久保寺健彦くんの『空とセイとぼくと』を読みました。
 
空とセイとぼくと/久保寺 健彦
¥1,575
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ホームレスの父と共に上野公園で暮らす主人公のぼくは、(ホームレスが公園に建てた)近くの家に住む老人が飼い始めた犬、セイと出会う。
ある朝、木の根元で凍死している父が発見され、ぼくは児童養護施設に入れられる。
だが、すきを見て逃げ出し、再び公園に戻って来、セイの犬小屋にもぐり込む。
やがてセイの飼い主の老人も死んでしまい、ぼくはセイとふたり、あてのない旅に出るのだった。
 

ほとんどあり得ないような設定ですが、久保寺くんが書くと違和感なく読めてしまいます。
 
それにしても、「お父さんは仕事がきらいだなあ」って、この父親は悪い人ではなさそうですが、ダメな奴でしたね。
 
 
何年か経ち、ぼくとセイは新宿にいた。
新宿で、おそらく十四歳のはずのぼくは、ホストクラブで働き始める。
最初はロクにしゃべれず失敗続きだったが、次第に人気が出て、指名客も増えてくる。
だが、ホスト仲間の借金の連帯保証人になったため、店を辞めざるを得なくなってしまうのだった。
 
 
十四歳のホスト! またまたあり得ない展開です。
 
行ったことないけど、ホストクラブって、お金があれば楽しそうですね。
 
 
借金を肩代わりしてくれた客のリカさんの部屋で暮らし始めたぼくとセイ。
ぼくはブレイクダンスの練習を始め、大会にも出るようになる。
そのころから、老犬のセイの元気が次第になくなってくる。
そして、ぼくはセイと一緒にダンスの大会に出場する……。
 
 
主人公のぼくにとって、セイは人生を共に歩んできた唯一の家族なんですよね。
 
そんなセイが衰えていくのを見るのは、辛いです。
 
そんなセイとダンスイベントで踊れるのは、嬉しいです。
 
 
ひとつだけ分からないことが。
 
タイトルの「空」って何?
 
三部構成になっていて、第一部のタイトルが「空」なんですが、全然空が印象的に、あるいは象徴的に書かれていた記憶がありません。
 
平凡ですが、『セイとぼく』ではダメだったのでしょうか。
 
 
評価 ☆☆☆
 
 
これまでに読んだその他の久保寺健彦の本
 
中学んとき  ☆☆☆☆
ブラック・ジャック・キッド  ☆☆☆
 
 
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