『ボックス!』 試写会鑑賞 | 映画な日々。読書な日々。

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高校のアマチュアボクシング部所属の体育科の鏑矢は、ボクサーとして天性の素質を持っていた。一方、彼とは幼なじみで進学科の秀才、木樽は子どものころから腕力にはまったく自信がなかった。だが、木樽は自分も鏑矢のように強くなりたいと願い、ボクシング部に入部して日々コツコツと努力を積み重ねていき……。[上映時間:126分]


原作、百田尚樹さんの『ボックス!』 は私の去年のNo.1。本当にすっごく面白くて、内容もほとんどちゃんと覚えてます。この原作が映画化されると知り、そして主演が市川君だと知った時、鏑矢のイメージにあまりにもぴったりでこれはナイスキャスト!だと思ったんですよね。


映画も観たいなーと思ってたところ、友達が試写会を当ててくれたので一足早く鑑賞。


観終わった後の感想。「惜しい。」

悪くはないんですよ。というより良かったと思うんです。だけど、ちょっともったいないなぁというのが正直な感想でした。原作と変えちゃってる部分もなんで変えちゃったのかなぁと。長いお話なので仕方ないとは思うのですが、原作の良さが生かしきれていなかったように思えてしまったんですよね。私の場合、原作が本当気に入っちゃったので、ちょっと期待値が高すぎた、というのもあるとは思いますが。


幼馴染の天才ボクサー・鏑矢に憧れて、気弱な優等生の優紀はボクシング部に入部する。天性の才能を持つ鏑矢に対し、貧弱な優紀はコツコツ練習を重ねてゆく。やがて親友同士だった二人は同じリングに立つ時がやってくる。そして稲村という無敗のボクサーが二人のライバルとなり、稲村を倒すために特訓を始めることに。


原作ではボクシングがわからない人にもわかるように、ボクシング初心者の優紀や英語教師のの視線で描かれていくので、彼らと一緒にボクシングのことがわかるようにうまく展開されていたのですが、映画ではそういったシーンが一切なかったので、本では感じられた「ボクシングって素敵なスポーツなんだ!」という気持ちが映画からは受け取れなかったのがちょっと残念。せっかく市原君はじめ、スタントなしのすごいボクシングシーンを映してくれていたんだから、もうちょっとボクシングというスポーツをわかりやすく見せられたんじゃないかなぁ。


概ね原作通りに進みます。

ただ、ストーリー展開はほぼ原作通りだけど、結構いいところを端折っちゃってたんだよね。ボクシングなんて!と思ってた、そして鏑矢を野蛮だと思ってた耀子の気持ちの変化、優紀の耀子への憧れの気持ち、耀子が強くなった自分よりも鏑矢のボクシングが好きなことに対する嫉妬、優紀のボクシングの練習と勉強を両立させるための半端ない努力、丸野が作った練習ノートの中身、王者稲村の苦悩、丸野の伝説・・・。


とここまで書いて気付きました。

この映画は鏑矢中心に描かれていた映画だったのだ、と。

鏑矢についてのエピソードはわりと網羅してたんですよね。だから鏑矢以外の登場人物のキャラクターの描き方が弱かったのかなぁと。

市原君は原作のカブちゃんがそのまま出てきたようで、本当イメージ通り、いや思った以上によかったです。鏑矢のやんちゃなすぎるぐらいやんちゃで、ボクシングは強くても心はもろくて、仲間思いで、とても優しい心を持つ、自分の為の努力はしないけれども人の為なら頑張れる、そんな鏑矢を市原君がうまく演じてくれてました。鏑矢が練習嫌いで体力がないというシーンはもうちょっとわかりやすく見せてくれた方がよかったように思いますが、これは脚本の問題ですね。

また優紀(というか優ちゃん)演じる高良君もいい演技だったと思います。

昔から頭は良かったけれどもいじめられっ子で、カブちゃんにいつも助けてもらってた男の子。それは高校生になっても変わってなくて。でもカブちゃんに憧れてボクシング部に入部して、地道に練習してどんどん強くなっていく。


ただこの優紀の変わりようをもうちょっと見せて欲しかったなぁという気持ちがあるんですよね。本当貧弱で運動神経も全然なさそうなゆうちゃんが、必死に練習して、カブちゃんみたいになりたくて人の2倍、3倍練習する姿を。あとは頭の良さからくる真面目さ、その真面目さが強さになる部分、例えば左ジャブだけ練習してたシーン等ももうちょっとその大切さを伝えて欲しかったです。優紀の努力って正直私は映画で描かれていた100倍ぐらいしてたイメージがあったんですよ。むしろそうじゃないとあの優紀がここまで強くなるという設定に説得力がないし。

でもでも、市原君をはじめとして、ボクシングシーンはすごかったです。これは映像でしか見せられない技。市原君も高良君もかなりボクシングの特訓受けたんじゃないかなぁ。そしてボクシングを通じて友情、栄光、挫折、成長がうまく描かれているところが良いです。市原君の主演映画の中では一番好きな映画。原作からの減点法みたいになってしまったので、原作読んでなければもうちょっと点数高くしたかも。


試写会(@明治安田生命ホール)にて鑑賞


★★★☆