蕁麻疹とアトピーを見分けるには? | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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蕁麻疹とアトピーを見分けるには?


こんにちは。橋本です。


日常的に子どもによくみる症状の中でも、アトピーに似ているもの、蕁麻疹(じんましん)。


しかし、この蕁麻疹は、アトピーと「かゆみがある」という点では似ていますが、明確に見分けることができます。


蕁麻疹の特徴は、膨疹(ぼうしん)とよばれる、プクっとした皮膚にあらわれるふくらみです。


通常の湿疹と、この膨疹を区別するのが、蕁麻疹とアトピーを見分けるポイントです。


蕁麻疹:膨疹


 


膨疹(ぼうしん)とは?


膨疹というのは、蕁麻疹にみられる特徴的な症状ですが、あまり日常的に聞かない、聞き慣れない言葉ですよね。


膨疹は、皮膚が部分的に、またはピンポイントでふくらんだ状態。


皮膚の浅いところで、むくみができ、皮膚がふくらんだ状態をあらわした医学用語です。


浮腫(ふしゅ:「むくみ」のこと)の「ブツブツ版」とでもいうんでしょうか。


蚊に刺された後に、プクっとはれる。あれも、膨疹のひとつです。


症例写真:

膨疹
症例写真蕁麻疹にみられる膨疹(ぼうしん)


膨疹は、プクっとしたプツプツ、細かいブツブツだけでなく、広く地図状に出るタイプもあります。


膨疹は、見た目にもいろいろなタイプがありますが、赤みやかゆみをともなうのが大きな特徴です。


症例写真:

地図状に広がる蕁麻疹
症例写真地図状に広がる蕁麻疹


また、蕁麻疹はアトピーとは違い、短時間でおさまります。


通常30分~2時間ほど、長くても24時間以内にはおさまっていく、一過性の症状です。


おさまれば、色素沈着が残ったり、肌荒れが残ったりすることはありません。


もう1つ、特殊な蕁麻疹のタイプに、血管性浮腫(けっかんせい・ふしゅ)という症状があります。


蕁麻疹もより皮膚や粘膜の深いところでおこると、血管性浮腫、またはクインケ浮腫とよばれる、はれた状態になることもあります。


血管性浮腫が、まぶたや唇にあらわれると、パンパンにはれたりします。


膨疹が境界が割とはっきり、プクっとはれるのに対して、血管性浮腫(クインケ浮腫)は、境界がはっきりせず、ぼんやりとはれぼったくなります。


症例写真:

血管性浮腫
症例写真血管性浮腫


膨疹が典型的な蕁麻疹の症状ですが、血管性浮腫も蕁麻疹と同じ仲間です。


ただ、血管性浮腫は、通常の蕁麻疹と違って、赤みやかゆみはおこりにくいのですが、わずかに痛みを感じるケースがあります。


 


水分がしみだした状態


蕁麻疹は、アレルギーや刺激によっておこります。


実際には、アレルギーや刺激を受けると、皮膚にあるマスト細胞(肥満細胞ともよばれる)といわれるものから、様々な化学伝達物質が放出されます。


マスト細胞:脱顆粒


「ヒスタミン」という名前を聞いたことはありませんか?


アレルギーにかかわる物質として、一般的によく耳にするヒスタミンというのも、蕁麻疹にかかわる化学伝達物質のひとつです。


このような様々な化学伝達物質が放出されると、それを受けた皮膚の非常に小さな血管内から、血漿(けっしょう)という水分のようなものが、外にもれ出す。


この現象が、蕁麻疹。


化学伝達物質:刺激


もれ出した血漿成分で皮膚がふくらみ、膨疹となってあらわれるわけですね。


また、化学伝達物質を受けると、小さな血管が、グッと拡張されます。


蕁麻疹で肌に赤みが出るのは、この血管拡張がおこるためです。


蕁麻疹


化学伝達物質が過ぎ去れば、小さな血管からもれ出した水分も徐々に吸収され、血管の拡張も元に戻り、かゆみもおさまってきます。


そのため、通常なら蕁麻疹は、短時間でおさまるわけですね。


アトピーのような湿疹の場合は、症状がゆっくり持続しながら悪化していきます。


蕁麻疹の場合は、それとまったく違い、膨疹が突然ぱっと現れたり、消えたりを繰り返し、肌のかさつきをともないません。


蕁麻疹を見分けるポイント:

⇒ 皮膚がプクっとふくらんだ膨疹が出る

⇒ 膨疹に赤みかゆみがある

肌のかさつきをともなわない

⇒ 突発的にぱっと現れ、数時間以内、長くても24時間以内に消える

⇒ 症状がおさまれば、跡が残らない


 


 


 


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