前回は、タイトルが「(科学特捜隊)ベムラー」から「ウルトラマン」に至るまでの変遷を振り返ったので、今回はスタイル(デザイン)が、
↓これから
↑これに行き着くまで。
成田亨のベムラーは、
↓これが初稿で、
↑これが第2稿。
頭部デザインは初稿のままだが、
インパクトありすぎ!
※厳密には、「ベムラー」第2稿で、「レッドマン」ではありません。
体側以外からは、ウロコ状のヨロイ(魚鱗甲)が取り払われて、
実物のウルトラマンに近い模様が、全身に走るようになる。
この模様だけ受け継いで、「どこがレッドマンやねん?」の、うす黄色(金色?)の体色に、ブルーの模様という、赤が不在の配色に、
顔だけ全く別のデザインにすげ替えたのが、
レッドマンの第1稿。
このレッドマン初稿にだけ独特の、
↓リアル版ドラえもんみたいで不気味な顔は、
↑不鮮明かつサイズが小さくて申し訳ないが、全てネット経由で、これが最大表示なので悪しからず。
(左上)番組「ウルトラマン伝説」の画面キャプチャ。
(左下)ウルトラマン初稿・青森県立美術館パンフより/個人サイトから転載
(右)バンダイ リアルホビーシリーズ ウルトラマンの解説書より(部分)
この一案限りで姿を消す。
次の「ウルトラマン」初稿では、身体に合わせて、複雑だった頭部形状も簡素化され、
ようやく(すでに改名済みの)レッドマンの名にふさわしい体色、ただし真紅(スカーレット)ではなく朱色(ヴァーミリオン)に変更される。
ここに来て大きなデザイン上の変更として、
演技者の生身の鼻と口を、
むき出しにすることが検討され始めている。
余談だが、ロボコップ(1987~)のデザインを見た時点で、まじめに作品を鑑賞する気が失せた。
「生身の口がむき出しじゃあ、ロボットのわけないじゃん」
「オレが犯罪者だったら、真っ先に口元を狙うけどなあ」
と感じて。
そしたらアメコミマニアの知人に、
「アメリカではヒーローが口元を出してるのが定番ですからね」
と言われた。
なるほど、そういわれれば、
バットマン(1939~)も、
↑TVシリーズ(1966~68)と、その映画版(1966)のバットマン
フラッシュ(1940~)も、
↑TVシリーズ(1990)のフラッシュ
キャプテン・アメリカ(1941~)も、
みんな口がむき出しだ。
でも日本じゃ、それこそ日本初のフィルム製作による国産連続テレビ映画だった月光仮面(1958~)の頃から、
「まともな」ヒーローは、完全フルフェイス型の仮面(や扮装)で、素顔を覆い尽くしてるもんじゃないの?
(これに伴い、素顔の一部がチラ見えする「怪傑ハリマオ」や「少年ジェット」「忍者部隊月光」等は、いくぶんシリアスさに欠けるヒーロー像になってしまった)
まあ、それはともかく、カラス天狗のベムラーからすれば、相当実物に近づいたデザイン画だが、
完全に最終形に行き着くまでには、もう一手間、必要だった。
つづく