ワンパク兄妹っていうけれど・・・・(続き) | フィンガー5ファンブログ

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平成生まれのフィンガー5ファン

ほこりっぽさの中で光るもの


牛丸先生はアーちゃんや大将が、厳しいレッスンに耐え、またちゃんと踊りを吸収してくれるかどうか

最初のうちしばらくは半信半疑だったそうです。

「最初の2ヶ月間は、エイトビートな踊りを叩き込みました。

一番、早く覚えたのが正男くんでした。

彼は先天的ともいうべき御土居のフィーリングを身につけているんですね。

ところが、正男くんの次に覚えがいいのがなんと晃くんだったんです。

これには驚きましたね。

というのも、基本をやってる時は何となく乗ってなかったんです。

で、彼は踊りがあまり好きではないんじゃないのかなぁ、と心配してたんです。

だが、レコードをかけていままでやった基本をもとにアレンジして踊らせてみると、断然晃くんはハッスルするんですね。

教わったものを元に自分なりにこなし、いわゆる“見せる”踊りを創り出してゆく才能は抜群のものが晃くんにはありますね」

マーちゃん、アーちゃん、カズ、ミッチイ、大将の順に踊りをマスターしていったそうです。

「3時間から4時間近くびっしりレッスンやるでしょう。

終わると晃くんや妙子ちゃんは床の上にぺったりと座り込むんです。

すると、上のお兄ちゃん達が“さぁ、帰ろう”とおぶってやるんですね。助け合う兄妹でした」

自由ケ丘から自宅のある東村山までは何度も電車を乗り換え、たっぷり2時間はかかります。

アーちゃんや大将は踊りの疲れから居眠りしてしまいます。

それをカズやミッチイがおぶって帰ったそうです。

「エイトビートをマスターしたので、

次はソウル・ロックとタップとを教えました」

そのタップが新曲『学園天国』で披露されたわけです。

「踊りというのは、しょっちゅうやってないと体についたリズムが消えてしまうんです。

彼らも忙しいでしょうが、週1回、いや月に2回でいいから踊りのレッスンをするようにしてほしいですね」

と、牛丸先生は最後にアドバイスするのでした。

キング時代、フィンガー5は仲宗根プロに所属していましたが、フィリップスに移ると同時にプロダクションの方も市橋プロダクションへと移籍しました。

そこで同プロの市橋健司社長に彼らのことを聞いてみることにしました。

「ぼくが彼らを見たのは去年の1月、

米軍のキャンプで演奏しているのを見たのが最初でした」

この市橋社長は実はコメディアンの世志凡太さんなんです。

「その時の印象は正直いって、大変ほこりっぽいグループだと思いました。

ただ、そのほこりっぽさの中にキラリとする何かがあるんです。

で、ほこりを叩いてゆけば、こりゃ大物になるかもしれんぞ――そうビーンと感じたわけです」

コメディアンとしての目が、フィンガー5の非凡さをとらえたわけ。

「そのホコリを払うため、踊りをみっちりやらせ、

また女のかっこうをしていた妙子ちゃんに断髪させて男の子のような格好をさせるなど半年がかりで少しずつ垢抜けするように努力したわけです」




女の子にポーッとなる兄貴たち


シングル盤のレコードをヒットさせるためには、どうしてもテレビの歌謡番組に数多く出なければなりません。

「ところが、テレビに数多く出るとなると、学校に行けなくなりますからね。

彼らの本分は学校に行くことです。

私としては何とか学校にはキチンと行かせたい」

そこが、市橋社長の最大の悩みのタネ。

「そこで近い将来、歌だけでなく別の面でも彼らを伸ばしてゆくように考えているわけです」

5人の子供に両親や祖父母といった大家族を中心にしたショー番組を市橋社長は考えているようです。

「米軍キャンプでは約1時間、歌ったり演奏したりと、かなり迫力あるステージを見せていましたからね。

今後はじっくりと彼らの持つ多彩な才能を見せられるような番組に出してやりたいですね。

そうすれば、音楽的にも成長していくし…」

と、市橋社長の夢はどんどん広がってゆくのです。

最後に、社長の目から見た5人の性格分析を語ってもらいました。

「一夫はマネージメントの才能の持ち主ですね。

細かい点まで神経が働くので、将来は実業家になるかもしれません。

光男は勉強家で堅実で頭が良い少年。

正男は音楽的にズバ抜けた才能の持ち主。

カンもいいのでゆくゆくは彼のソロも聞かせたいのですね。

晃坊主…これは将来、堺正章になれる子ですね。

だからその方向を考えながら大切に育ててゆきたい。

妙子ちゃんは頭がいいし、物怖じしない度胸があり、中山千夏、中村メイコのようになるかもしれません」

市橋社長のもとで、フィンガー5の毎日面倒を見てきたのが遠藤マネージャー。

その彼に、テレビには映らない5人の素顔について語ってもらうと――

「一夫はグループのリーダーでまとめ役。

もうすぐ19歳になるが、19とは思えないほどしっかりしている。いい意味での大人だなぁ。

現在の彼の最大の悩みはガールフレンドがほしい事だと思うね。

