- 魔術はささやく (新潮文庫)/宮部 みゆき
- ¥620
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***この本は2006年5月頃読了しました***
それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。
(Bookデータベースより)
一つの詐欺事件のことだけかと思ったらそれを端に発して、まったく別の物語や何人もの人間ドラマが次々と浮かび上がる。
詐欺・いじめ・自殺・犯罪・贖罪・後悔・希望・葛藤・友情・哀れみ・家族愛
相手を救うのではなく自分が救われるために、自分を救うために。
だが、それらはすべて最終章のためだけにあるかのように集約されていく。
全てを知ってしまった。
知りたくなかった・・・、だけどもう知ってしまった。
知らなかった頃の自分にはもう戻れない。
押しつぶされそうなほどの心の傷と深い葛藤を描く。
こういう内面の葛藤を読み手に考察させる感じ、おれは好きです。
強さ、弱さ、優しさ。全てが入り混じったラストの展開、こういう展開もアリだと思います。
そんなに簡単に魔術が、とか、そんなに簡単にはいかんだろ、とか言うふうにトリックの点に固執しちゃうと面白さ半減なんじゃないだろうか。
自分はこの作品の醍醐味を、それ以外のところで十分堪能できました。
著者の初期の頃の作品なので、荒削りな部分もありますが、それを差し引いても好きな作品の一つです。
自分は著者の作品の中で、火車に続き2作目に読んだ作品でした。
宮部作品をまだ読んだことがないような人にオススメの作品ですかね。
今日の東京は快晴。
・・・魔術でもささやくか。
★★★★★
その他の宮部みゆき作品
◇『魔術はささやく』 ◇『火車』
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