『火車』  宮部みゆき | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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火車 (新潮文庫)/宮部 みゆき
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***この本は2006年4月頃読了しました***



休職中の刑事、本間のもとへ亡き妻の親戚があわられた。彼は突然失踪した婚約者を探し出してほしいと言う。あることをきっかけに突如、消えてしまった婚約者、関根彰子。何かから逃げるようにして消えた彰子、彼女を執拗に追っていた「何か」とは・・・。



嘘の自分、嘘の鏡を買う人がいる一方で、それを売る人、食い物にしている人がいる。
モノが溢れ、色々な夢や希望がすぐ手の届くところにあるかのような今の時代。
代替できる夢ならば、それは少し形を変え、簡単に手が届くかのように思える・・・。
だがそれは砂上の楼閣なのかも知れない。


平凡な人生を歩いている人も、いつ暗闇へと足を踏み入れるかはわからない。そして自分で踏み入れずとも、知らぬ間に引きずりこまれてしまっている場合も・・・。
今の時代、「火車」の種類は一つじゃない。
貴方は、自分は大丈夫!と、言い切れますか?


奇しくもこの作品を読み終わった日(2006年当時です)に、大手消費者金融ア○○ルの全支店営業停止処分が通達されていた。
あれだけ朗らかなCM流してる最大手企業ですら、取立てでやってることは危ない系とそう大してかわらかったりする。
消費者金融業界の体質が垣間見れたニュースだった。
そして、この作品がさらにリアルに感じられた。
お手軽審査ですぐ利用できてしまう。だがそれを気軽に利用し、慢性化してしまう怖さに目をつぶってはいけない。


現在の世界的不況、これも一種の「火車」なのだろう。
世界的に盲目(ごくごく一部を除いた)になった結果が、今のこの状況なのかもしれない。


作品中、二人の主人公が自らセリフを言う場面はない。
おれだったら最後、喬子になんと声をかけたろう・・・。
そして喬子はどういう声を発しただろう・・・。
彼女の心の底からの声を聞きたいと思った。




★★★★★


その他の宮部みゆき作品
『魔術はささやく』  ◇『火車』



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