- 神様からひと言 (光文社文庫)/荻原 浩
- ¥720
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***この本は2009年9月に読了しました***
大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。
(Bookデータベースより)
「会社っていったい何なんでしょう」
「おでん鍋といっしょだよ」
業界最最大手の広告代理店をワケあってやめ、中堅食品メーカーに転職した佐倉涼平27歳。
転職早々トラブルを起こし、異動した先は社内で「リストラ要因強制収容所」と呼ばれる「お客様相談室」。
顧客からの相談窓口だが、実態はクレーム処理や苦情もみ消しが主な仕事。
しかも社訓は「お客様の声は、神様からのひと言」にもかかわらず、杜撰な製造管理に商品管理・・・。
サラリーマンって何なんだろ?おれは何やってんだろ?と言う自問を持ちながらも仕事に奔走し、そして半年前に分かれた彼女のことを想う・・・。
読後感は良かったです。この前読んだ著者の「あの日にドライブ」 と一緒で前向きになれる作品です。
嫌な上司に、そして腐った会社に喰ってかかり、思いっきり辞表を叩き付ける。
読んでて爽快ですよね。
でも背負うものができたときにそういうことができるかなぁって、思ってしまった自分がいた。
もちろんこういうことは自分のことじゃないから面白く読めるのであって、これを読んだからと言って同じことする奴はなかなかいないだろうし、現実的にはイチ平社員が会社の実情をここまで暴くのも厳しいだろうし。
例えば涼平だって40代くらいになって、リンコと結婚して子供ができて家族を養って・・・、そういう状態になっても同じことをできるのだろうか、って天邪鬼なことが頭をよぎって若干ひいてしまいました。
つまり作中で言うところの、会社に人質を取られている状況で、おでん鍋をいつまでもそう簡単に飛び出れるか、ってことですな。
うん、未読の人にはまったくわからないですね(笑)
でもきっと涼平なら、いくつになってもやるかもしれない。
そして自分にはよっぽどでない限り、できないとわかってるから嫉妬したんだろうな。
ま、そうは言っても、ユーモアたっぷりだし、クレーム処理の仕方なんかはなるほど!と思わせられたりして勉強にもなったり、涼平の上司の篠崎の言葉にドキッとさせられたり・・・なかなか良かったです。
そしてラストも爽やかで、心を軽くしてくれます。
この間レビューをあげた奥田英朗氏のマドンナ が30~40代向けだとすれば、本作は20代から30代半ばくらいまでの人向けって感じかな。
貴方にとっての「神様」はどんな人でしょうか?
「神様は、あなたのすぐそばにいる」
それにしても新宿中央公園の老人が、退いていた○○かと思ったんだけどなぁ、そこは違った(笑)
★★★
その他の荻原浩作品
◇『コールドゲーム』 ◇『神様からのひと言』 ◇『あの日にドライブ』
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