ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2015 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

平成27年5月4日(月)、
『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2015』を聴きに行く。



あもちゃん初の試み「1日パスポート券」で、体力のほとんどを奪われた前回の経験を生かし、
今回は再び、聴きたい演奏会を厳選して購入方式に戻した。
 →参考記事『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2014



今年もやってきました、有楽町。

最初の演奏会まで時間があったので、まずは恒例のグッズを漁りに行くで~!!



恐竜のお腹のような中を通り抜け、地下のグッズ売り場へ。

私「新しいキューピーちゃんがいるかな~♪」



私の過去の戦利品のキューピーたち。



お気に入りは左の数量限定バッハキューピーで~す。
か~わえ~。

ウホウホ言いながらグッズ売り場に到着すると・・・

私「なんか変わってない?」
汗「全体的にショボくなった。」→コラッ。

去年10周年を迎え、テーマも様変わり、グッズはもちろんのこと、
なんだか全体的に雰囲気が変わっている気がした。
そして一番の変化が、あの特徴的なイラストが消えたことだ。
(イラストレーターはチェコのアーティスト、イジー・ヴォトルバさん。
 イジーさんのサイト→ http://www.votruba.cz/?l=en

ちょっと気持ち悪くて、でも魅力的。
汗かき夫なんてクラシックに大して興味もないくせに、
作曲家が描かれたクリアファイルなどの文房具を大量に買っていたほど。
そして今も会社で大事に使ってるらしい。
私もそろそろ使おうかな~。→大事にため込むタイプ。

汗「版権がきれたんじゃない?予算をグッズとかにかけなくなったんだよ。」
私「そうなんだろうね~。」

キューピーどころかそれ以外のグッズも魅力なし。
記念の意味も込めて、毎回なにかしらのグッズを買っていた私だったが、
初めて何も手にすることなく去っていったのであった。

私「さ。気をとり直してご飯でも食べにいこうか!丸の内エリアはお任せあ~れ~。」

つい最近までここら周辺で働いてましたからね。
穴場的なスポットに参りましょう☆



緑を散らしていく風が気持ちいい。



私「次の演奏会について予習するぞ~」→今さら?

◇◆



今回はBホールにしたよ☆
前回のAホールはでかすぎてさ~。



私「Bホール・・うちの実家にある中央公民館みたい・・・」

とかなんとか言っているうちに、お時間です。

◇◆

324 16:00-16:55
“恋する作曲家たち~シューマンの愛妻に捧げる 五重奏”
ベアトリーチェ・ラナ(ピアノ)
アルデオ弦楽四重奏団
ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 op.35「葬送」
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44


シューマンのピアノ五重奏曲を聴きたくて、この演奏会を中心にチケットを取った。
シューマンじゃなくても、なかなかピアノ五重奏曲自体を聴く機会はないから。
そしてこのシューマンのピアノ五重奏曲(とドヴォルザークのピアノ五重奏曲)は
思い出深い曲なのだ。
以前も一度、その思い出を感じるために聴きに行ったなあ。
 →参考記事『ニューヨーク・フィルの仲間たち2014

思い出とは・・

「R.シューマンのピアノ五重奏曲 Op.44といえば、
 私がのびのびすくすく育った、岡山県内でも有数のチョー過疎化地域のど田舎村に、
 天下のTSUTAYA様がいらっしゃったのは、私が中学生の頃(小学生かも)であった。
 初物大好きあもちゃん一家、車かっ飛ばして皆でレンタルしに行ったのであります。
 (自販機で缶コーヒー1本買うにも車がないと動けない、それがチョー過疎化地域。)

 映画のビデオ(←昭和だ~)を借りていた父と母、そして妹。
 そんな中、私が借りたのはCD。
 それがこのシューマンのピアノ五重奏曲なのであった。」

で、このたび、そのとき借りたであろうCDが見つかった。

ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲/パネンカ(ヤン)

¥1,080
Amazon.co.jp

多分、これ。
ヤン・パネンカ、という名前に聞き覚えがある。

さて、このシューマンのピアノ五重奏曲であるが、ちょっと調べてみたところ、
クラシック史上重要な存在であるらしい。

「室内楽の編成は、モーツァルトやベートーヴェンが作曲してきたように
 ピアノを加えた室内楽においてはピアノ三重奏曲ピアノ四重奏曲は知られているが、
 弦楽四重奏にピアノを加えたピアノ五重奏曲はなく、弦楽四重奏曲のみが主流であった。
 ピアノを弦楽四重奏の中に置くことは,シューマンが試みたものであり、
 その後、ピアノ五重奏曲は多くの作曲家によって生み出されている。」
(鳴門教育大学研究紀要(芸術編)第19巻2004 村津由利子
 シューマン作曲「ピアノ五重奏曲変ホ長調作品44J についての一考察 より)

クラシック史上、初めてのピアノ五重奏曲と言っても過言ではないだろう。
こういう実験的な試みができたのも、
生まれながらの音楽家、ではなく、研究者から音楽の道に入ってきたシューマンならでは
という感じ。

さて肝心の演奏であるが、むむーん、というものであった。
これを楽しみに来たのに~。
あまりお上手ではない。
というか練習不足?
とにかくミスの目立つ、全く統一感のない、残念な演奏であった。
期待していただけに、トホホ~。
ただ、女性だけのグループは特異な感じもするし、存在だけで美しい、と思ったので、
ぜひ技術を磨いて世界に羽ばたいてほしい。



ちなみにこのシューマンのピアノ五重奏曲、
辻井伸行さんのヴァン・クライバーン国際コンクールセミファイナルの課題曲だった模様。

この演奏がすばらしい。
弦楽四重奏との息がピッタリ。弦の音の筋目をよく読んでる。
辻井くんはピアノソロより、誰かの伴奏とか、協奏曲とか、
そちら方面に才能があるんじゃないだろうか。とか勝手なことを言ってみる。

あとこの曲は、一楽章の出だしが全員でいっせーのせ、で出る曲なのだが、
盲目の辻井くんとどう合わせるのか非常に気になってみていた。
ううーん、すばらしいチームワーク!!

