本日ご紹介の本は、第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀作受賞のこちら。

ブラック・ジャック・キッド/久保寺 健彦
¥1,365
Amazon.co.jp

ブラック・ジャックをこよなく愛し、ブラック・ジャックのような無免許医になりたいと願う少年の、成長物語。

前に読んだ、『みなさん、さようなら』もそうでしたが、この作者、団地にこだわりがあるようで、今回も巨大団地に住まう少年が主人公となっています。


前半部の終りで、男と駆落ち? しようとしている母親が少年とこれまで暮らしてきた町々をめぐり歩くシーンは、ぐっときます。


ただ、残念な点がいくつか。


① 母親の駆落ちと父親の事業の失敗によって転校することになり、前半と後半では友人が全て入れ替わってしまうところ。

「お医者さんごっこ」をした石野とのその後とか、読んでみたかったなぁ。


② 「ファンタジーノベル大賞」ということで、不思議な力を使う死者?「めぐみ」を登場させたこと。

この小説には不要ですね。


③ 最後に泉の弟を探しに行くのだが、それまで主人公の少年と弟とは面識がないこと。

読者も弟は初めて目にすることになるわけで、これはちょっと感情移入しにくいですね。

なにか一つ二つエピソードを入れておいてもらえると、あの子は大丈夫か! と、はらはらできたのですが。



評価 ☆☆☆



  ブックオフオンライン    ブックオフオンライン