの主力が多く移籍することになり、全体でも半分近くの選手が入れ替わりました。
実際のところは推測するしかありませんが、強化部の不手際により選手契約に支障をきたしていたことが報じられることもありました。
特に工藤浩平と酒井隆介の移籍に関しては、元々は京都残留が基本線だったようで、クラブの姿勢にかなり問題があったようですね。
CBとパスを捌ける中盤の選手というところは、昨季も層の薄さを感じさせられたポジションだっただけに、主力クラス2人の退団は、シーズンを終えた今から考えても非常に痛手でした。

新しい強化部の経験不足は早くから懸念されていましたし、それ以上に体制が整わないために今井浩志社長が動くことも多かったようで、不慣れな面々で混乱を広げてしまったというところでしょう。


ただ、旧強化部についても長年行き当たりばったりな印象が強かったですし、祖母井GMとの関係性を見てもそのままにはしておけなかったというのも確かで。
解体した上でうまく新しい体制に繋げられれば良かったのですが、良い人材を確保できぬまま、内部異動でやらざるを得なかったというところでしょうか。


今井社長についても、緊縮財政が求められたクラブで経理関係ではうまくやっていたかと思います。
過去の負債も大きいクラブにおいて、財政面の健全化は必須でしたからね。
2010年のJ2降格を機にドラスティックに引き締めることができたこともありますが、経営の安定化には寄与したと言えるでしょう。
一方、チーム強化に関してはGMあるいは強化部に任せている印象がありましたが(口の軽さや話の不味さは置いといて・・・)、今季はかなり口を出していたようですね。

旧強化部のゴタゴタを見て、「(いろいろシガラミ深そうな)サッカー人だけに任せておいてはマズい」と思ったのだろうと推察しています。また、2011年からの大木体制、特に補強の面でも勝負を賭けていたであろう2013年に昇格できなかったことから来る焦りが昨季・今季と募っていたこともあるでしょうか。しかし、それが余計に事態を悪化させてしまったという印象です。
後述しますが、和田体制での不振もあって、シーズン半ばでの辞任となりました。

強化部の一新のみならず、社長までシーズン中に変わる事態。
もうこれだけでチームの迷走を言い表してそうですが(苦笑)、しっかり競技面も振り返りましょう。



和田・石丸体制の始動


新たな指揮官には神戸で監督やフロントを歴任し、昨シーズンはタイリーグで監督を務めていた和田昌裕が就任しました。
また、クラブOBでもあり、昨季は愛媛で指揮を執った石丸清隆がコーチに。また、同じく愛媛から平井直人がGKコーチとして戻ってきて、川勝博康U-18監督がトップチームコーチに入りました。


和田監督の就任に関しては、神戸で副社長を務めた経験もあることですし、フロントのサポートも込みなのかなというように思っていました(昨季まとめ・その4 を参照)。
どうしても経験不足が否めない強化部の新体制でしたし、若手の育成プランも含めた選手起用については現場とフロントの連携は必須ですので、その点で行けばフロントの立場での視点も持ち得る和田監督という選択肢も有りだろうかというところですね。

また、「J2での経験を活かしてサポートする」という表現が使われていましたが、実際には石丸コーチの役割も重要になってくるような印象も持っていました。
キャンプ中には守備面を和田監督、攻撃面を石丸コーチが指導したという記事 も出ていましたし、和田監督がメインではあるものの、石丸コーチの意見も反映されてチーム作りを進めていったというところでしょう。

実際のシーズンでどうだったかというのは次回以降に取り上げていきますが、当初の想定としてはこういったものでした。

和田監督はまずは守備をしっかりして、そこから素早く攻撃を仕掛けるサッカーを標榜。
『堅守速攻』とも言われていましたが、引いてブロックを作るだけではなく、基本的には前から奪いに行き、ショートカウンターを狙うサッカーをイメージしていたと思います。
前任の川勝監督も同様の志向でしたし、昨季序盤に守備のスタート位置を決めきれないために攻撃にも繋げられなかった反省を踏まえても、しっかりとした守備組織の構築は重要でしたし、当初の狙いとしては特に問題ないものでした。
ここでも「実際には・・・」となってしまうのですが。。。


選手編成に関しては、上記のように約半数が入れ替わり、年齢バランスが30代の選手と20代前半以下の若手に二極化することになりました。
年齢バランスはほぼそのまま試合経験にも繋がっており、経験の浅い若手選手が上手く試合に入ることができるかどうかというのも今季の注目点と言えました。

ただ、シーズン前から負傷者も出ていましたし、新加入の選手もコンディション不良ということが伝えられ、やや不安を残してのシーズンインとなりました。



シーズン前の話だけで長くなってしまいますね(笑)
それだけ今季開始前の出来事はチームにも大きいトピックと言えるのですが。
と言うことで、次回からシーズン中の話を。
まずは和田体制のまとめをしていこうと思います。