湊かなえ/応援したくない人(5) | アディクトリポート

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真実をリポート Addictoe Report

何年も前に、おぼろげながらも気づき、
最近つくづくその思いを強くさせられるのは、
人によって考え方は様々で、
その全員の意見が一致するはずもないんで、
特定の人から「そうは思わない」と受け取られる意見や考え方こそ、
実は正論だったり、自分が目指す道だったりすることを、
あらためて浮き彫りにしてくれるんだと思う。

それから、52年も生きてきて、多くの人と接する機会に恵まれたなら、おのずと人を見る目も養われる。

(自分の指標と照らし合わせて)「こいつはダメだな」と思わされる人は、時と場所を隔てて接するたびに、(その間に変化がないことまでも判断材料に加わって)
「やっぱりダメだ」と再認識することこそあれ、見直して、それまでの評価が覆ることなんて、まずほとんどない。

それは、表向きの社会的成功の度合いとは関係ない。

いやむしろ、一般に成功の指標と目される、経済的成功、つまり収入がいくらあるかと、その人の人物評価には、むしろ反比例の傾向がある。

安定した高収入の道を、創作やパフォーマンスなどの自己表現の手段で手に入れると、「これでよかったんだ」と慢心してしまい、そこで成長や進歩が止まるばかりか、とたんに退歩、後退、停滞に陥ってしまう作家が、ほとんどだ。

湊(みなと)かなえについて初めて知り、
そして呆れかえったのは、
映画「告白」(2010)を見た時だった。

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※オススメできないのに、アフィリを貼るのは、理由があります(後述)。

基本的に、映像作品が創作の最終完成形と考えている(独力では完成させられない、共同作業の産物だから)ので、原作は読まなかったが、小説版を買ったりして著者の収入につながらなくて、ホントによかった。

次に、この人の名前に接したのは、
フジの深夜の「高校入試」(2012年10月6日~12月29日)と言うドラマで、

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-さら

彼女は脚本担当だったらしいが、
(長澤まさみ目当てで、不覚にも見てしまったが・笑)
ベテラン女教師役の高橋ひとみに代表される、
マンガのように誇張されたキャラクターが、
のらりくらりと、毎週同じところを行ったり来たりと言った感じのドラマだった。

ネットのカキコミで事態はどんどん深刻になり、
収拾がつかなくなるという筋立ての割には、
「そんな結末で、いいわけねえだろ!」
と、意外とあっさり終わって肩すかしを食らう、
というところに、「告白」と同じ腰砕けぶりを感じ、
今後一切、この人の作品には接触しないと、心に決めた。

次に湊かなえ作品だと知ったのは、
鈴木京香や、宮迫博之の出演した
「夜行観覧車」(2013年1月18日~3月22日)だった。

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当然、番組は見なかったが、劇中でキレる子役が、ホントにキレるのかをバラエティで検証していて、ここから、ドラマ本篇の(無責任で人騒がせな)だいたいの内容が、うかがい知れた。

でもって、次が映画「北のカナリアたち」(2012)で、
「どんなに作品(ドラマ・脚本)がアレでも、
吉永小百合だけ出しときゃ、名作になるわけなんてねえだろ!」
と考えてたので、
(大した賞じゃないとわかっちゃいながら)
「日本アカデミー賞で受賞しませんように」と心から願ってしまった

原作:二十年後の宿題『往復書簡』所収

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別に自分からしつこく追跡してるんじゃなくて、たまたま出くわしてしまう。

「ゴロウ・デラックス」(2013年1月18日)に出演した湊かなえは、
小説執筆の動機を、「主婦で終わることに疑問を感じて」みたいなことを言っていた。

イヤミス(読んだ後に嫌な気分になるミステリー)というジャンルを世に広めたそうだが、それが作家としての、真の成功なのか?

読者をイヤな気分にさせて、「告白」は書籍の売上が累計300万部を超えた。

Amazonでの(本記事執筆時の)順位は、「告白」が3,729位
「夜行観覧車」が、8,046位

一方で、先日紹介した、青山繁晴氏の「平成」は、否定的なレビューが皆無なのに、ランキングは501,076位

まあ、そんなもんですよ、ベストセラーって。

つまり、真の創作の競争の場として、書籍市場が機能してなく、まさに「悪貨が良貨を駆逐」している。


湊かなえの経歴を調べると、

*武庫川女子大学卒業後アパレルメーカーに就職
*青年海外協力隊隊員としてトンガに2年間赴いた
*淡路島の高校で家庭科の非常勤講師
----とのこと。

こういう前歴の人が、学校を舞台に、「告白」「高校入試」みたいなドラマを書くかね、しかし。

教師が前歴というと、漫画家の江川達也が思い浮かぶが、
ふたりとも、教職経験は人生の踏み台程度に考えてて、
そこは振り返りたくもないし、過去にそこにいた自分は、人生の汚点程度に考えてるんだろう。

え、お前も前職は教員だろうって?

いやいや、私は、教職が今の自分の礎を築いてくれたんだから、ありがたいと思いこそすれ、教員だった時と別の人格で、次の職種に取り組もうなんて、思いつきもしませんね。

結局、ほんとの自分で勝負するしか、ないんだからさ。