忙しくって作る暇がないとボヤいているよ。

光男はひと口にいって純情でマジメすぎるほどマジメ人間だね。

女の子の話を聞いただけで顔を赤らめるくらい。

いまはドラムを叩いているが、ギターも詳しいからね。いいコンポーザになるかもね。

正男・・・・彼は実によく食うね。

こっちが心配するぐらいによく食う。

ギョーザ・ライスをさっき食べたと思ったら、もうざるそばを食べている。

少し太りすぎだから・・・・といくら注意しても彼の食欲にはブレーキがかからない。

それに、彼は人懐こくて実にユーモラスなんだ。

彼と話していると、どんなに疲れているときでも、疲れが吹っ飛ぶんだよ。

晃・・・・彼はなかなかガッチリしているね。

お金を大切にするからね。

普通、あれ位の子供って欲しいものがいっぱいあるじゃないのさ。

自由に使えるお金があったら、パァッと買うと思うんだ。

ところが晃はムダ使いをしないんだなぁ。

といって、いわゆるケチではない。

地方へ仕事で行くだろう。

晃は必ず両親たちにお土産を買ってゆく。

金の使い方を知っているんだ。

ただ、あの子の困る点は食事。

魚はダメだし、肉もレバーしか食べない。

いつもスパゲッティかエビフライばかり食べてるからね。

妙子は正男の次によく食べる。

チョコレートが大好物でね、暇さえあればチョコが口に入っているね」という次第。




5人のフィーリングは天才的


フィンガー5の再出発の『個人授業』を作曲した都倉俊一先生の話。

「彼らのオーディション・テープを聴いたところ、

ほとんどの曲がロックなんですね。

で、ああいうロック調の曲を書いたわけです。

ただ、日本語は非音楽的なことばなんで、ロックのリズムにはうまくのらないんです。

そういうハンディがあるにもかかわらず、あの曲が何の抵抗も感じさせないのは、晃くんの歌唱力によると思いますね。

正直なところ、あんな子供がこんなに歌唱力があるとは思いませんでしたね。

あれは一種の天才ですよ、

その晃くんを暖かく盛り立ててやる兄たち。

それにマスコット的な妙子ちゃん――というファミリーな図が子供からお年寄りまで共感を呼んでいるんだと思いますね。

とにかく、晃くんのシャウトは日本人ばなれしていますね。

しかし、いつまでも晃くんに頼ってはいけません。飽きられます。

正男くんや光男くんなんかはソロで立てる実力を持っていますからね。

時には彼らを前面に出したり、

あるいは、体を動かさないでバラードを歌ったり…

どこまでそれが可能かはわかりませんが、いろいろとやってみたいですね。

いろんな可能性を秘めたグループなので、これからが楽しみです」

なお、フィンガー5の第4弾レコードは、この都倉先生が再び作曲を担当するそうです。

『恋のダイヤル6700』と『学園天国』を作曲したのが、元ブルー・コメッツの井上忠夫先生。

「ブルコメをはじめ、いろんなGSがポップミュージックに挑戦したけど、いずれもイミテーションでないタレントが現れたわけで、これは喜ばしい事ですよ。

日本のこれからの音楽を考えると。

日本の音楽はメロディーが中心でしたからね。

彼らの出現でやっとリズムが先行する曲を心おきなく作れるようになったわけです」

熱っぽく日本の音楽界の夜明けについて語る井上先生。

そこで、ひとりひとりの音楽性について分析してもらいました。

「一夫・・・・彼は作曲もやるが実にいい感覚を持っていますね。

GS時代の感覚から数歩前進したフィーリングの持ち主なので作曲家としても大いに期待しています。

光男・・・・彼のドラムはテクニック的に優れているとは思わないが、音に対する感覚面で10年前のドラマーより数段上だと思います。

正男・・・・歌は5人の中で一番うまいですね。

少しかすれ気味の日本人離れした声で、

ぼくはポール・アンカを思い出しましたよ。

彼にバラードを歌わせてみたいですね。

晃と妙子・・・・この2人は何を教えてもどんどん吸収していくので、どこまで伸びるかわかりませんね。

だから、いまムリをしてうまく歌わせようよしない方が逆にいいと思います。

晃くんのギターも妙子ちゃんのオルガンも決してうまくはない。

それでいいんです。

あと、5~6年もすればびっくりするほどうまくなりますよ。必ず…」

最後に『個人授業』などの作詞者の立場から阿久悠先生の話を聞いてみました。

「晃くんの動きには本当にビックリしましたね。

頭や体で覚えるといった以前に、何か先天的にちがったフィーリングがありますからね。

日本人離れしたものが・・・・」

そうしたアーちゃんの個性を核としてまとまった

5人兄妹の少年少女たちの夢を詞にしたのが

『個人授業』や『学園天国』の詞のテーマだったのです。

「フィンガー5の年代は、いろんな事を吸収する年頃ですからね。

仕事の忙しさに流されて吸収をおこらないようにしてほしいですね」とアドバイスする阿久先生です。


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