『社長さん! 銀行員の言うことをハイハイ聞いてたらあなたの会社、潰されますよ!』 篠崎啓嗣
すばる舎
篠崎啓嗣
発売日 2008年12月18日
和書
満足度 ★★☆☆☆
銀行員の考えていることを知るための本
この本は
「中小企業の経営者」
「銀行員との交渉の前の勉強」
「銀行からお金を借りている社長」
におすすめします。
中小企業の経営者で、金融機関とまともに交渉できるだけの金融知識を持っている人って、かなり少ないと思います。
「なんだかやさしそうだったから・・・」
「会社のことを真剣に考えて相談に乗ってくれたから・・・」
こういった理由で信用して、契約の内容もまともに読まずに、借り入れの契約書にハンコを押している社長は、もしかしたら金融機関のカモにされている可能性があります。
「銀行員の言っていることが難しくてよくわからない・・・」
という方は読んでおいて損のない一冊です。
この本のポイント
最近の銀行の中小企業への対応(P.35)
2008年夏以降、銀行の態度が急変し始めた。
何の予兆もなく手のひらを返したように、突然強烈な貸し剥がしを行う銀行が増えてきている。
融資の仕組み(P.38)
融資が出るか出ないか、その可否を決定する際のポイントは、
①使途=使い道
②財源=返済方法
③保全=万が一の場合の返済方法(保証人、担保)
④期間=短期か長期か
⑤レート=利息は何%か
期間とレートに関しては交渉すれば銀行に泣いてもらうこともできる。
銀行内ローテーションと恐るべき引き継ぎ(P.46)
銀行の担当者がかわる際、ネガティブな情報ほど後任に引き継がれる。
担当者に嫌われてしまうと、嫌われたことまでも引き継がれる。
金利を引き上げる(P.62)
銀行が金利を引き上げようとしてきたら、決して言いなりにならずに交渉・抵抗すること。
融資を出すのと引き換えに預金を迫る、相殺を迫る・実行する(P.68)
融資を受ける銀行には預金しないほうが懸命。
それでも定期預金を作ってくれと言われた場合、個人名義で小額でやること。
「口約束」で誘う(P.80)
銀行員の口約束を信じていては、あとで痛い目にあうことがある。
約束は署名捺印をさせること。
売掛金を押さえようとする(P.91)
融資を受けている銀行に、売上入金口座は置かないこと。
入金をロックされる危険がある。
会社がやばくなったときの社長の対応(P.138)
会社がピンチになったときに、自分から泥をなめる覚悟をする社長を、銀行は評価する。
退職者が続出したとき(P.153)
銀行は人の動きをシビアに見ている。
売上をつくっているキーマンが辞めたとしても、そのことは絶対に言ってはいけない。
社長に良くない噂が出たときは(P.158)
社長のプライベートも銀行員は審査している。
愛人を何人も抱え込んでいたり、ギャンブル好きの社長に対しては、銀行員は厳しい判断をする。
銀行員を酒の席に誘いたがる社長(P.162)
年賀状すらもハガキ代の無駄。銀行員にとっての最大のお土産は事業計画書の数字。
銀行員に物をプレゼントしてもメリットはまったく無い。
いま不要な金を借りてほしいと言われたら(P.178)
不要な融資は受けないのが一番。
もし、恩を売るために付き合う場合は必ず短期で借りること。
ちょっとタイトルに力を入れすぎですね。
中身はかなり普通の内容です。
銀行と取引する際の予備知識を得るために読んでおいて損のない本ではありますが、もし、中小企業経営者が金融機関と渡り合うための、より実践的な知識を手に入れたければ、『ナニワ金融道』 や『企業再生屋が書いた借りたカネは返すな!』 を読むことをおすすめします。
この本から学ぶ教訓
金を借りるときは、貸し手のことをよく勉強しよう
目次
第1章 知らないと損をする!銀行のすべて
第2章 知らないと一大事!銀行の手口
第3章 みんなが知りたい!銀行取引素朴な疑問
第4章 知ってて安心!御社のそこが見られている
第5章 知らないと恐ろしい!小さなリクエストの裏
第6章 知ってて良かった!銀行員が使う言葉の本音と建前
『ナニワ金融道 全10巻セット』
『企業再生屋が書いた借りたカネは返すな!』