ここのところ、
一連の記事を再掲してきた主旨は、
⬆上記のパージェタのドラッグラグが
改善されつつある、
トリネガ・アテゾリズマブの動向です
(特に手術不能な)局所進行乳癌
(ステージ3C、3B)の、
命の賭かった治療で
欧米との5年のドラッグラグ
(欧米では手術不能な局所進行乳癌
ステージ3C、3Bの術前化学療法でも
承認されていたパージェタが、
日本では未承認で使えなかった)
に悔しい思いをした
一乳癌罹患者である私の心情、
しかし、
そういう悔しい思いをした者から見れば、
ここ2~3年で、医療、薬事承認が、
急速に喜ばしい進歩をしている、
ドラッグラグも劇的に短縮されてきている
と感じて、
何て言うのかな、燻っていた思いが昇華し
医療不信に陥らずに済んだということを
お伝えしつつ、
アテゾリズマブ(テセントリク)の、
手術不能局所進行乳癌も含めた承認を
期待をもって待っている
その補足として、
過去記事を掲載してきました。
ーーー
さらに、
で、ご紹介させていただいた記事を
再掲したように、
効果は、
★PD-L1
の他
★TIL
・BRCA
・CD8
といったバイオマーカーで比較されており
で書いたように、
米国FDAで承認されたのは、
PDL-1陽性 のトリネガ乳癌
(手術不能局所進行・転移性)に対してです。
でコメントをご紹介した方や
私の考え、思いとして書いたとおり
現在の乳癌の標準治療のベースになっている
ホルモン受容体、HER2タンパク
による分類を超えた(跨がった)
別のバイオマーカーでの臨床試験や
薬事承認が必要になってきている
のだろうと思いますし、
罹患者としては喜ばしいことに、
その流れで癌治療、特に薬物療法の
医学、医療が進歩してきている
のだと感じています。
※勿論、癌患者全員に効く治療がまだ無い
のは残念ではありますが、
無いものねだりよりも、今の進歩を
喜ぶ気持ちが強いかな、
初期治療で悔し涙をのんだ分。
(前向きと言えば前向きな性格、性分なので)
アテゾリズマブ(テセントリク)迅速承認
だけでなく、
で書いたように、
日本でも、昨年12月に、キイトルーダが
MSI-Highの患者に対して、
癌種横断で固形癌のラストラインとして
迅速承認されました。
※因みに、キイトルーダの、乳癌での
国際第3相臨床試験は、まだ、結果が
公表されていません。
===
さらに、
免疫チェックポイント阻害剤とは別に、
抗HER2抗体薬物複合体、
DS-8201の次に、
HERシリーズですが、HER2とは別の
HER3をターゲットにした、
抗体薬物複合体、US-1402の
臨床試験が進んでいること
も再掲してきました。
モノクローナル抗体や、
モノクローナル抗体に殺細胞性抗がん剤を
くっつけた抗体薬物複合体とは別の
抗HER2(+HER1、すなわちEGFR)薬、
経口のチロシンキナーゼ阻害剤
タイケルブ(ラパチニブ)は、
ステージ4の方々で、お使いの方も
いらっしゃるかと思います。
ハーセプチンやパージェタよりは、
副作用が強そうではありますよね。
HER2は、正常細胞で発現する場所が
少ないために、副作用が軽いと
言われています。
同じHERシリーズでも、
HER1(すなわちEGFR)に働く薬剤は、
正常細胞への影響が大きいとも
言われています。
※薬剤の作用機序の違いもありましょうが…。
ラパチニブは、HER1とHER2を阻害する
のですが、
HER1、HER2だけでなく、HER4も阻害する
ネラチニブ、という薬剤も開発されており、
確か、私が初期治療をしていた頃から
臨床試験が行われていました。
※因みに、HERは、1~4まであります。
(発見されています)
米国では既に、術前化学療法でpCRの
得られなかったHER2タイプ乳癌には
術後ハーセプチンの後にネラチニブの投薬が
承認されて使われています。
※不可逆的に阻害するらしいので
副作用は慎重に見極める必要があると
私は見ていましたが、
癌の怖さとの見合いだと思います…。
日本ではネラチニブは認可されておらず、
ドラッグラグ中です。
昨年12月のSABCSで、
ステージ4の3rdラインとしての臨床試験で
ラパチニブにPFSで優位性を示せた
ことが報告され、
2019年に学会発表されるとのことです。
ラパチニブやネラチニブは、
小さいので脳に届き、脳転移に有効
とも言われています。
再掲します。(補足14)
ー◆ー◆ー◆ー
(元投稿: 12/29 19:15)
本庶先生のノーベル賞に沸いた
免疫チェックポイント阻害剤に比べれば
地味なニュースかもしれませんが、
抗HER2分子標的薬ハーセプチンが
画期的新薬だったことを知っている
HER2タイプ乳癌患者としては
HER1(EGFRのこと)、2、4を阻害する
ネラチニブ
(だいぶ前から臨床試験をやっていて、
時々話題になっていた)
はどうなったのかな?
と、こちらもウォッチしており、
12/20
(日経BP社 がんナビ
リンクを貼らせていただきました)
を、喜ばしく、期待をもって
読ませていただきました。
NALA試験 (国際第3相臨床試験)の結果、
PFSが
ネラチニブ+ゼローダ
>ラパチニブ(タイケルブ)+ゼローダ
と結果を出せたようで、
2019年に学会発表されるとのこと。
◼NALA試験
・進行乳癌患者の3次治療として
※HER2陽性転移性乳癌の標準治療は
1次:ハーセプチン+パージェタ+タキサン
2次:カドサイラ
3次:ラパチニブ(タイケルブ)+ゼローダ
・621人
・ネラチニブ+ゼローダと
ラパチニブ(タイケルブ)+ゼローダ
を比較
===
先の記事
『☆分子標的薬とは』
で、分子標的薬の種類について書きましたが
ネラチニブは、ラパチニブ(タイケルブ)と
同様、小分子化合物
(ハーセプチンやパージェタといった、
モノクローナル抗体ではない)
で、経口のチロシンキナーゼ阻害剤。
ラパチニブは、HER2だけじゃなく
HER1(EGFR)も阻害するのですが、
ネラチニブは、HER2、HER1(EGFR)
に加えて、HER4も阻害する薬剤で、
FDAに承認されて、米国では、
早期乳癌の術後ハーセプチン治療後にも
使われています。
その承認の根拠になった試験(2840人)では、
◼主要な副作用(5%以上) 1420人のうち
・下痢
・悪心、腹痛、疲労、嘔吐、発疹、
口内炎、食欲減退、筋痙攣、消化不良、
ASTまたはALT増加、腹部膨満感
・皮膚乾燥
※ラパチニブ(タイケルブ)同様、
下痢が一番問題みたい。
16.8%の投与中止原因とのこと。
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