宅録ミュージシャン雑記  9月某日  | 脱腸亭日常 ~MY TESTAMENT of trifling beetle~

脱腸亭日常 ~MY TESTAMENT of trifling beetle~

名誉も金も、素晴らしい音楽を作り人々を感動させようという気持ちもない、極めて不心得なアマチュアミュージシャンであり、アマチュアアーチストtrifling beetleの遺書。
HP https://www.music-scene.jp/triflingbeetle/

ビールというか発泡酒というか...すごくうまい!!



ここ十何年くらい、ほぼ家で酒を飲む習慣はなかった。

外でも積極的にはあまり飲まない。

誘いとか付き合いとか、そういうのだけだ。


ところが最近思い出したように飲むことがある。

季節的にいい感じだということもあるのか?

まあ、程ほどにはしているが、家ビールをすることが時々ある。

つまみはチーズ(笑)。

雪印の6ピースとかいうアレである。

これが本当にいい感じでビールと合う。

これもまた至福のときとなりつつある。





自分には、この十年間ほどガンと闘っている叔父がいる。

三十何回の入退院を繰り返して、今なお闘いの最中である。

闘いながらも仕事をこなしている姿は、もうそれはすさまじいものがある。

抗がん剤治療は本当に苦しいという。

それでもなお負けない、めげない精神力には感服することしきり。


実際心が折れそうになっていることも見受けられたし、なんと声をかけていいのかわからないのが正直な気持ちだ。

静かに見守るのが一番本人も良いらしいのでそうさせてもらっている。


特にこの二年ほど、なにかと気にかけさせていただいているのだが、7月頃より足腰が急激に弱り出して、立ち上がることもままならない状態となっている。

叔母も足腰の衰えが顕著で、夫婦で半日起き上がれないこともある。

昨年、一昨年と、叔母は炎天下の仕事が原因で熱中症に罹り、緊急搬送されたりもしていた。

屋内にいるとはいえ、灼熱の日の熱中症が非常に心配で気を揉んでいたが、幸い今年はそういうこともなく、安堵している次第だ。


叔父はままならぬ足腰で半日かけて体を起こし、立ち上がり、午後からミッションの軽トラを運転してあちらこちらに顔を出す。

そんな叔父の好物がこのビールとチーズだ。

立ち寄るときの手土産に、これを持って行くと、本当に嬉しそうな顔をされる。




叔父がこの組み合わせで晩酌を楽しんでいることをふと思い出して試してみたが、いや、ホンマにエエ感じなのだ。

今までこういうことはあえてやらなかったのだが。

この間は、満月を見つつベランダで夜風に当たりながらやってみた。

特になんてこともなかったが、まあでも何となく心が軽くなった気がした。


結局、何をするにしても、例えそれがくだらないことであれ、やってみると真新しい発見とかが思いもかけずに見つかることもある。


叔父には、たまに顔を見せて、ビールやチーズを時々届けること以外にも、もっとできることがあるのに..と思いつつ、実際問題、何ができるのかがよくわからない。

往々にして悶々とする日々ではある。

日々考えることも多く、やらなければいけない仕事も多い。

それでも、もう少しできることをやってみようと思う。





世の中には、パッと花が咲いたような気分になることもあれば、その逆にうんざりすることも多い。


その中でも最近本当にうんざりしたことは、何の躊躇もなく「人でなし」という言葉を出せる人間がいたことである。

というか、実際に吐きつけられた。


自分はまさしくダメ人間の部類に入る。

これは間違いのない事実だ。


情けないダメ人間ながらも、そこまでの差別的な用語を持って非難をされる謂れというものはまったくないと、自分は胸を張っている。

また、例え本当に人でなしのようなものであったとしても、「人でなし」と言葉に出すことって、いかがなものだろうか?

いかなる理由があれど、そういうことを他人に対して言うべきではないと、自分は考える。


言われた人間の気持ちを想像したならば、通常、おいそれとは言えない代物である。

逆にそれは、心や感情が芳しくない時に出る類の言葉ではないのだろうか?

そう考えたら一概に非難を返すこともまたはばかられる。

なので、正直とても情けなく、かつかなり悲しい気分だった。




つい先日、夕食後の晩酌の折に、件の叔父や家族に対して、そういうことで非常に心苦しい思いをしていると正直に告げた。


叔父は開口一番、「幽霊が正体を見せてくれたと思い感謝しなきゃいけない」とやんわりと諭してくれた。

それ以外は何も言わなかった。

そのひとことを聞き、急に胸のつかえが降りた気分になったのだ。


もうそう長くはないであろう人間からの、ど真ん中ストライクなアドバイス。

達観というものなのか、諦観というべきものなのか。


なんというか、判官びいきかもしれないが、人間性の「雲泥の差」というものを、痛いほど感じずにはいられなかった。


立場的に本末転倒の感が否めないながらも、自分は本当に救われたと思う。

ほんとうに有難いかけがえのない一日だった。




捨てる神あれば拾う神あり。

そういうことなのだろう。



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