では、昨日の続き書きますね。
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いり玉子にお味噌汁――といった朝食ですが、一番ムシャムシャと食べるのがマーチャン。
「アキラ!テレビなんか見てないで早く食べなさいよ。妙子もモタモタしないでね!」
アーチャンはテレビの方に夢中で、お茶碗の中身はいっこうにへりません。
おっとりした大将も、ゆっくりゆっくりと食べて、なかなかビッチが上がらないもんだからお母さんは皆のお弁当の大きなにぎりめしを握りながらヤキモキするわけです。
鏡の前で頭髪にさかんにクシを入れていたカズが、
「あっいけねぇ!安兄、駅までたのみまーす!」と大声をあげる。
カズの通っている堀越学園は中野にあります。家から東村山駅まで歩いて30分。
そこから西武国分寺で中央線に乗り換え中野駅までが25分。中野駅から徒歩20分。
そのためには7時に家を出ないと間に合いませんが、時計の針はすでに7時15分をさしています。
そこで、安兄の運転する車で東村山駅まで送ってもらうことにしたわけです。
「ぼくも乗せてってよ!」カズより10分ほど遅く家を出て、三鷹にある大成高校に通学する次男のミッチイが声をかけました。
学校が好きで勉強もよくできるミッチイはめったのことでは遅刻をしません。
いつも早目に家を出ます。
こうして、お母さんのつくってくれた大きなにぎりめしを手提げ鞄につめ、カズとミッチイの二人が家を飛び出していきました。
二人が出て行って10分後、今度はお父さんが「ぼちぼちでかけるか」と立ち上がります。
お父さんは、日本冷凍という会社で、24時間勤務のため、家に帰ってくるのは次の日の朝です。
食卓で、まだモグモグと一人だけ食事をしていたマーチャンは、のっそり立ち上がり、お母さんや美香ちゃんと一緒にお父さんを見送ります。
ところが、テレビに夢中のアーチャンと大将は見送りません。
テレビを見ながら大声で「行ってらっしゃい!」と呼ぶだけです。
アーチャンや大将が生まれた時に両親は沖縄でクラブとクリーニング店を経営していてとても多忙でした。
そのためアーチャンも大将も両親にはベタベタ甘えたりしません。
ところがマーチャンはちがます。
弟や妹が生まれてからも、両親のそばから離れようとはしません。
そろそろ大きくなり、弟のアーチャンや妹の大将たちが一人で両親とは別の部屋で寝てるというのに、マーチャンだけは両親の間に潜り込んでくるのでした。
そんなせいか、今でも家にいるときは、他の兄妹たちが8畳で勝手に遊んでいるのに、マーチャンだけは両親のそばに座っているのです。
テレビが、ポ、ポ、ポ、ポーンと8時の時報をしらせると、やっとのことでアーチャンは立ち上がります。
そして「こら大将、出かけるぞ!」と妹に知らせます。
ところが、大将の方はすぐには立ち上がりません。
というのも、もう一度時間割を調べなおすからです。
しびれを切らしたアーチャンが出かけようとすると
「お兄ちゃんまってよ!」と大将がケンマクでどなります。
アーチャンと大将は共に歩いて15分ほどの久米川小学校に通学しているのです。
どんどん歩いていくアーチャンのあとを、大将がのんびり歩いていくのです。
最後に家を出るのがマーチャン。
東村山市立第中学校は家から目と鼻の先、歩いて1分。
があまり近すぎて遅刻することがあるのです。
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今日はここまで!まだ6ページあります。
先は長そうです・・・(-_-;)