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ダニで、秋のアトピーが悪化するケース


こんにちは。橋本です。


夏や冬に悪化することが多いといわれているアトピー。


しかし一部には、秋口になると、ゆるやかにアトピーの悪化が進行するケースもあります。


「なぜか、毎年秋から冬にかけて、アトピーが悪化してしまう……」といったようなパターンですね。


そういった場合、ダニが悪化原因のひとつになってアトピーがひどくなっていることがあります。


でも、ダニは夏のような「高温多湿」の環境で増えやすいはず……ですよね。


なぜ、秋にダニでアトピーが悪化することがあるんでしょうか?


秋:ダニ


 


ダニ以外にもある、秋にアトピーが悪化する原因


もともとアトピーは、特に何をしたわけでもないのに、だんだん良くなったり、ジワジワひどくなったりを繰り返すのが特徴の病気


だから、「秋になったから」「季節の変わり目だから」アトピーが悪化するものだとは限りません。


ただ、その反面で、秋はアトピーが悪化させる可能性があるもの……いわゆる、悪化因子(あっかいんし)が顔をのぞかせる時期であるのも確かです。


秋だと、たとえば、


秋にアトピーが悪化する要因

花粉(キク科のヨモギ・ブタクサなど)

ダニ

湿度の低下(乾燥)

過度の暖房(体温上昇によるかゆみ)

服による刺激(ニット、セーターなど)

体調の崩れ


などですね。


アトピーの悪化因子は人それぞれで、ある人で悪化因子になっているものが、ほかの人では全く悪化因子になっていないということも、よくあります。


でも、人によっては、上に挙げたような悪化因子が大きくかかわっているようなアトピーの子の場合、秋にドカンと悪化することもありうるんですね。


 


ダニのフンや死がいがアレルギーを引き起こす


アトピーの原因になるのは、チリダニ(ヒョウヒダニ)といわれる種類のダニです。


参考記事:

「刺すダニ」と「アレルギーの原因になるダニ」は種類が違う


チリダニは、室内のホコリの中にいますが、体長が0.3~0.4mmほどと、とても小さくいため、肉眼では見えません。


問題なのは、こうした生きているダニよりも、さらに小さいフンや死がいがアレルギーを引き起こすこと。


ダニのフンは、じつに体の数十分の1の大きさ、0.01mmほどの細かさなんですね。


 


秋にかけて、ダニのアレルゲンがたまっていく


ダニは、室温25~30度湿度60%以上の高温多湿……具体的には、梅雨の時期によく増えます。


そして、寿命はおよそ2~3か月といわれています。


ですので、夏に増えたダニが寿命を終え、涼しくなり湿度も低くなる秋になると、ダニの死がいがたまっていくわけです。


部屋の掃除を定期的にしていなければ、夏の間に増えたフンも部屋にたっまっていきます。


 


秋にダニアレルゲンが舞いやすくなる


生きているダニは、体の中に水分がある状態なので、比較的重たいです。


問題なのは、それに比べて死がいやフンは、水分がない状態であること。


細かく乾燥した状態の死がいやフンは、パウダー状になって、ホコリといっしょに舞ってしまうのです。


これがアトピーの悪化因子になるのと同時に、これらを体内に吸い込むことでアレルギー症状が引き起こされることがあるため、秋はダニに要注意というわけです。


フンや死がいは、目に見えないパウダー状になるほど細かく、気管支(きかんし)の奥まで届くため、喘息も引き起こしやすいと考えられています。


秋に喘息の悪化がよくみられるのも、こうしたダニアレルゲンが舞いやすいことが原因のひとつなんですね。


では、ダニが舞わないようにするには、実際にどんなことをすればいいのでしょうか?


 


布団の対策が最も重要


ダニは、部屋のホコリの中にまぎれていて、人のフケやアカ、食べ物のかすなどをエサにして繁殖します。


中でも、布団は子どもが最も長い時間を過ごすため、ダニのエサになるフケやアカがたまりやすく、ダニの影響を受けやすいともいえる場所です。


だからこそ、ダニ対策にとって、いちばん大事な場所は、布団まわり。


布団のダニ対策は、3つの方法があります。


布団のダニ対策

1)水洗い

2)天日干し

3)掃除機がけ


 


1)水洗い


ダニのフンは、水に溶けて流れ落ちやすいといわれています。


そのため、週1回程度、シーツや布団カバーを水洗いすることが、ダニアレルゲン対策になります。


 


2)天日干し


いくら水洗いが有効なダニアレルゲン対策だといっても、敷布団などは洗うことが、なかなか難しい場合がありますよね。


水洗いの次に有効なダニ対策が、布団の天日干しです。


具体的には週1回以上、天日干しをするのが目安。


布団の湿気が取り除かれ、ダニの繁殖をおさえられます。


 


3)掃除機がけ


ダニ対策は、布団の両面に掃除機をかけること。


これが最も重要です。


なぜかというと、布団を干すだけでは死がいやフンを取り除くことができないからです。


週に1回は、ゆっくり掃除機をかけることがポイント。


通常、畳やフローリングに使う掃除機のノズルだと、布団の布まで吸引してしまい使いづらいことがあります。


布団専用のノズルが、掃除機を購入した時についていない場合は、家電量販店やネットなどで購入すると便利です。


 


優先順位をつけて、「できる範囲」で


床、じゅうたんやカーペット、畳、ラグ、こたつ、布製のソファー、ぬいぐるみ、クッション、カーテンなどにもダニが潜みやすいので、掃除機をかけることが大切……。


とはいっても、ダニを減らす環境づくりは、色々な方法が紹介されていて、何からやればいいのか正直、よく分からなくなります。


それに、どれもこれもいっぺんにやると大変です。


仕事や生活環境など、ライフスタイルによって、掃除などにかけられる時間は、人それぞれ違います。


まず布団やシーツ、次に寝室、そしてリビングのカーペット……というように、優先順位をつけて、無理せずできることを続けるのが大事です。


そしてもちろん、アトピーによる湿疹、かゆみがあれば、薬を適切に使っておさえることが、ダニ対策よりも最優先です。


ダニ対策だけでは、今ある皮膚の炎症はおさえられませんので。


子ども:布団


 


冬の布団をクローゼットから出すときは……


夏に増えたダニアレルゲンがたまった、秋。


この時期に、特に注意が必要なのは、冬の布団を押し入れから出す時です。


「喘息がひどくなった」「アトピーがひどくなってきた」


思い返すと、寒くなって布団をクローゼットから出して、すぐに使った晩から悪化してきたな、というケースもあります。


押し入れやクローゼットの中は湿度が高いため、夏の間にダニが繁殖しやすく、そのまま使えば大量の死がいやフンを吸い込むことになります。


冬の布団を押し入れから出す時は、できるダニ対策をしてから使用することで、少しでも喘息やアトピーの悪化を防げるはずです。


参考記事:

しまってあった掛け布団を出すときは


 


 


 


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