ウルトラマン立体像の確立(シリーズ成立4)/ 遅れてきたウル伝〈その4〉 | アディクトリポート

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前回は、ウルトラマンに至るまでの、平面デザインの変遷をたどったが、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-thelos
再調査によるヒーロー名と第何稿かとは、若干情報が異なる(下記参照)。
もう少し大きいサイズの元画像はこちら


以前の紹介画像で、もっと大判サイズが見つかったので、補完しておこう。

渡辺明版ベムラー
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ふぇむむ

成田亨版ベムラー初稿
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-もとが
青森県立美術館蔵

レッドマン初稿
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-まんず
青森県立美術館蔵
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-okoze
リアル版ドラえもんというよりは、オコゼ(右)のような深海魚系でした。

ウルトラマン初稿
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-あか
青森県立美術館蔵

上記4点のデザイン画の元画像はこちらで。

ウルトラマン2稿
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ewr
↑元画像はこちら
↓顔のアップ。こちらより。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-かお

さて、そんなこんなで、なかなか先に進めませんが、ここからようやく本題で、
今回は立体での突き詰め作業に関して。

平面(紙の上)での突き詰めに行き詰まった、デザイナーの成田亨は、彫刻家の佐々木明に、立体での検討を依頼する。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-akira
2011年1月1日(土)22:00~23:54に、
BS 日テレ開局10 周年特別番組 ウルトラマンシリーズ45 周年記念特別番組
徹底検証!ぼくらのウルトラマン伝説
~昭和のヒーロー「ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」誕生秘話~
に出演した、今もご健在の佐々木明氏。


佐々木はまず、雛形(ひながた=マケット)と呼ばれる一尺(約30センチ)模型を制作する。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-sese
↑右の白黒画像2点は、このブログより
↓この画像はこちらから
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-koyo
その他、貴重な画像のたいていは、ヤマダ・マサミ氏のブログからです。

デザインは実物スーツと同一だが、カラータイマーがない。

雛形はもはや現存しないため、佐々木明が2007年に再制作して、(※なぜか30センチではなく、50センチサイズで

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-HINAGATA

記念品として販売されているが、

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-kurei
クレイ(粘土)カラー版…157,500円。
全高約53cm/FRP製/証明書付/シリアルナンバー入り金属プレート付属/木製ベース付


同じ造形家によっても、40年の歳月はいかんともしがたく、オリジナルの忠実再現とはほど遠い。

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-kara-
彩色版(カラータイマー付)…178,500円
画像と情報は、このサイトより。


彩色版にカラータイマーがついているのも問題である(後述)。

これなら、2009年発売のバンダイの食玩、「円谷倉庫Ⅱ」のシークレット、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-そうこ
ウルトラマン雛形像の方が、(サイズを抜きにすれば)よほど忠実な造形である。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-420
画像はこちらより。



この雛形を元に、ウルトラマンのスーツが制作され、
完成形の最初期の状態が、これである。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-sぎうめん
雛形同様に、やはりカラータイマーがない。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-うっしー
演者の古谷敏は、すでにこの時点で決定していた
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-よこよこ
上記3点の組写真の元画像はこちら
成田は、八頭身でスリムな古谷のプロポーションに惚れ込み、仮面とトサカで七頭身になった時のバランスが美しいと判断した。

ウルトラマンにカラータイマーをつけるのは、製作現場側の判断で、
飯島敏宏氏によれば、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-iijima
「あまりに無敵なヒーローでは、怪獣との勝負が面白くないので、ハンデの意味で時間制限を設けた」とのことだが、予算のかかる特撮パートの割合を減らす目的もあったのだろう。

ところが、成田氏はこれが気に食わず、

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-pea
↑どちらも後年に描かれたもので、番組制作時のウルトラマン決定稿ではない。
ウルトラマンのスタイルは、平面(紙)のデザインでは決まらなかった。


後年に自らウルトラマンを描く場合にも、

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-burae
↑成田亨氏が、1984年当頃に自身の個展用に描いたウルトラマンの油彩画
↓遺族が自費出版で出した成田亨の遺稿集
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-いこう
眞実 ある芸術家の希望と絶望」の表紙にも使われた。


カラータイマーを描かないことが多かった。

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-yuusi
↑1987年の個展用に、成田亨がウルトラマンを理想的なプロポーションで立体化した彫刻作品、「MANの彫刻(宇宙人M)」


今日はこのへんで。