総合もくじ ☆ a gardian angel
誘惑 ユ・ウ・ワ・ク ~君がもっと欲しい~ 4
ACT4. プライド
(SIDE 尚)
ドキドキと早鐘を打つ鼓動…赤くなった頬を隠すように視線を逸らした。
そんな俺に気づいたのか…キョーコが話しかけてきた。
「ねぇ…?あんたはどっちが好き?」
どっち…って…その質問に応えようにも…俺を見上げるその目がすごく艶かしくて…息を飲んだ。
さっきの色気なんて比じゃない…
周囲を見渡せば、そんな匂い立つようなキョーコの色香に中てられたスタッフが…頬を染めて見惚れてやがった。
俺はそんなスタッフの姿にムカついて…我に返った。
どこでそんな顔を覚えてきたのか…無性に腹が立ってきて…ついっ憎まれ口を叩いてしまった。
「はんっ…俺は、お前になんか興味ねーよ。
少し騒がれた位で追いついたつもりになってるんじゃねーだろうな?」
言葉とは裏腹にキョーコの一挙一動に振り回されてる自分がいる…。
らしくないキョーコの姿に…いつもの調子で挑発してやった。
そうすれば…この動悸もおさまる気がしたんだ。
なのに…キョーコは、そんな俺の誘いにはのってこなかった。
落ち着いた口調で…艶めいた雰囲気のままに、上目遣いに聞いてきたんだ。
「…追いかけていて欲しい…?」
「?!」
意味ありげに微笑んで…そう言ったキョーコの言葉に動揺した。
まるで、私はどっちでも構わないのよ…って…俺の反応を試すような言い方…。
その言葉に急に不安になった。
今日…来た時から感じてた違和感…気のせいかと思ってたけど…違う。
感じない…今まで俺に向けられていたあの激しい憎悪という名の執着を感じられない…。
嫌な予感がする…役が憑いてるからって…こんなに変わるもんなのか?
だけど、キョーコのナツは…クールビューティで…確かにいい女だった。
こいつには…女優としての天賦の才能があるってこと…だ。
そう…これはキョーコの演技なんだって思い込もうとした。
じゃなきゃ…冷静でいられない気がしたんだ。
俺以外の男がキョーコを変えたなんて思いたくなかったから 。
なのに 気づいてしまった。
再開された撮影の中で…俺に視線を絡ませて誘うお前に…近づいて
俺の中から沸き上がる衝動のままにキョーコの胸元に顔を寄せた。
背後から聞こえたOKの声…だけど、俺は聞こえないふりをした。
俺の目に映る…キョーコのソレ…それを見た瞬間、頭をガツンと殴られたような衝撃が走った。
目立たないように隠してあったけど…アレは間違いなくキスマーク…
嘘だろ…キョーコが…キョーコが簡単に身体を許すはずなんてないっ。
あのキョーコが…嘘だ!嘘だ!嘘だ!そう自分に言い聞かせようとしてたのに
その視線に気づいたキョーコがソレを庇うように隠して顔を赤く染めた。
ショックだった 。
裏切られたような気持ちになって、思わず、ここがどこか忘れてしまった。
「なんだよ、ソレ!!どういうことなんだよっっ!!」
キョーコの肩を掴んで…声を荒げてそう言ってた。
俺の怒号に現場がシーンとなった後、何事かと心配した祥子さんが駆け付けてきた。
スタッフも突然の事に驚いてる。
そんな時…出入り口付近から、女性スタッフの黄色い声が飛んできた。
スタッフの上げた声に思わず振り返った俺と、目が合ったその男は…
スッと近づいてきてキョーコの隣に立った。
「お疲れ様…最上さん。」
にっこりと微笑んだソイツは…さりげなく俺とキョーコを離すと周囲には聞こえない声で…
「役に立ったみたいだね…俺のお守り…」
お守り…だと?…
「!!」
…まさかっ、アレは…アイツが?!…ってことは二人は 。
「なっ…/// なんの役に立ったっていうんですか~~っっ」
顔を真っ赤にさせて抗議してるキョーコ…の目には…
あいつしか映っていなかった…。
「ん…?あぁ、そうだね、このドレスじゃ隠せなかったね。」
真っ赤な顔でポカスカ殴るキョーコに笑いながら、ごめんごめんと言ったその男は…俺の視線に気づいて…しれっと言ったんだ。
「…けど、一番気づいて欲しかった奴には気づいてもらえたみたいでよかったよ。」
「!!」
こいつ、わざと…俺に見せるためにわざとそんな痕を…残したっていうのか?!
