無事デバッグも終了し、ハードウェアのライセンス元に
マスターディスクを提出すると、数日の期間を経た後に
ライセンス元による最終チェックが行われます。

ハードウェアのライセンス元というのを具体的に言うと
Wiiや3DS、DSのタイトルなら任天堂、
PS3やVita、PSPのタイトルならSCE、
Xbox360のタイトルならマイクロソフト、ということになります。
これらの会社のチェックをパスしない限り、いくらメーカー側が
「このままでいい」と思っていても、その作品は製品として
世に出すことができない決まりになっています。

ただしその審査基準は、当然、ライセンス元ごとに違います。
任天堂には任天堂の基準が、SCEにはSCEの基準が、
そしてマイクロソフトにはマイクロソフトの基準があります。
(ちなみにPCタイトルの場合は審査自体がありません)

具体的な規定内容はあらかじめメーカーに知らされているので、
メーカー側はゲームを作る際、出すプラットフォームごとに
基準を把握し、抵触しないように仕様を考える必要があります。

とはいえ、基準にさえ抵触してなければそれでいいのかというと
そこまで杓子定規な話でもなく、「規定にこそないけどこれはどうなのよ?」
みたいな疑問点も突っ込まれてくることはあります。

また、一つ突っ込まれたら即アウトというわけでもなく、
内容の深刻さに応じて、大雑把に言うと以下3レベルに分かれます。
(実際の分類はもう少し細かいです。あくまで参考までに)

1.絶対直さないとダメ。
  この不具合が残っている限り製品として認めません。

2.直すことをお勧めしますが、
  最終的な判断はメーカーにお任せします。(※)

3.バグとまでは言い切れませんが、プレイして不自然に感じたので
  一応報告しておきます。直すかどうかはメーカーに任せます。

(※)2があまりに大量に蓄積している場合は、
   そのこと自体が1として扱われるケースもあります。

このようにレベルわけされたレポートが、メールとして送られてきます。
1が出てしまった場合は問答無用で「マスター出しなおし」ですが、
2~3だけで収まった場合は、その後の扱いはメーカー側に委ねられます。
(修正してマスターを出しなおしてもいいし、仕様として押し切ってもいい)

すべての項目について扱いがクリアになった段階で
「マスター承認」、真の意味での開発終了となります。
他の会社がどうかはわかりませんが、少なくともウチの会社では、
この「マスター承認」が決まった瞬間にオフィス中に拍手が巻き起こります。