「ペダルの旅人たち」Part3 【A子の試練~旅のはじまり編】
これがビンディングの新しい外し方!? このオーナーはビンディングをうまく外せなかったのか、最終手段としてシューズを脱いでどこかに行ってしまったらしい。(確かにロード用のペダルは多少外し難いが、それにしても…)
そしてこれが、“世界一歩きにくい靴”の実写画像(提供:ギネスブック)。
つま先側が上に上がっているので、“ハイヒール”ならぬ“ハイ・トー”という世にも珍しい形式だ。通称名は「ロード用ビンディングシューズ」と言うらしい。もしあなたが“美しい歩き方選手権”の優勝者だったとしたら、この靴を履くと間違いなくタイトル剥奪になるので、注意した方がいい。(ちなみに、「A子の試練」でA子が落車した際に履いていたのはこのタイプではない。そちらはMTB用なので、歩くのには支障はないタイプだ。)
【前回からの続き、「A子の試練、旅のはじまり編」】
A子はビンディングペダルを取り付けた初日のサイクリングで、なんと2度も落車をしてしまった!
B夫はスペシャライズドのクロスバイクを歩道に上げ、ディレーラーの調整を試みるがなかなかうまくは行かない。そしてA子はといえば、代官山の歩道上で文字通り半べそをかいていた。
「あたし、もうタクシーで帰るから。」
さすがに二度目の落車はショックが大きかったらしく、A子はもう完全に自信喪失、“世界などどうにでもなってしまえ”モードに入っている。幸いにも怪我の方はそれほどひどいものではなく、歩いたり、運動したりするのに支障はないようだ。不幸中の幸いである。
B夫も今回は驚きと落胆は隠せなかったが(B夫本人は一度も立ちゴケをしたことがなかったのだ。だからビンディングペダルを甘く見ていた節がある。)、なんとかA子を説得することを試みた。
「そうだ、たしか近くに自転車屋さんがあったから、そこまでなんとか押して持っていこうよ。それでちょっとお茶を飲んで休もう。」
最初の数分間、B夫の説得工作は何一つ効果を上げていないように見えた。だが人間粘りが肝心だ。徐々にではあるが、A子の機嫌が直りはじめたのだ。そして何分か後、2人は、近くの自転車屋を目指し、2台のクロスバイクを押し、そろそろと歩きはじめた。
その事件現場から徒歩約15分のところに自転車屋があった。山の手通り沿いのスポーツ自転車ショップだ。簡単な修理をしてもらい、自転車は何とか走行可能になった。
そして修理の間、近くのデニーズでお茶を飲んだことで、A子の機嫌も“快晴”とまではいかなくても“曇り空”くらいまでにはなった。
さあ、これで帰れる。なんとか2台のクロスバイクに乗って我が家を目指すのだ!とB夫はA子を促すが、A子はどうしても首をタテに振らない。そう、当然のことながら、このままのペダル(シマノSPD)ではこの自転車に乗りたくないと言う…。
「そうだ!こうしよう。」
B夫はこれならどうだと言わんばかりに、解決案を披露した。
「片面ビンディング、もう片面フラットペダルのやつにすればいい!これなら怖くなくて帰れるよ!」
これが、B夫が提案したペダル。片面は普通のフラットペダル、片面はMTB用のビンディングなので、どっちとしても使える。ちょっと重いが、A子の新しい選択肢としては悪くないはず…とB夫は考えた。
そう、この瞬間にA子は「ペダルの旅人」になったのだ!あろうことかA子までもが、理想のペダルを求めて旅を続ける旅人になってしまったのだ!
その後の詳しい経緯は省略するが、この日2セット目のペダルをスペシャライズド・クロスライダーXCに取り付け、A子はなんとか無事に家に帰り着くことができた。
途中何度かA子が大声を出した場面があった。B夫は「またか!」と肝を冷やしたが、これは落車の悲鳴ではなかった。A子はビンディングシューズを履いたままだったので、途中何度か走行中に意図せずペダルにキャッチされてしまい、ペダルとシューズがくっついてしまったことに対する悲鳴だったのだ。そう、結局、「ペダルの旅人」A子は、今日2セット目のペダルでも満足できなかったのだ。
ほどなく、A子は3セット目のペダルをスペシャライズドのクロスバイクに装着することになる。
今度は完全フラットのペダルだ。軽量タイプだ。
その後、A子の旅の行方がどうなったのか…今では噂に聞くことしかできないが、どうやらこの片面フラット・片面ビンディングのペダルをロードバイクに装着したらしい。だが今だに(2007年8月現在)、ビンディングシューズを履いて走行することをためらっているという…。
A子の「ペダルの旅路」はいつ終わるのか!
【A子の試練編】終わり
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というわけで、やはりロード用のビンディングペダルの紹介記事まで書き切れなかった…。次回はロード用ビンディングペダル(SPD-SL)の装着レポート。やはりマウンテンバイク用(SPD)と比べると結構違うものだった。走りには明らかなプラスと感じられたが、問題も……詳細は次回!
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