「ペダルの旅人たち」その2 A子の試練に見るビンディングペダルの外し方の科学的検証! | 自転車で糖尿病を克服した!

「ペダルの旅人たち」その2 A子の試練に見るビンディングペダルの外し方の科学的検証!

【前回からの続き】


もう大丈夫なはずだった。A子は約30分前の“事件 ”を忘れかけていた。


まだ、ビンディングペダルにクリートをはめるのに戸惑ってしまうことはあるが、“捻れば外れる”ことを再確認してからは、まさに快調な走りを楽しんでいた。


前を行くB夫が多少飛ばしても、以前のようにちぎられてしまうことはない。やはりビンディングの効果だろうか、スピードの乗りもいいし、ケイデンスが上がってもペダルから足が外れてしまう危険もなく、スピードも3km/h~4km/hほど上がっているような気がする…これだったら来週の自転車でのロングライドも行けるかも。そうA子は思いはじめていた。


だが、それが“油断”だったのかもしれない…。


後で判明したことなのだが、A子が思う“捻れば外れる”の“捻る”の部分が多少シマノの意図と違っていた可能性があるのだ。そう、シマノの意図とだ。


人間はペダルから足を外そうとするとき、もし何の指示も与えなければ、上に足を引き上げることで外そうとする。おそらくどんな人でもそうだろう。これは、ある意味本能的なこと。普通は、どんなものでも、くっついたものを外すときは、ある物体からくっついた部分を引き離すことで外すことに成功する。これは人類100万年の歴史の中でDNAに刻み込まれた当たり前の行動と言っていい。


だが、これがビンディング・ペダルの宿命とも言える命題と矛盾するのだ。


ビンディング・ペダルは走行中に外れてはいけない。たとえば、ゴールスプリントの最中、時速65km/hでもがいているときに万が一ペダルが外れてしまっては大変だ。大きな事故になる可能性がある。だからビンディングペダルは通常のペダルを漕ぐ動作では絶対に外れないようになっている。


つまり、ペダルを上方に引き上げる動作をする限り、ビンディングは絶対に外れないのだ!


A子の頭の中では、“捻る”ということはわかってはいたのだが、どうやらナナメ上方向に捻っていたらしいのだ。そして焦れば焦るほど、「スグに外さなければいけない!」と思えば思うほど、上記の“上方に引き上げる動き”が大きくなる~つまりシマノの設計的にペダルが外れてはいけない動作になってしまうのだ。


だから、ペダルから足を外すためには、その場で足を捻るだけ---上方に引き上げる動作をしないで---というのが唯一の正解になる。これがビンディングペダルの外し方の真実だったのだ!


だからA子の動作ではペダルは外れない。結果として、合理的推論の結論として、そういうことになる。


それがA子の身に降りかかってしまったのだ!


あぁ、何という試練!一体誰を責めれば良いというのだ!誰がこの責任を取るべきだと言うのだ!


シマノも悪くない。A子も悪くない。そしてもちろん私も、おっとB夫も悪くない!!!


まさに悪意なき犯行だ!…閑話休題。


というわけで、その2回目の“試練”は代官山付近の大きな交差点で起きた。まわりが騒々しかったからか、今度は前回ほど大きな悲鳴は聞こえなかった。


何かの異変を察知したB夫が後ろを振り向くと、さっきと全く同じ光景がB夫の目に入った。


そう、A子が何の理由もなく、道路に自転車もろとも寝ころんでいたのだ


「えっ……何故???」


だが今回は前回よりもダメージが大きかった。


スペシャライズド製の白いクロスバイクのリア・ディレーラーは曲がってしまい、変速に支障をきたしていた。何カ所かのキズも付いている。またA子は右手と右足に擦過傷を負った。非常に痛々しい光景だ。


だが何よりも大きなダメージはA子の心の傷だった。


「あたし、も、もうビンディングペダルはイヤだ…こんな危ないものもう捨てちゃいたい!」


A子はもちろんそうだったが、B夫も途方に暮れた。B夫はA子を気遣い、必死で励ますが、A子はもはや聞く耳を持たない……。“自転車を投げ出して返りたいモード”に突入だ。来週の自転車ロングツーリングはどうなるのだ?私たち、いや二人の未来は…???


--++--++--++--++--++--++--++--++--++--++--


というわけで、あまりの試練に呆然とするA子とB夫。この続きは次回!

(どうしよう、ペダルの旅人シリーズのプロローグが終わらない…ペダル実地レポートを書く予定だったのに。)


人気ブログランキング にほんブログ村 自転車ブログへ 人気ブログランキング【ブログの殿堂】

(人気ブログランキングに参加しています。)


前の記事へ | 次の記事へ ][ 自転車で糖尿病を克服した!目次