患者:「治療法がないというのは、私にすれば、死ねと言われたも同然です!」
(小説「悪医」冒頭シーンより)
この「悪医」という小説は2014年第三回日本医療小説大賞を受賞した作品で若き消化器外科の医師と胃癌の末期患者の心理を描いた作品です。
今読んでもおもしろいです。
患者心理もよくわかるし、医療現場で働く者として医師の気持ちもわかるから。
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『悪医』には、主人公の医師と患者との間に、こんなやり取りが交わされる場面があります。
医師は、余命3カ月程度の患者に対して、薬の副作用で命を縮めるよりも、残された時間を大切に、と思って告げても、患者にとっては見捨てられたと感じる。
なぜ医師と患者はすれ違うのか?
大竹文雄・阪大大学院経済学研究科教授
医師の思い:「なぜ患者さんは治療方針を決められないのか」
患者の思い:「なぜお医者さんは不安な気持ちをわかってくれないのか」
こうしたすれ違いは行動経済学の考えから分析理解ができるようになるとの事。
患者の心理は、行動経済学では「損失回避」と捉えることができます。
少しでも「損失」の確定を嫌うあまり、少しでも損失がない可能性を含んだ選択肢を選んでしまうのです。
けれども、医師にとってはなぜ患者が合理的な判断をしてくれないのか、理解できない...。
悪医という医療小説の冒頭から始まる大竹文雄という経済学者のコラムを昨日配信された医療ニュースの配信で読みました。
行動経済学って何❓って思って興味を持ち調べてみたら
人間の心理的、感情的側面の現実に即した分析を行う経済学のことをいう。
そうで、初めて耳にする言葉でした。
第2部 患者と家族の意思決
第4章 どうすればがん治療で適切な意思決定支援ができるか
第5章 どうすればがん検診の受診率を上げられるのか
第6章 なぜ子宮頸がんの予防行動が進まないのか
第7章 どうすれば遺族の後悔を減らせるのか
第8章どうすれば高齢患者に適切な意思決定支援ができるか
第9章 臓器提供の意思をどう示すか
第3部 医療者の意思決定
第10章 なぜ一度始めた人工呼吸管理はやめられないのか
第11章 なぜ急性期の意思決定は難しいのか
第12章 なぜ医師の診療パターンに違いがあるのか
第13章 他人を思いやる人ほど看護師に向いているのか
※ピンクで色分けした章が面白そうです。