◇◆

325 18:30-19:15
“躍動のバロック~チェンバロ独奏篇”
鈴木優人(チェンバロ)
オーヴェルニュ室内管弦楽団
ロベルト・フォレス・ヴェセス(指揮)
C.P.E.バッハ:シンフォニア ト長調
C.P.E.バッハ:シンフォニア 変ロ長調
C.P.E.バッハ:チェンバロと2つのヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスのための協奏曲 ニ短調


いんやー、これがすばらしい演奏で、
恥ずかしがりやのあもちゃん、心の中でスタンディングオベーション。
さきほどのシューマンの残念な演奏を吹き飛ばしてくれた。

C.P.E.バッハとは、
パパバッハの次男の、カール・フィリップ・エマニュエル・バッハ、である。
当時はパパバッハよりも有名だったとか。
そんな次男バッハの演奏をチェンバロで聴けるとか幸せすぎる。
と、なんとなくチケットをとってみたのだが、期待以上の演奏に至福の喜びであった。

いずれも聴いたことがない曲で、
いやいや、そもそも次男バッハの曲ってよく知らない。
ピアノ曲なら数曲知ってるけど、ちゃんと聴いたのはこれが初めて。

バロック的な曲をイメージしていたのだが、おどろきもものきさんしょのき。←古っ。
演奏が始まってみると、どちらかというとモーツァルトっぽい感じに驚いた。
あー、モーツァルトと一緒にしたらさすがにアマデウスが怒るとは思うが、
曲風がバロックというより古典風なのだ。
きっと当時はこの新鮮な感じが受けたのだと思う。

指揮者のロベルトさんも、オーヴェルニュ室内管弦楽団の方々も、
1曲1曲、音符1つ1つに真摯に向き合う演奏で好感がもてた。
そして当然だが、上手でした。
(そう考えるとあのシューマンの五重奏曲は一体・・・泣)

それにしても1曲目のシンフォニアについては、
終わりが突然やってきて、ズコーとなった。
次男バッハよ・・・まさか未完じゃないよね。

そしてしばしの休憩後、鈴木優人さんをお迎えしてのメインの演奏が始まった。

ドラマティックで、でもバロックの要素も残しながら、ちょっとモダン。
パパバッハとは違う、次男バッハの音楽センスに驚いた。
なんだろう、パパバッハとは全く違う音楽の作り方、というべきか。
ぬくもりがあって、親しみやすく、でもちょっとドキドキさせる。
わたくし、次男バッハのこの曲に、巨乳をわしづかみにされた。
惚れた~。

そして何より、鈴木さんのチェンバロの演奏が大変すばらしく、聞き惚れた。
容姿もなかなかな感じ。鉛筆のようにチョー細くて、髪の毛フサフサ。
その鉛筆&ふさふさ加減は、アルフィーの高見沢か鈴木さんか、というほど。

そのすばらしい演奏に鳴り止まない拍手。
私も手を真っ赤にして拍手を贈った。

私「私のこの想いを、ブラボーって言って。」
汗「うふふ~。ブラボーだね~。」

この役立たず!!!!!
お前、何のために私の隣にいるんだよ!!!!!
と心の中で悪態をついていると、なんとアンコールが始まった。

パパバッハの 《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》の「前奏曲第1番 ハ長調」であった。
(グノーの「アヴェマリア」の伴奏、と言ったらわかりやすいだろうか。)

あまりに有名で、聞き飽きた感のある曲であるが、
チェンバロで聞くと全く違う煌めきを見せてくれる。
さざなみのように寄せては返す流れるようなメロディに、
この曲はチェンバロのために作られたんだなあ、と思い知った。

帰り道、
汗かき夫とさきほどのバッハの演奏会がいかにすばらしかったかについて激論を交わす。
(すばらしかったね~、の言い合いだけですが。)

汗「鈴木さんはきっと大変な人だよ~」
私「うぷぷ~。神経質っぽいよね笑」
汗「気難しそうだ~」
私「それにしても鈴木、鈴木ねえ。チェンバロの鈴木さん。。。
  あの鈴木さんの息子とかかなあ。」

あの鈴木さん、とは、バッハコレギウムジャパンの鈴木雅明さんである。

私「鈴木なんてありふれている普通の苗字だし、たまたま同じで関係ないのかなあ。」

と調べたら、やっぱり親子だった!!

しかも鈴木優人さんの経歴・・・

麻布中、高、ときて、東京芸大、である。。。

チョー優秀!!!

私「いやーん、チョーエリートやーん。」
汗「結婚したら大変だぞー」
私「オバカちゃんの私にはむりむりー><」

と勝手に結婚生活を思い描いて、勝手にお断りするのでありました。



私「ベートーヴェンになるー」
汗「こども?」



私「運命はこのように扉をたたくのでーす^ー^」
汗「・・・」

来年も今年と同じような感じだと、参加をちょっと考えちゃうな~
と思いながらの帰宅でありました。