『心臓と左手―座間味くんの推理』  石持浅海 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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心臓と左手―座間味くんの推理 (光文社文庫)/石持 浅海
¥520
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***この本は2009年11月に読了しました***

ミステリーにおける最大の謎は、人の心の奥深くにある―。警視庁の大迫警視が、あのハイジャック事件で知り合った「座間味くん」と酒を酌み交わすとき、終わったはずの事件は、がらりとその様相を変える。切れ味抜群の推理を見せる安楽椅子探偵もの六編に、「月の扉」事件の十一年後の決着を描いた佳編「再会」を加えた、石持ミステリーの魅力が溢れる連作短編集。
(Bookデータベースより)



沖縄の那覇空港でハイジャックされた航空機内が舞台だった著者の作品「月の扉」 で、探偵役をこなした座間味くん。
そして当時、現場に居合わせた警視庁の大迫警視。
東京で偶然再会した二人は、居酒屋で軽く一杯やることに。
酒の肴にと、大迫警視が語りだしたのは、最近出くわした事件とその結末。
しかし、終わったはずだった事件は、座間味くんの推理によってまた違った側面を帯びてくる――




主役の座間味くんは、「月の扉」 で座間味島のTシャツを着ていたから、「座間味くん」と名付けられてました。
本作においても本名は出てこず、座間味くんのままです。
可哀想な気もしますが、もう馴染んじゃいましたね。


「月の扉」の事件で居合わせた警視庁の大迫警視と再会した座間味君。
二人の待ち合わせ場所は、毎回新宿の大型書店。たぶん紀伊國屋書店のことでしょうかね。
そこから二人は、大迫警視の馴染みのお店に繰り出します。
話もさることながら、毎回違ったジャンルのお店に行き、おいしそうな物を食べながら語るので、読んでると新宿のうまいお店に呑みに行きたくなります(笑)


1編1編のボリュームも少なく、作品自体のページ数も少ないので、本当にサクサク読めます。
ちょっとした時間の合間に読むにはちょうどいいかもしれません。
さて、座間味君、名前も相変わらずなら、明快な考え方に基づく推理も健在です。
心理的盲点を鋭くつき、警察が疑わなかった全く別の側面から事件を推理し、終わっていた事件の様相がガラリと変わります。


ただ、若干決めつけすぎな部分があるように思えてしまいました。
穿った見方をすれば、座間味君がただのひねくれ者に見えてしまう気も・・・(笑)
結局は座間味君の推理も、検証まではされないので、真相は分からないのですが。
でもどの短編も終わり際が潔く小気味良いです。
酒の肴が、こういう面白い話や美味しいツマミばっかりなら、いつでも呑みに出かけたくなっちゃいますね。


最後の「再開」だけは、趣が異なり、「月の扉」のハイジャック事件で人質だった赤ん坊が成長し登場します。
あの事件からもう11年後、彼女は中学受験を控えているが、受験とは別の悩みを抱え・・・。
ここでも座間味君の推理が炸裂しますが、若干後味がよろしくなかったかな。



「貧者の軍隊」 「心臓と左手」 「罠の名前」 「水際で防ぐ」 「地下のビール工場」 「沖縄心中」 「再開」
の七編を収録。



★★★



その他の石持浅海作品
『月の扉』  ◇『扉は閉ざされたまま』  ◇『セリヌンティウスの舟』  ◇『左手と心臓』



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