カセットデッキ 『 Lo-D D-800 』 の修理 - Part1 | アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々
 1月30日の“カセットデッキ『Lo-D D-3500』の修復-Part3” に書いた
ように D-3500の60Hz用モータープーリーを入手するために某ネット
オークションでD-3500のジャンク品を捜していたら、たまたま
『Lo-D D-800』というカセットデッキのジャンク品を見つけました。

調べてみたら、D-800はD-3500の後継機種として1977年頃に発売された
もので、D-3500とほぼ同等の性能である事が判りました。

オークション出品者による商品の説明には、
「電源入りますが再生などの基本的な動作いたしませんでした。・・・
・・・部品取り、メンテナンスできる方の入札をお勧めいたします。」
と書かれていました。

使用されているモーターのタイプはD-3500と違うけど、開発時期が
近いので同じモータープーリーを使用している可能性があり、
D-3500の修復に使用できるのではないかと考えました。
また、写真で見た感じでは機器の状態が非常に良さそうなので、
ゴムベルトを交換するだけで復活する可能性があり、D-3500の修復が
挫折した場合の代替え機として使えると考え、入札して落札しました。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f01
標準でウッドケースが付いていて、高級感があります。
大きな破損や汚れはなく、機器の状態は非常に良さそうです。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f02
ウッドケースを外したら、別の製品のような感じになりました。
製造後ウッドケースを一度も外した事がないのか、金属製カバーの
上に埃が相当積もっています。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f03
カバーを取り外しました。
右側に回路基板、そして左側にメカがあります。

先ず、シャーシーの上側に使われているゴムベルトをチェックします。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f04
手前右端のテープカウンターのプーリーから左奥のプーリーまで
ゴムベルトが架かっていたはずですが、左奥のプーリーから外れて
シャーシーに垂れ下がっています。
非常に長い“超長サイズ”のゴムベルトです!!

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f05
前の写真の左奥に見えたプーリーと、切れて脱落したゴムベルトです。
プーリーは2階建てになっていて、1階のプーリーと2階のプーリーは
細長いシャフトで繋がっています。
1階のプーリーとその右側のプーリーの間のゴムベルトは切れないで
原形を留めています。
右側のプーリーは2段重ねになっていて、下段のプーリーとその奥の
見えない所にある巻き取りリールを結ぶゴムベルトも無事です。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f06
切れた“超長ゴムベルト”の残骸を綿棒などを使って取り除きました。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f07
ゴムベルトの残骸を取り除いたあとのプーリーを清掃しました。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f08
タコ糸を使って“超長ゴムベルト”に相当する長さを測りました。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f09
次は、底板を外してシャシー下側のゴムベルトを調べます。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f10
中央に見えるのがキャプスタンプーリー兼フライホイールで、その右の
方に見えるのがモータープーリーです。
両プーリー間に架かっていたはずの平ゴムベルトは溶け落ちて、その
残骸が各プーリーに張り付いています。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f11
モータープーリーはD-3500用とは異なる形なので、D-3500の修復には
流用できません。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f12
キャプスタンプーリー兼フライホイールを取り外しました。
右下に伸びている光沢のある金属棒がキャプスタンです。
平ゴムベルトの残骸がプーリーの表面にこびり付いています。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f13
布手袋をゴム手袋に替えて、精製水で希釈した無水エタノールなどで
プーリーの表面を清掃しました。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f14
モータープーリーの表面にも平ゴムベルトの残骸がこびり付いています。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f15
これも、精製水で希釈した無水エタノールなどで表面を清掃しました。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f16
キャプスタンプーリー兼フライホイールの下に使われている2本のゴム
ベルトは、切れもせず原形を留めていました。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f17
タコ糸を使って、平ゴムベルトに相当する長さを測定しました。

以上、ゴムベルトの状態を調査した結果をまとめると、
このデッキには1本の平ベルトと5本の角ベルトが使われていて、
そのうち平ベルトとテープカウンタ用角ベルトが劣化によって切れていた。
残り4本の角ベルトは切れていないが、少し劣化している。

という事で、一応全て交換する事を前提に、原形をとどめている物は
実物のサイズを測定し、切れている物はタコ糸を使用する方法で測定して、
それぞれに近いサイズの商品を発注しました。
発注先は先日の“CDプレーヤー『Lo-D DA-703D』の修理” の時と同じく
『広正エレクトロニクス』

発注の翌日、メール便で着荷。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f18
新しい平ベルトをモータープーリーとキャプスタンプーリーの間に架けて、
正常に回転する事を確認しました。

5本の角ベルトの内、テープカウンター用以外の4本は概ね希望通りの
サイズの物が入手できて、それぞれ交換しました。

しかし、テープカウンター用だけは“超長サイズ”のため、適当な物が
入手できませんでした。
タコ糸による実測値が505mm(円周)、よって折径=252mmなのに対して、
『広正エレクトロニクス』のメニューの最長品の折径=138.5mmなので、
折径で約11cm、円周で約23cmも短い!
無理かな?と思いながらも伸び代に期待して、これを購入しました。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f19
目一杯伸ばして何とかプーリーに架けたけど、張力が強すぎてプーリー
が全く回転せず、テープカウンターは作動しませんでした。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f20
代替品として、以前別の目的でホームセンターで買ってきて保管していた
(株)共和製『オーバンド:#470』(折径180mm、切幅6mm、厚み1.1mm)を
カッターで1mmの幅に切り出して、角ベルトを作ってみました。
右側が1mm幅に切り出した角ベルト、左側が残りの5mm幅の平ベルト。

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アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々-f21
これも目一杯伸ばしてプーリーに架けました。
相当きついけど何とかプーリーが回転して、テープカウンターも作動する
ようになりました。
しかし、カウンターの動きが少しぎこちないしモーターの負担も大きい
と思われるので、引き続き正規の長さに近い物を捜すことにしました。

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この続きは“Part2” へ・・・

《参考リンク》
カセットデッキ 『 Lo-D D-3500 』の修復 - Part3
広正エレクトロニクス㈱
CDプレーヤー 『 Lo-D DA-703D 』の修理
カセットデッキ 『Lo-D D-800』 の修理-Part2

-完-