前回は、主役キャラの瞳をのきなみ楕円型に描いていた荒木伸吾が、真円に描くことに転じた『UFOロボグレンダイザー』の1975~77年までを振り返ったので、今回はそれ以降の話。
それまで東映動画の主力タイトルだった、永井豪とダイナミックプロ作品群が、『グレンダイザー』の頃にはさすがに人気が下り坂になってしまったため、その後番組、『惑星ロボ ダンガードA(エース)』(1977~78)からは、『宇宙戦艦ヤマト』が世間に認知された松本零士が、原作者/タイトルホルダーとして抜擢される。
キャラデザインと作画監督は、『グレンダイザー』から続投の、荒木伸吾と姫野美智コンビ。
この作品の主役キャラの瞳は、最初から完全な真円。
エンディングでは、美麗な1枚絵のカラーイラストが多数登場。
↑髪の毛の流れる曲線が、独特の荒木+姫野流。
↑松本美女キャラのカラーイラストと相通ずるテイストながら、線の細さと各部の丸み(柔らかさ)で、独自性も加味された姫野イラスト。
↑むくつけきオヤジキャラまで、美しい瞳!
どちらも荒木プロの新たな頼もしき才能、姫野美智の貢献あってこそ。
ダンガードAでは、敵の美形キャラのトニー・ハーケンが人気を博し、
↑アニメージュ付録。このサイトより転載。
ここらへんから、「荒木伸吾と姫野美智と言えば美形キャラ」という定評が確立され、アニメのアクションよりも、止め絵のクオリティ(ばかり)が期待されるように風潮が変化した。
個人的には、美形の敵キャラっていうのは、創映社(76年から日本サンライズ)の巨大ロボット路線、
つまり
『勇者ライディーン』(75~76)のプリンス・シャーキン(声・市川治)、
『超電磁ロボ コン・バトラーV』(76~77)の大将軍ガルーダ(声・市川治)、
『超電磁マシーン ボルテスV』(77~78)のプリンス・ハイネル(声・市川治)、
のマネッコだし、
ハーケンの声が山田俊司(後年のキートン山田/『ちびまる子ちゃん』のナレーション)って時点で、完全にアウトだと思う。
今振り返ってではなく、山田氏と言えば『コンV』の浪花十三の声だったので、当時からアウトだと感じていた。
それでも放映時間帯やキー局が、視聴対象を選り分けていたため、上記三作になじみのなかったアニメファンには、新鮮でウケたと思われる。
松本零士作品では、『ダンガードA』終了半年後に、松本キャラのアニメ変換の腕を買われてか、同じ東映動画の『銀河鉄道999』(78~81)でキャラデザインを担当し、
↑番組開始当初の商品化は、ことごとく荒木デザインに基づいている。
これが放映開始時の番組の一つの大きな売り要素(※アニメブームが確立されて、作画監督やキャラデザインが誰なのかにファンが注目し始めていたため)で、
実際にメーテルはかわいらしさと美しさが両立し、松本テイストと荒木タッチが絶妙に融合していたと思うが、
このメーテルが頭でっかちで子ども体型なのは、原作の1話に準じているため。
画像はこのサイトから……あれ、知り合いだ!
事後承諾でスミマセン。
この時期、荒木氏は東京ムービーの『新・巨人の星』(77~78)の作画監督だったため、
左は『新・巨人の星』第38話 「奪回!栄光のV1」
右は荒木氏がキャラクターデザインも担当した、『新・巨人の星II』 第22話 「蜃気楼ボール・破れる!!」
ただし掲載画像が荒木伸吾氏の原画かどうかは、保証いたしかねます。
テレビ『999』本編作画には一切参加しておらず(※前に第1話は作画監督と書いたが、その回は兼森義則氏でした)、それもあってか、開始数話で、キャラクターデザインと総作画監修は、『さらばヤマト』の湖川友謙(=湖川滋・31話からクレジット表記が滋から「友謙」に変更)に交代している。
↑DVDジャケット用に、後年に描き直されたものだとは思うが、湖川バージョンの999キャラの雰囲気は、おおむねこんなもんでした。
湖川氏はしかし、キャラデザインと作画「監修」であって、作画「監督」ではない。
(交代劇の裏事情については、こちらで)
さて、Wikiを見ても、荒木+姫野コンビのテレビ『999』(キャラクターデザインでの)参加は、「初期数話のみ」とされ、湖川氏との交代時期が特定されていない。
なので、やってみることにした。
というところで、今日は時間切れ。
そんなこんなで、またつづく。