『月の扉』  石持浅海 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

読んだ小説&観た映画の感想中心のブログです。基本的には良い評価でのレビューを心がけています。レビューと言うか、ただの感想だったりしますがw 過去に読んだのもあり。自分の備忘録も兼ねてます♪貴方のオススメの映画や本があったら教えて♪漫画の紹介も始めました♪

月の扉 (光文社文庫)/石持 浅海
¥620
Amazon.co.jp


***この本は2009年11月に再読しました***
沖縄・那覇空港で、乗客240名を乗せた旅客機がハイジャックされた。犯行グループ3人の要求は、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」を空港まで「連れてくること」。ところが、機内のトイレで乗客の一人が死体となって発見され、事態は一変―。極限の閉鎖状況で、スリリングな犯人探しが始まる。各種ランキングで上位を占めた超話題作が、ついに文庫化。
(Bookデータベースより)


那覇空港で、乗客240名を乗せ離陸直前の飛行機が、ハイジャックされた。
犯行グループが突きつけた要求は、現在警察に留置されている彼らの「師匠」を指定の時刻までに「連れてくること」。彼らが要求しているのは、警察からの釈放ではなく、あくまでも「連れてくること」だけ。
警察との攻防をしている最中、機内のトイレにたっていた乗客の一人が突如トイレの中で死体となって発見された。
トイレに行っただけの女性がなぜ死体となったのか?自殺?それとも殺人?
そして釈放ではなく、「指定の時刻」までに「連れてくること」だけを要求しているハイジャック犯たちの真意は?
ハイジャック犯たちは、乗客の一人を探偵役として指名し、なぜ死体となったのか真相究明を指示するが――。



「ハイジャックされた旅客機」と言う名の、一風変わった密室状態である。
著者はこういった閉鎖的空間を題材にしてることが多いんですよね。
さらに、この特殊な密室状態の中の、さらなる内側の密室である、個室トイレ内で死体が見つかる。
厳密に言えば、鍵は掛かっていなかったので、密室ではないのだが、死んだ女性以外は誰も入っていない状態だったのだ。


そして犯人グループから探偵役に指名された座間味くん。
この座間味くん、座間味島のTシャツを着ていたから座間味君と犯人グループから名づけられる。
いろいろな小説があって、いろいろな探偵役が出てくるけれど、こんな名前の付け方をされる探偵役もそうそうはいないのではないだろうか。しかも結局最後まで名前は座間味君のまま(笑)
しかし侮るなかれ、非常に明快な考え方と状況判断に優れているのだ。
しかも、なぜかいつの間にか「座間味くん」と言う名前が妙にフィットしてしまうから不思議だ。


座間味君の理路騒然とした推理は見ものですが、ハイジャック犯たちも負けじと的確な言動で事を進めていきます。
ただ、ハイジャックの仕方や公安が出てくるなど現実的な一方で、師匠の力やその設定がやけに非現実的で、そこがいまいちマッチしきれていなかった感じがしてしまいました。
非現実的な部分をうまく受け入れられれば、なるほど帯の謳い文句のように美しいミステリーと呼べるかもしれません。
ラストは賛否両論かと思いますが、それでも読みやすい文章に、入りやすいキャラたちで中々良かったです。




★★★★



その他の石持浅海作品
『月の扉』  ◇『扉は閉ざされたまま』  ◇『セリヌンティウスの舟』  ◇『左手と心臓』



読書INDEXはこちら




ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村