名古屋高裁平成31.1.31判決は、元妻である被告が虚偽の事実を申告して,住民基本台帳等の閲覧等を制限する措置(支援措置)の申出を行った上で転居し,長女との面会交流を妨害するとともにの原告の職場における名誉・信用を毀損したことが,不法行為及び債務不履行に当たるとして、被告に対して損害賠償を求めるとともに,警察が,被告が支援措置の要件を満たしていないことを認識し得たにもかかわらず,支援措置の要件を満たす旨の意見を付して撤回しなかったことが違法であると主張して,愛知県に対し損害賠償を求めた事件の控訴審判決ですが、いずれも請求を棄却し、元妻である被告にも、愛知県にも違法はないと判断し、最高裁で確定しています。


 裁判所が、判決全文を公開していますので、実務上も重要な判断だと考えられているのだと思います。
 

 

 この事件は、地裁で支援措置をとったことが違法と判断されたため、虚偽DVと大々的に報道されていましたが、高裁判決を読んでみたら、同居中に身体的暴力もあり、子どもが学校に来ないでと訴えても学校に訪れて質問しながら返答をせまり、執拗にスマートフォンで録音録画していたことが分かりました。推測ですが、当事者は、地裁判決の時に虚偽DVと決めつけられる報道をされて辛かったのではないかと思います。

 共同親権を推進する人たちが、支援措置制度を目の敵のように批判していることが、私が現在の共同親権を推進している人たちを信頼できない大きな理由の一つです。子連れ別居を刑事告訴することと同様、支援措置への攻撃は、DV被害者の避難自体に向けられた非難であり、被害者に対して、逃げることすら躊躇させてしまうからです。

 DV冤罪というけれど、住所を隠して平穏に生活したいだけの支援措置を目くじらたてて批判する意味ありますか?裁判に有利にもなりません。DV加害者が有利になると思ってか支援措置を取られることがありますが、やられた側の被害者にめくじら立てる人などいません。ため息をついて呆れるだけのことです。

 ところで、この事件の判決によれば、宿泊を伴う面会交流の後に、性的な刺激を受けた疑いが強いとされて長女が児童相談所に一時保護された後に、原告が、審判に基づいて長女の授業参観に参加し、廊下や保健室で被告に抱かれている状態の長女に話しかけながら質問して返答を迫り、執拗にその様子をスマートフォンで録音録画したりしていますが、その後にも不履行1回について4万円を支払うという内容の間接強制が認められており、いかに、裁判所が子どもの意思に反して、面会交流を積極的に実施しようとしているかがうかがえます。その後、長女が、原告に対して、撮影をしないでほしい、約束を守れない人は学校に来ないでほしいという趣旨の手紙を出しても、原告は、「ひとのわるぐちをかいたり いうのは やめようね!」等の記載した手紙を長女の学校の下駄箱に残したり、学校に個人的に授業参観を申し込んで長女の様子を見に来るなどしており、長女は、次第に登校をしぶるようになったと書かれています。
 
 この事件は、離婚裁判のほか、面会交流、子の監護者の指定、子の引渡し、間接強制など多数の法的手続きが継続していたことも認定されています。紛争が長期にわたり継続した状態で、やめてほしいと言っても審判で決まったことだからと学校に押しかけられ、子どもの心身に有害な影響が及ぼされたと、高裁判決は認定しています。

 この原告の方が、共同親権の推進の活動をしていたかどうかは分かりませんが、共同親権推進派の方が、共同親権になれば、現在、子どもと面会できない人があたかもフリーパスで面会できるようになると夢見ているとしたら、そして、それが現実になるとしたらと思うと、いてもたってもいられなくなって、でも、どうしたら良いのか分からない。ほんの1人でも、警鐘を鳴らしておかないと、一生後悔すると思ってTwitterを始めました。力ある人の目にとまりますように・・・。