発達支援センターでの面談で、心理士さんとこんなやりとりがありました。

「ヒルマくんを連れて買い物に行ったときに、お店で駄々をこねたり、

 

床に寝転がって泣いたりすることはありますか?」

 【前回の記事】第11話「発達障がいに気づくまでのこと」(最終話)

じつは意外にも(笑)一度もありません。

 

種を明かせば、騒ぎ出すまえに持参していたお気に入りのおもちゃを渡したり、

 

それが安価であれば欲しい物をひとつだけ選ばせたり、

 

お菓子で気を引いてみたりと、あの手この手でその場をごまかしていたのです。


しつけにはなっていないと思うのですがと苦笑いで答えると、

 

「それでいいんです。それがヒルマくんの特性に合った対応なんです」と説明されました。

 

がまんすることを教えなければという焦りが消えました。


当時2才でしたが、5才になった今では事前に約束したり、

 

なぜ買えないのか説明することでがまん出来るようになりました。

 

時々ヒルマの説得の方がうまくて、特別に買ってもらえる日があったりしますが(笑)

 

 

定型発達の子はなぜがまんができるのか、発達障がいの子にはなぜむずかしいのかが、わかりやすく書いてあります。

 

『それをあきらめたら何が手に入るのか具体的に示して、そちらに気持ちを向かわせる』のがポイントだそうです。

 
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心理士さんと話しながら、わたしはヒルマひとりに疲れ切っているのに、

 

何人も子どものいるお母さんは本当にすごいと思うし、

 

子育て経験の豊富なお母さんだったら、もっと上手く育てられたのだろうと考えて哀しくなりました。


「これまでに5人の子育てをしてきたお母さんでも」

心理士さんが言いました。

 

「ヒルマくんには育てにくさを感じます。どうもこの子は勝手がちがうと。

 

じつは子育てはもっと楽なんです。

 

発達障がいの子とそうでない子を育ててみると、その違いがはっきりわかるんです」


もうひとり育ててみたい! 

一瞬そう思いました。
が、すぐに考え直しました。

もしもまた眠れない子が生まれたら・・・
 

 

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発達障がいがわかったとき、ブログに書くことで「うちの子もそうかも」と不安になる方がいらっしゃるのではと、申し訳なく思いました。

 

睡眠や言葉の遅れについて、「うちも同じです」とメッセージをくださる方が多かったからです。


でも今は、ちょっと考えがちがいます。

 

何度叱っても言うことを聞かない、子育てが楽しいと思えないのは、あなたのせいでも子どもが悪いのでもなくて、

 

おばあちゃんやママ友も経験していない、これまで読み漁った育児書には載っていない事情があるのかもしれません。
 

 

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5月に書き始めた第1話からこの「あとがき」まで、長くなってしまいましたが

 

「発達障がいに気づくまでのこと」を読んでいただきありがとうございました。


またいつか、今度は「発達障がいに気づいてからのこと」を書き始めるかもしれません。

 

そのときは、どうぞよろしくお願いします。

あまみ