トルコ国鉄TVS2000シリーズのヤタク(寝台車) | アーディで行こう

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「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

アーディで行こうアーディで行こうアーディで行こう$アーディで行こうアーディで行こうアーディで行こうトルコ国鉄の寝台車のほとんど(今ではおそらくヨーロッパ側国際列車以外のほぼ全て)に使用されているのが、TVS2000シリーズと呼ばれる形式の寝台車です。寝台車には個室寝台のYatakヤタクと、個室だが相乗り販売のKuşetクシェトがあることは、
トルコの寝台列車ヤタクとクシェト
にて触れました。クシェトの構造についてはそちらでお話ししましたので、今回はヤタクの構造をご紹介しましょう。

室内の大きさはヤタクもクシェトも同じ
右がヤタクの室内を入り口側から見たもの。ヤタクもクシェトも車内は側廊下式に個室が並ぶ構造は同じ。しかも1区画の大きさも同じです。クシェトなら両側に2段でベッドと座席があるのですが、2人用のヤタクはその代わりに大きめのキャビネットが付きます。中には冷蔵庫が入っています。
クシェトには付いている窓前の小さなテーブルはなく、テーブルの下のゴミ箱も、洗面台の下にゴミ箱が付いているのでありません。

よくネットで「トルコの寝台車はスーツケースを広げる場所もないほど狭い」とか「日本のB寝台程度」といった記述を見ますが、それは言い過ぎでしょう。北斗星のロイヤルや、カシオペアの部屋には届かなくとも、少なくともかつての個室A寝台よりはこちらの方が上等です。

座席の構造はヤタクもクシェトも変わりませんが、モケットの色が派手ですね。ヤタクには今まで3度乗りましたが、2008年に乗車したドゥEks.がモスグリーンだったのを除くと、2010年のメラムeks.、2011年のイチ・アナドルEks.とこの色のモケットの車両にあたっています。

入り口側にはコンパクトにまとまった洗面台がついています。入り口扉の横に見えるのは2階へ昇る木製のはしご。ここから引っぱり出して上段ベッドに掛けて使います。

空調と室内照明はドア上のスイッチ類で調節が可能です。赤いランプは常夜灯。寝台車には1両に1人専務車掌が付いていますので、ボタンを押して呼ぶことも可能です(が、自室に居らず、来ないときもあります)

下段寝台は、日本のように座席の座面を利用するのではなく、座席の背ずりを前に倒すと出てきます。
上下の間隔は狭くなりますが、座席と兼用しないので昼間の乗り心地は格段にこちらの方が上です。トルコではイスタンブール~アンカラ、アンカラ~イズミールといった、夜遅く出て朝早く着いてしまう、寝るだけの列車もありますが、24時間以上をかけて1000km以上を走り抜く長距離列車も多くあり、昼間の居住性はかなり重要。ちなみに私がこのTVS2000の個室を最初に見たのは、今はなきトロスEks. 併結されたシリアのアレッポからイスタンブールへの国際列車を利用したときで、自分の乗っているシリア車両との違いに「トルコはすごい」とビックリしたものです。

シーツが2枚、毛布が1枚、枕が1個の寝具はクシェトと同じですが、乗客が自分でベッドメイクしなければならないクシェトと異なり、ヤタクでは専務車掌が写真の通り見事にセットしてくれます。
この写真では上段は格納した状態ですが、同じように前に引き出してセットします。

ドアにはロックがかかりますが、鍵は専務車掌が持っていますので、食堂車へ行くときなどはロックを頼みましょう。内側からはいつでも鍵をかけられます。

洗面台は混合水洗で、お湯も出ます。ハンドタオルが備え付けられていますし、TCDDの化粧箱に入った石けんは持ち帰りも可能。また、上の写真で見えますが、TCDDのロゴの入った室内履きのスリッパももらえます。冷蔵庫には500mlのミネラルウォーターのペットボトルが2本、ジュースやクラッカーも少々入っていてもちろん無料でいただけます。

なお、トルコのたいていの大きな駅にはホームか、改札脇の駅舎あたりにキオスクがあり、そこで大小のミネラルウォーターが購入できます(ほとんど市価と同じ)し、エフェスビールも売っています。アルコールにウルサいコンヤ駅にもありました。

ほとんどの夜行列車はヤタクとクシェトが1両づつ
Yataklı Vagonはほとんどの夜行列車に1両、たいていは最後尾についています。隣はたいていKuşetli vagonでこちらも1両、その次がYemekli Vagon、つまり食堂車です。食堂車の反対側にはPulman Vagonが5~6両、その先に電源車、荷物車、機関車と続くのが一般的な編成。1両にはヤタクが10室(20名分)、クシェトでも10室(40名分)なので、1編成の寝台定員はクシェト合わせて60名分です。アンカラEks.だけは全車寝台ですから、仮に食堂車や電源車を除いてYataklı Vagonが8両だとすると、160名分のキャパシティがあることになります。ちなみに、2008年頃のトルコの新聞報道によると、アンカラEks.の乗客は8割方外国人、それも日本人が大半を占めるということです。人数が多いツアーではアンカラEks.以外は使いにくいということでしょうか。