さてクイズです ~ 「本をめぐる物語 一冊の扉」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

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「タイトル買い」とでも言ったらいいのでしょうか、
本好きの心をくすぐるタイトルってありますよね。

私の場合、「雨の日はソファで散歩」(種村季弘)、
「人質の朗読会」(小川洋子)、「幻影の書」(ポール・オースター)
といったところがこれにあたります。

         


これほど直球で、しかもアンソロジーとなると、
ふだんなら手を出さないところですが、
作者の名をみて思わず手を出してしまいました。
(電子書籍なのでクリックする『指を出した』という方が正しそうですが)
 

本をめぐる物語 一冊の扉 / 中田永一、原田マハら (角川文庫)
 ¥562 Amazon.co.jp / ¥260 Kindle版

まだ読んだことのない作家も3人の作品も楽しみです。
正直なところ、失望したとしても短篇なので時間的傷も浅いので、
気楽といった方がよさそうですが。

         

書いているのは次の8人。(五十音順)
(a) 朱野帰子、(b)小手鞠るい、(c) 小路幸也、(d) 沢木まひろ、
(e) 中田永一、(f) 原田マハ、(g) 宮木あや子、(h) 宮下奈都。

こんな設定の8篇です。(目次順)
(1) 高校の同人誌で人気者だったのに卒業後は書かない女子大生。
(2) 父親に本を贈られた、ひとり暮らしを始める女子大生。
(3) アルツハイマーを患う父の、戦地に持って行った本の記憶。
(4) 自殺した老女流作家に遺作の仕事を託された装幀家。
(5) 本を出版することになっためんどうな夫をもつ妻。
(6) 女性編集者に叱咤されつつ一発屋になりかけた作家の私小説。
(7) アメリカで日本人作家がみた食堂のテーブルに伏せられた一冊。
(8) 作家に指名された、思ったことを口にしてしまう校閲者。

さて、どの作家がどんな設定の作品を書いたのか?
解答はブログ末尾の<目次>をご覧ください。

         


私のお気に入りは、(1)、(3)、(6)。とりわけ(3)。さすがです。

主人公の女性は、母の死後、父の介護のために帰郷します。
母にずっと託してきたことに対するそこはかとなく漂う後ろめたさ。

父親の夢、歴史に翻弄される父、戦場に持参した一冊の本。
戦場に本をもっていく、父の後ろめたさ。
その本をもらった経緯か感じる、父のもうひとつの後ろめたさ。

アルツハイマーを患った父のその本に関する真偽を疑う娘が
いきついく心情に、微かな期待を感じさせてもらいました。
(これを感じられないと、読み終えてとてもきつかったと思います)

         


それにしても、この本のタイトル、手間をかけて
もう少し輪郭をぼかし、匂いから察するものにして欲しかったですね。


<目次>
メアリー・スーを殺して  中田永一
旅立ちの日に  宮下奈都
砂に埋もれたル・コルビュジエ  原田マハ
ページの角の折れた本  小手鞠るい
初めての本をつくるあなたがすべきこと  朱野帰子
時田風音の受難  沢木まひろ
ラバーズブック  小路幸也
校閲ガール  宮木あや子


[end]


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