未来を担う美術家たち DOMANI・明日展2009 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

先日、サントリー美術館の “清方/Kiyokata ノスタルジア” を観たその足で。
お次は、国立新美術館で、来年1月24日まで開催中の
“未来を担う美術家たち DOMANI・明日展2009” を観てまいりました。


こちらは、文化庁の在外研修制度 (新進芸術家海外研修制度) により、
海外派遣された若手芸術家の成果発表の場として1998年より毎年開催されている美術展です。

美術展のタイトルにある “DOMANI” という、
この耳慣れない単語は、イタリア語で、 『明日』 という意味。

つまり、日本の美術界にも…




ということなのでしょう。


・・・しかし。
来年の今頃は、
この 『明日』 があるかは、わかりません。
というのも、この文化庁の在外研修制度。
最近話題になった、あの仕分けの標的になりましたそうで。。。
どうやら、今のままでは、 『明日』 がないご様子。
今年が、DOMANI・明日展のラストイヤーにならないことをただただ祈るのみです。


さてさて、会場では、蓮舫にも負けず、
今後の日本美術界を背負って立つ12名の実力作家が、それぞれの空間で作品を発表しております。


12名それぞれ良かったです!

…と言いたいところではありますが、
まぁ、これは、人それぞれの好みの問題で。
僕が気になったのは、4名の作家。
12人中4人ですから、打率 (?) は約3割5分。
なかなかのヒット率です。


では、その4名の作家をご紹介。
まず一人目は、吉田暁子さん。
“暁子” と書いて、 “ぎょうこ” さんとお読みするそうです。

HPは、こちら↓
http://www.geocities.jp/gyokoyoshida/index.html

作品ページは、こちらです↓
http://gyokoyoshida.net/

展示スペース全体を使った、巨大なインスタレーション。
国立新美術館の白い壁と茶色い床に、
緑を基調とした小さな絵画群と、空を舞うティッシュ (白い和紙?) が見事に映えていました。
何となく、森ガールの印象。


二人目は、伊庭靖子さん。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~iba/yibahp/

布や陶器をクローズアップして描き、
その質感を見事に再現している作家さんです。
若者言葉で評するならば、
特に陶器の質感は、いい意味で、ヤバいです!
あまりに精巧すぎて、触って確かめてしまいたくなります。
・・・もちろん、自制しましたが。


三人目は、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ポスター


こちらの “DOMANI・明日展2009” のポスターに作品が使われている安田佐智種さん。
彼の作品は、このように高層ビル群を、
さらに高い位置から見下ろしたような不思議な風景写真。
しかし、これ、単なる風景写真ではなく、
東京や香港、ニューヨークなどで俯瞰撮影した高層ビル群の写真を、切り取り、加工し、作り上げたもの。
実はフィクションの世界なのです。

不思議な魅力に満ちた作品です。
高所恐怖症の僕は、1分も観続けていられませんでしたが… (笑)



そして、最後にご紹介したいのが、

《樹海》 (部分)
アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《樹海》(部分)


こちらの絵を描いた呉亜沙さん。
http://www.goasa.net/

実は、昨年の9月に府中市美術館で公開制作をしている時に、
この方の存在を知りました。
その独特の可愛らしい世界観に、
意外と可愛い絵が好きな僕(笑) は、惹き付けられました。
その時にもらったポケットティッシュを、今でも使わずに大事に持っております。
(なぜに、ポケットティッシュ??)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ポケットティッシュ


今回の “DOMANI・明日展2009” の展示では、
断トツに呉さんのコーナーが、僕的には良かったです。
彼女の世界観が、見事に詰まっていて。

ちなみに、僕のオススメ作品は、
呉さんのHP内の左脇の 『the SETTING 』 をクリックすると見られる、
《芝浦ー私のアトリエー》 という一枚。

自分の今の住まいの近所なので、とっても親近感が。
“関電工” と書かれたビルとか、
東京タワーとか、京浜東北線とか山手線とか。
あの芝浦が、ここまでファンシーになるかと、驚嘆の一枚です。




というわけで、いろんな作家さんとの出会いはあったわけですが。
肝心の評価としては、
星
一つ星。
美術展全体としては、ただ12人の作家を並べただけという感じで。
言い方を乱暴にすれば、
ブースだけ割り振って、あとはご自由にと、物産展とそう変わらない感じでした。
国立新美術館でやる意味があったのかなぁというのが、正直なところです。


…図らずも、自分も事業仕分け人にように厳しい評価を下してしまいました。
反省。



反省していますので、ランキングへのご協力をお願いしますm(__)m

Blogランキングへ   にほんブログ村 美術ブログへ