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「食事制限」はアレルギーマーチの予防になるのか?


こんにちは。橋本です。


食物アレルギーアトピー性皮膚炎ぜんそくアレルギー性鼻炎花粉症


と、子どもが成長するにつれて、場所を変えてアレルギーがでることを、アレルギーマーチとよんでいます。


もちろん、アレルギーをもっている子どもが全員、このパターンを経過していくわけではありません。


アレルギー症状の変化は、ひとそれぞれ。それこそ、いろんなパターンがあります。


でも、食物アレルギーが見つかった場合。


「食事制限」をすれば、アレルギーマーチを予防できるのか?


「食事制限」と「アレルギーマーチ」の関係について、実際に調べるのは難しいです。


そんな難しい中でも、1つだけ参考になる次のような報告があります 1)


「卵アレルギーをともなったアトピー」と診断できた子どもたちを2つのグループにわけた。


卵の除去をしなかったグループ

卵の除去をしたグループ


2つのグループの、その後の経過を比較。


調査では、卵の除去食をおこなったグループのほうが、その後、ぜんそく、ダニアレルギーになった人数が少なかった。


ぜんそくの発生率は、


卵の除去をしなかったグループ→50.0%

卵の除去をしたグループ→10.1%


2つのグループで、あきらかな差がみられた。


と報告されています。


残念ながら完全にぜんそくを予防することはできません。


でも、この調査結果を単純にみると、


「卵の除去」をおこなったほうが、ぜんそくになる確率を「5分の1におさえられそうだ」


というように考えられます。


だだし、ぜんそくの発生率が減った原因が、


「卵を食べない」で直接、食物アレルギーがおさえられたから、なのか


それとも、


「卵を食べない」で食物アレルギーがおさえられた結果、アトピーがよくなったから、なのか


この調査だけでは、わかりません。


「食物アレルギー」と「アトピー」は、関連はあるんですが、それぞれ別の2つの病気です。


「食物アレルギー = アトピー」ではありません。


ただ、「アトピーの状態をよくしてあげたほうが、ぜんそく発生率が低くなるかもしれない」ということだけは、この調査からもわかります。


食物制限をすればアレルギーマーチは防げるのか


食事制限は、「特定の食べ物」を食べないということ。


やろうと思えば、今からでも家できてしまう治療法なんですね。


しかし、素人判断で食事制限を続けるのは危険です。


栄養、成長を考えると、カンタンに続けられるものではありません。


食物負荷テストの知識、経験をたくさんもっている病院で、きちんとした診断をしてもらう。


そうしてから、きちんと食事制限を始めるほうが無難です。


「食物アレルギーが影響しているアトピーか」


適切な診断によって、食事制限をするのなら、ぜんそくを予防する可能性は、じゅうぶんに考えられます。


もちろん、「アトピーそのものも治療しながら」、ですね。


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参考文献:

1) 伊藤節子: 小児科臨床 51: 1957-1966, 1998.