CDプレーヤー 『 Lo-D DA-703D 』の修理 | アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々
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アナログテックのブログ-01
これは今から22年前(1988年2月)に購入したCDプレーヤー
『 Lo-D DA-703D 』です。
'90年代中頃まではよく聴いたけど、その後徐々に聴かなくなって、
8年前の引っ越しの際に段ボールに納めてからは完全にお蔵入り
状態になってしまいました。

一昨年 現住所に引っ越すとき、他の機器(アンプやスピーカー等)や
レコード、カセットテープなどと一緒に思い切って処分する事を
考えたけど、“もったいない精神”が“断捨離”に競り勝って結局
捨てられず、全部持って来てしまいました。

せっかく持ってきたのだから久しぶりに聴いてみようと思い立ち、
段ボールから取り出して電源を入れてみたけど、操作パネルの
オープンボタンを押しても CDを乗せるトレイが出てこない!
最後に聴いたときは正常に動作していた筈なので、恐らく
トレイを駆動するゴムベルトなどの経年劣化が原因だろうと推定。

製造から22年も経っていてメーカー修理は期待できないので、
自分で修理する事にしました。

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原因を調べるために先ずカバーを開けてみました。
古い割には綺麗な状態です!

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ケースの右上から撮影。
手前は回路基板で、奥の黒い装置がCDドライブです。

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CDドライブの右側面にズームイン。
右奥の白い小さなプーリーの下にモーターがあって、その回転が
ゴムベルトで結ばれた真ん中の薄黄色の大きなプーリーに伝えられ、
そのプーリー下の小さなギヤから左奥の大きなギヤを経由して、
トレイを開閉するメカに伝わる構造になっているようです。
この2つのプーリーを結ぶゴムベルトが切れているようです。

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CDドライブをシャーシーから取り外しました。

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CDドライブの裏側にはモーターが2台付いています。
上のモーターがトレイの開閉用で、下の小さいモーターは
CDメディアの回転駆動用と思われます。

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ドライブを水平に戻したらゴムベルトの破片が机上に落下!
ゴムベルトが劣化してボロボロになっているようです。

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駆動される側の大きなプーリーを取り外しました。

溶けたゴムベルトがプーリーに粘着していて、ピンセットで
挟むとそのまま変形して千切れたり、ピンセットに粘着して
離れなくなったりと、非常に扱いにくい状態になってます。
やむを得ず指で摘むと指紋の間に染みこんで容易に落ちなく
なっったりして、非常にやっかいです。

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アナログテックのブログ-09
大きなプーリーを取り外した状態のCDドライブです。
モータープーリーは一見きれいに見えます。

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モータープーリーを指で少し回転させてゴムベルトが接触
していた側を正面に向けると、やはりゴムベルトの残骸が
残っていて相当汚れています。

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水で薄めた無水エタノールを綿棒につけて清掃してみました。
まだ少し黒ずんでいるけど、実用上問題ないと思われます。
(写真がちょっとピンぼけです)

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先に外した大きなプーリーも同様に清掃しました。
指先は真っ黒になったけどプーリーは綺麗になりました。

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清掃したプーリーを取り付けました。

問題は新しいゴムベルトの調達方法です。
製造から20年以上経っている製品なのでメーカーの純正部品は
期待できないし、他機種や他メーカーの部品を流用するとしても、
必要な技術情報の入手が困難です。

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アナログテックのブログ-14
とりあえず、その辺にあった一般的なサイズの輪ゴムを
取り付けてみたけど、長すぎました。
それに材質的にも問題がありそうです。

ネット上でオーディオ機器用のゴムベルトを扱っている
パーツショップを探してみました。
何軒か見つかった中で『広正エレクトロニクス』 という
パーツショップが比較的多くのサイズを揃えている事が
判りました。

実際に注文するためには、適合するゴムベルトのサイズを
割り出さなければなりません。

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ゴムベルトの代わりにタコ糸をプーリーに架けて、
交差する所にサインペンでマークを付けます。

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タコ糸をまっすぐ伸ばして長さを測定します。
『 約114mm 』といった所でしょうか。

ゴムベルトの太さは、細切れになった残骸をノギスを
使って測定したら『 約1.6mm 』でした。

『広正エレクトロニクス』 のゴムベルトのサイズは、
“直径(内径)×巾(厚み)×折径(内径)”で表示されています。
ここで、直径はゴムベルトを真円状態に置いたときの内径で、
折径はゴムベルトを直線状に折ったときの内側の長さです。

タコ糸で測った長さは円周に相当するので、
・直径=円周÷円周率=114mm÷3.14≒36mm
・折径=円周÷2=114mm÷2=57mm
・幅=1.6mm(残骸の実測値) 
よって、必要なゴムベルトのサイズは“36×1.6×57”となります。

『広正エレクトロニクス』 の製品メニューからこれに近い
サイズの製品を探すと、N0.5=“33×1.4×54.5”となります。
(内径33で折径54.5というのは計算が合わないけど気にしない)

測定誤差やゴムの伸び代を考慮して、一回り小さいサイズの
No.3=“29×1.5×48.5”も一緒に注文する事にしました。

ホームページの注文フォームから見積もり依頼し、発注。
翌日にメール便でゴムベルトが届きました。

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さっそくNo.5のゴムベルトをリールに装着してみました。
とりあえずOKのようです。

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CDドライブをケースに組み込みました。

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電源を入れて、オープンボタンを押したらトレイが正常に
オープンしました。クローズもOKです。

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アナログテックのブログ-20
カバーを取り付けてラックに載せ、アンプとスピーカーを接続。
昔買ったCDをセットしてPLAYボタンを押したら、スピーカーから
20年前と変わらない音が出てきました。

何枚かのCDを試聴したけど、問題なく再生できました。
但し、古い製品なので CD-Rとの相性は良くないようです。

以上で修理完了です。