熊本地震の現実は益城町にいかないとわからない。
路面は波打ち、亀裂が走り、
電信柱は傾き、木造家屋は崩れ、
建物の形をとどめないものも多い。
縦揺れ横揺れに加えねじれまで加わった複雑な揺れによって被害がひろがった。
死者49人、関連死疑い20人、行方不明者1人、負傷者1,684人、避難者数183,882人。
そのなかでも益城町の死者20人、南阿蘇の死者15人がもっとも多い。
被災したあきほやボランティアのゆかたちの紹介で「益城中央小学校」で3本の支援ライブをおこなうことになった。全校生徒400人中、4.5.6年生の三学年半数以上の子どもたちに聞いてもらう。
9:45-10:25【5年生 2クラス 79人】もちろん地震は子供たちにとって大きなトラウマだ。しかし彼らこそが長い復興を支える力になっていく。
オレは試練こそが彼らの未来を輝かすパスポートになると信じているので、彼らが自分で未来を選び取れる自由を伝えたかった。
やんちゃな五年生たちが、何をやるんだろうと目を輝かせて音楽室に入ってくる。
「遠慮しないでもっと前に来て」というと、イェーイ!やったぁ〜!と、すぐ目の前にやってくる。
1.光の子どもたち
2.トゥルーストーリー
3.ハイボクノウタ
4.目をつぶって歩く体験(挑戦:のどか)
コンちゃんのエスコート実践(挑戦:こうちゃん )
5.勇者の石(ボーカル:コンちゃん)
学年ごとにセットリストや内容もぜんぜんちがう。
パーカッションのヒロとオレは毎回ちがうかぶりものをして、子供たちといっしょに遊ぶ。
「ウサギとカメの話を知ってる人?」山ちゃんが元気に答える。
「ウサギと、カメがレースして、ウサギが寝てるうちに、カメがその間にゴールしちゃった話です!」
「大正解! そうそう、昔は人の油断につけこんで勝つ人がほめられたんだけど、もう自分だけ勝つって時代は終わって、みんなで助け合って生きていく時代になったの。
カメがウサギを起こしていっしょにゴールインすればみんなが幸せになれるでしょ。じゃあ共存って言葉知ってる人?」
「はーい、いっしょにに暮らすことです!」
「大正解! ほらみんなのために日本中からボランティアが助けにきてくれるでしょ。そうやって助け合いながら生きていくことが大切なんだ」
★10:38-11:25【6年生 2クラス 69人】1.Hello my mom!
2.『ラストメッセージ』(朗読 :AKIRA みかん)
3.家族
4.コンちゃんエスコート実践(挑戦:ユウト )
5.勇者の石(ボーカル:コンちゃん)
6.受け身実践(柔道:ケイト)
7.ハイボクノウタ
よし今回は、岐阜県から来たみかんとのストーリーテリング「ラストメッセージ」を届けよう。
東北の震災で息子達を亡くした夫婦の実際にあった物語だ。
息子たちが命をかけて伝えた声なきメッセージを引き継ぎ、残されたお父さんとお母さんが同じ痛みを抱える人に寄り添っていこうと変容する物語だ。
子供たちの真っ直ぐな視線に、「家族」を届けた。
泣いているボランティアのユカに気づいた男の子の視線も優しい。
先生たちもうしろで静かに泣いていた。
「胸がいっぱいになりました」
どの学年も「ハイボクノウタ」は鉄板だ。
柔道でも投げより受け身から教わるのに、学校では「負ける授業」をしてくれない。
柔道部がいたので、前に出て受け身を見せてもらう。
オレも「本気で投げないでね。」とビビりながら、柔道部の投げを受け、受け身の実践をみせる。
子供ライブは言葉じゃなく、アクションで伝えるのがいい。
父親が昨日のライブに来てくれた息子のカズミに「負けろ 負けろ」と歌ってもらった。
負けることを恐れず、挑戦し続ける人生の始まりだ。
★14:10-14:55【4年生 2クラス 73人】1.Hello my mom!
2.トゥルーストーリー
3.『笑いの神様』(朗読:みかん BGM:AKIRA)
4.コンちゃんのエスコート体験(挑戦者:ソウタ)
5.勇者の石(ボーカル:コンちゃん)
6.ハイボクノウタ
昼食からもどったら、もうすでに子ども達が音楽室で待っているではないの!
いきなり「そのギターいくら? ちょうだい?」
「かんたんに言うなよ!」
よし、まだ幼さを残してる4年生は下ネタでいこう。
打ち合わせなしで、みかんにストーリーテリング「笑いの神様」を朗読してもらう。
これは、オナラで笑って笑って難病を完治させた男の話だ。
ぎゃはは、体の病気も心の病も直してしまう笑いのパワーを刷り込んでおく。
毎回全盲のコンちゃんが登場し、子供たちにをどうやって目の見えない人に横断歩道を渡ってもらうかを教える。
挑戦者のどかに、目隠しをして3メートル歩いてもらう。
「やっぱ見えないと怖い」
挑戦者こうちゃんは、コンちゃんの腕をひっぱるんじゃなく自分の肩をつかませて導く。
障害や地震などの不幸をくぐるものは勇者だという「勇者の石」をコンちゃんが歌い、どの学年の子どもたちも身を乗り出して聞き入っていた。
3学年とも、教頭先生と各学年の先生が見守ってくれた。
やっぱり上に立つ先生方が素晴らしいと、学校全体が生き生きするね。
夜は2日間の熊本で5本目のラスト「カフェ凛や」にてライブだ。
さすがに疲労困ぱいだが、主催のヒロがお世話になっているオーナーのチカちゃんが誕生日なのだ。
凛やがある建物はチカちゃんがおばあちゃんから受け継いだものなので、熊本市内になりながら壁はひび割れ家屋が斜めに傾いている。
チカちゃんは今日のライブのために室内を修復し、ヒロはサプライズにバースデイケーキを密かに用意した。
1.Traveling man
2.世界は足りてる
3.祝福の歌
4.ウレシパモシリ
5.米をとぐ
6.Hello my mom! (スローバージョン)
7.ソウルメイト
8.背中
9.Life is beatiful
10.家族
ここでヒロが隠しもってきたケーキが登場し、オレがハッピバースデイを歌う。
驚いたチカちゃんは号泣!
さらにヒロが歌を捧げる。地震で壊れた凛やの改装記念とチカちゃんの誕生日、まさに死と再生のライブになった。
栃木県からボランティアにきていた先生もかけつけてくれたり、 岐阜のナマステライブにきた家族もきてくれ、みんな家族のように誕生日を祝う。
11.今日は死ぬのにもってこいの日だ(ボーカル:みかん)
12.Invisible World (ボーカル:コンちゃん)
13.○えん(ボーカル:シーバ合唱団)
14.だいじょうぶマイフレンド(ボーカル:ヒロ)
15.I shall be released(マイティー家 ボーカル:ススム)
16.MOVE!MOVE!MOVE!
17.なんくるないさ
18.空の約束
19.ありがとう
後半はもう宴会ですな。
みかんのアカペラ、コンちゃんのチャレンジ曲、宮崎県椎葉村でAKIRA歌合唱団を結成したユカはじめ4人、
マイティー家のボーカルススム、すばらしい余興大会で盛り上がる。熊本の人々のパワーにこっちが生きる喜びを教えてもらったよ。
イアイライケレ(ありがとう)。