ように D-3500の60Hz用モータープーリーを入手するために某ネット
オークションでD-3500のジャンク品を捜していたら、たまたま
『Lo-D D-800』というカセットデッキのジャンク品を見つけました。
調べてみたら、D-800はD-3500の後継機種として1977年頃に発売された
もので、D-3500とほぼ同等の性能である事が判りました。
オークション出品者による商品の説明には、
「電源入りますが再生などの基本的な動作いたしませんでした。・・・
・・・部品取り、メンテナンスできる方の入札をお勧めいたします。」
と書かれていました。
使用されているモーターのタイプはD-3500と違うけど、開発時期が
近いので同じモータープーリーを使用している可能性があり、
D-3500の修復に使用できるのではないかと考えました。
また、写真で見た感じでは機器の状態が非常に良さそうなので、
ゴムベルトを交換するだけで復活する可能性があり、D-3500の修復が
挫折した場合の代替え機として使えると考え、入札して落札しました。
f01
標準でウッドケースが付いていて、高級感があります。
大きな破損や汚れはなく、機器の状態は非常に良さそうです。
f02
ウッドケースを外したら、別の製品のような感じになりました。
製造後ウッドケースを一度も外した事がないのか、金属製カバーの
上に埃が相当積もっています。
f03
カバーを取り外しました。
右側に回路基板、そして左側にメカがあります。
先ず、シャーシーの上側に使われているゴムベルトをチェックします。
f04
手前右端のテープカウンターのプーリーから左奥のプーリーまで
ゴムベルトが架かっていたはずですが、左奥のプーリーから外れて
シャーシーに垂れ下がっています。
非常に長い“超長サイズ”のゴムベルトです!!
f05
前の写真の左奥に見えたプーリーと、切れて脱落したゴムベルトです。
プーリーは2階建てになっていて、1階のプーリーと2階のプーリーは
細長いシャフトで繋がっています。
1階のプーリーとその右側のプーリーの間のゴムベルトは切れないで
原形を留めています。
右側のプーリーは2段重ねになっていて、下段のプーリーとその奥の
見えない所にある巻き取りリールを結ぶゴムベルトも無事です。
f06
切れた“超長ゴムベルト”の残骸を綿棒などを使って取り除きました。
f07
ゴムベルトの残骸を取り除いたあとのプーリーを清掃しました。
f08
タコ糸を使って“超長ゴムベルト”に相当する長さを測りました。
f09
次は、底板を外してシャシー下側のゴムベルトを調べます。
f10
中央に見えるのがキャプスタンプーリー兼フライホイールで、その右の
方に見えるのがモータープーリーです。
両プーリー間に架かっていたはずの平ゴムベルトは溶け落ちて、その
残骸が各プーリーに張り付いています。
f11
モータープーリーはD-3500用とは異なる形なので、D-3500の修復には
流用できません。
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キャプスタンプーリー兼フライホイールを取り外しました。
右下に伸びている光沢のある金属棒がキャプスタンです。
平ゴムベルトの残骸がプーリーの表面にこびり付いています。
f13
布手袋をゴム手袋に替えて、精製水で希釈した無水エタノールなどで
プーリーの表面を清掃しました。
f14
モータープーリーの表面にも平ゴムベルトの残骸がこびり付いています。
f15
これも、精製水で希釈した無水エタノールなどで表面を清掃しました。
f16
キャプスタンプーリー兼フライホイールの下に使われている2本のゴム
ベルトは、切れもせず原形を留めていました。
f17
タコ糸を使って、平ゴムベルトに相当する長さを測定しました。
以上、ゴムベルトの状態を調査した結果をまとめると、
このデッキには1本の平ベルトと5本の角ベルトが使われていて、
そのうち平ベルトとテープカウンタ用角ベルトが劣化によって切れていた。
残り4本の角ベルトは切れていないが、少し劣化している。
という事で、一応全て交換する事を前提に、原形をとどめている物は
実物のサイズを測定し、切れている物はタコ糸を使用する方法で測定して、
それぞれに近いサイズの商品を発注しました。
発注先は先日の“CDプレーヤー『Lo-D DA-703D』の修理” の時と同じく
『広正エレクトロニクス』 。
発注の翌日、メール便で着荷。
f18
新しい平ベルトをモータープーリーとキャプスタンプーリーの間に架けて、
正常に回転する事を確認しました。
5本の角ベルトの内、テープカウンター用以外の4本は概ね希望通りの
サイズの物が入手できて、それぞれ交換しました。
しかし、テープカウンター用だけは“超長サイズ”のため、適当な物が
入手できませんでした。
タコ糸による実測値が505mm(円周)、よって折径=252mmなのに対して、
『広正エレクトロニクス』のメニューの最長品の折径=138.5mmなので、
折径で約11cm、円周で約23cmも短い!
無理かな?と思いながらも伸び代に期待して、これを購入しました。
f19
目一杯伸ばして何とかプーリーに架けたけど、張力が強すぎてプーリー
が全く回転せず、テープカウンターは作動しませんでした。
f20
代替品として、以前別の目的でホームセンターで買ってきて保管していた
(株)共和製『オーバンド:#470』(折径180mm、切幅6mm、厚み1.1mm)を
カッターで1mmの幅に切り出して、角ベルトを作ってみました。
右側が1mm幅に切り出した角ベルト、左側が残りの5mm幅の平ベルト。
f21
これも目一杯伸ばしてプーリーに架けました。
相当きついけど何とかプーリーが回転して、テープカウンターも作動する
ようになりました。
しかし、カウンターの動きが少しぎこちないしモーターの負担も大きい
と思われるので、引き続き正規の長さに近い物を捜すことにしました。
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この続きは“Part2” へ・・・
《参考リンク》
カセットデッキ 『 Lo-D D-3500 』の修復 - Part3
広正エレクトロニクス㈱
CDプレーヤー 『 Lo-D DA-703D 』の修理
カセットデッキ 『Lo-D D-800』 の修理-Part2
-完-