いや、そんなことはどうでもいいんだ。二人が…
キョーコがこいつに身体を許したなんて…知りたくなかった。
仲良さそうに痴話ケンカする二人の姿に…身体を引き裂かれるような痛みが俺を襲った。
悔しさとやりきれない気持ちで…俺はキョーコに言った。
「お前…俺を追いかけてたんじゃなかったのかよっ…」
何で他の男に…こいつに落とされてるんだよっっ
お前は俺だけを見てたはずだろうっっ
言葉にできない想いが俺の中で、出口をなくして暴れていた。
「…言わないとわからないほど…君は鈍い男じゃないだろう?」
「っ…敦賀さんっっ///」
頬を染めるキョーコの姿に胸がひどく痛む…。
俺は何をしてた…?こんな想いをするなら…あの時に言っておけばよかったんだ。
変なプライドにこだわったりしないで…
コイツを失うくらいなら…プライドなんて…っっ
だけど…キョーコの幸せそうな顔に俺は…もう…取り戻せないんだ…ってことに気づいた。
「よかったな。お前みたいなのでも…好きになってくれる物好きがいて…」
精一杯の虚勢…そういった俺に顔色を変えたキョーコが小さな声で詰め寄った。
「なっ?!ちょっと失礼なこと言わないでよ!!それにアンタここがどこだかわかってるの??」
周囲のスタッフに筒抜けなのを気にしてるのは…キョーコだけ。
アイツは憎たらしいほどの余裕をかまして俺を見ていた。
その顔に…元々嫌いだったが…心底こいつが嫌いだって思った。
俺のキョーコを奪ったこの男が 。
「お前…わかってるんだろうな?」
アイツを一瞥してキョーコに言った。
「何よ…?」
並の女じゃ…この男の隣は務まらないだろう…。
そう思って口にした言葉だったが…俺の隣りにずっといたキョーコなら…
今の…これからのキョーコなら…そう納得できてしまった自分が悔しかった。
クソッ…俺は…いつか必ずこの男を抜いてみせる。
そして、キョーコに…俺を落とさなかったことを後悔させてやるからな。
「いや…なんでもねーよ。今回は…花束は…贈らねーからな。」
そういうと、キョーコを背に隠してアイツが言った。
「…心配には及ばないよ?彼女の望むものなら…俺がすべて用意するから…ね。」
そういって…にこやかに笑顔を送るこの男の顔を…腹立たしく見上げた。
「チッ…」
拳をギュッと握りしめて…やってられねー…とばかりに踵を返した。
アイツをみつめるキョーコをこれ以上見ていたくなかった。
足早に立ち去る俺を…追いかけてきた祥子さんが心配そうに言った。
「い…いいの?尚…」
「……。」
その問いには応えなかった…いいも悪いも…もう遅いんだ。
キョーコの瞳は俺をみてなかった。
アイツの存在が…俺よりも大きくなってしまったんだ。
キョーコはそこらへんにいる女とは違う…そのキョーコがアイツを選んだんだ。
気持ちが簡単に揺らぐはずがない…
格好悪く…キョーコに縋るなんて…そんなことできなかった。
張り裂けそうに痛い胸を抱えてても…そんな俺の姿をあいつに晒したくなんてなかったから。
結局…俺に残ったのは プライドだけだったんだ…。
WEB拍手
ラブラブな蓮キョにぽちっとヨロシク… ww
素敵なスキビサイトの旅へLet'S GO! → スキビ☆ランキング
みーからのお願い 毎月1日カウンターリセット…
携帯ユーザー様のINカウントがないと消えてしまう…ので… うっ…悲しい記憶がっっ
素敵なスキビサイトを旅しながら… (だけど、みーのことも忘れちゃいやんっ )
スキビスキーの輪を広げていきたいと思いますので…ご協力よろしくお願いします。