今年の夏の伝説の美術展 “ぱれたん探検隊 絵の国のひみつに挑戦!” 以来、
久しぶりに、府中市美術館に行ってまいりました。
来年の2月14日まで開催されている現在の美術展は、
“市制施行55周年記念 ターナーから印象派へ 光の中の自然”
市制施行55周年記念。
“生誕 (没後) ●年” とか、 “開館●年” を記念した美術展は数多くあれど、
市制施行を記念した美術展は、初めてお目にかかりました。
そういうパターンもあるのですね。
さすがに、市制が絡んでいるからでしょうか。
今回は…
黄色い彼 (=ぱれたん) と、その友人の紫の彼 (=むら田) の出番はなし。
むら田ファンとしては、少々寂しい限り。
ただ、ターナーの絵を筆頭に、
ミレイやピサロ、ゴーギャンといった巨匠の作品がズラリと府中市に勢ぞろいしたレベルの高い美術展。
自分が、学芸員さんだとしても、この二人は登場させません (笑)
やはり、今回の展示の目玉は、ターナー。
イギリスが生んだ超がつくほどの巨匠です。
なかなか日本ではお目にかかれない彼の作品が、今回は5点も展示されているのです!
…とは言え、あまり過度な期待はしませぬように。
僕もターナーが5点あると事前に知って期待しすぎたため、
会場では、多少肩すかしを食らいました。
5点のうち4点は水彩画。
《エーレンブライトシュタイン》
《赤と青、海の入り日》
イイ絵であることは間違いないのですが、
水彩画のため、意外とあっさり観終わってしまいます。
一方、一点だけあった油彩画も。
《タブリ・ハウス-准男爵 J.F.レスター卿の屋敷、風の強い日》
まぁまぁな感じで… (苦笑)
これまた、あっさりと観終えてしまいました。
ターナーを目当てに行くと、
“あれれっ?ターナーが目立ってなくない?” という具合になる可能性はありますので、ご注意下さいませ。
(体験者は語る)
しかし。
ターナーを目当てに行ったわりには、
“あれれっ?この作品のがターナーより良くない?” という具合になる可能性もあります。
(体験者はまたまた語る)
例えば。
ジョン・エヴァレット・ミレイの 《グレン・バーナム》
昔にこのblogの記事で発表したことがありますが、
やはりミレイの世界観は、どこか 『北の国から』 に通じるような気がします。
(参照:ミレイについて 【倉本聰】 で読み解いた過去記事 )
何とも、叙情的な感じな一枚です。
それから、ジョージ・クラウセンの 《春の朝:ハーヴァーストック・ヒル》
画面ギリギリに母娘がいるという構図が、かなり斬新。
何とも映画的です。
こういった画を、映画のカメラで撮る分には、問題ないでしょうが、
実際にモデルを立てて、絵で描くには、問題が大ありです。
二人がいくらなんでも近すぎます。
どんな感じで描いたのかなぁと、いろいろと考えてしまいました。
さてさて、何と言っても、
僕が、今回、一番目を奪われた作品が、こちら。
ウィリアム・ヘンリー・ハントの 《イワヒバリの巣》
画像で観ても、十分美しいですが、
本物は、この10倍以上美しいです。
ハイビジョン放送の画面を最初に観た時くらいの衝撃を受けました。
実際、この作品は、
「水彩画の傑作」
として、世に名高い作品。
鳥の巣を描かせたら右に出るものはいない、
“鳥の巣のハント” ことウィリアム・ヘンリー・ハントの名画です。
こんなにもスゴイ作品が来ているのに、
ポスターにもパンフにも、webでも全くこの作品の告知がなされていませんでした。
さすが、府中市美術館!
嬉しいサプライズ演出です (?)
この絵に出会えたということで、
2つ星にしちゃいましょう。
いやぁ、それくらい良かったです!
…ただ一つ。
重大なことが気になっています。
この美術展って、結局、何がテーマだったのでしょうか?
全体的に、何となくイイ絵が集まっているというだけで
美術展全体を貫くようなこれといったテーマがありませんでした。
時代も、地域も、画題もバラバラで。
府中市の市政は、どこへ行くのでしょう?
そんなことを不安に思ってしまうほど、何とも漠然とした美術展でした。
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