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 DV事件を被害者側で支援する弁護士が、なぜ共同親権の導入に反対しているのか?共同親権推進論者が、DV被害者サイドで事件を受任することをビジネスと揶揄しますが、困難性が高いうえに業務妨害が多いこの事件類型をビジネスだと揶揄すること自体、こういう嘘をついてまで共同親権をゴリ押ししてくるのかと恐怖しかありません。

 

 DV事件の被害者側の弁護士が共同親権の導入に反対するのは、圧倒的に弱い立場におかれた人たちに寄り添い、その苦労を間近で見ているからに他なりません。だからどうか1人でも多くの方に関心をもって聞いていただきたいのです。

 

 DV加害者が「否認・過小評価・責任転嫁」により自分を正当化することは、DVの特徴ですが、「共同親権推進論」者が主張する、「虚偽DVによる連れ去り」「片親疎外症候群」「フレンドリーペアレントルール」はいずれも、加害者を正当化し、その支配を継続させるための便利な道具です。

 

 母子家庭の8割以上が働いていても平均就労収入は年間181万円。子どもの貧困は女性の貧困とも言われる所以です。離婚というものに対する偏見も色濃く残っているこの国で、女性が子どもをつれて家を出る、まして夫に告げず生活費がもらえるという保証もないまま家を出ることの意味を考えたら分かります。「虚偽DVによる連れ去り」を社会問題化することは、DV地獄からの逃避すら許さないという意見表明にほかなりません。共同親権を推進している弁護士は、母子家庭のことを、「草食べてきた方々」という隠語で表現しているようですが、本当に悲しく思います。

 

 「DVもあるけど連れ去りもある」ではありません。実際にDVをしてきた人が、その同じ口で、「虚偽DVによる連れ去り」と言っているから問題であると、切実に訴えています。

 

 何より、問題だと思うのは、DV・虐待家庭で傷ついて後遺障害を発症している子どもや、加害親と会うことを拒む子どもを、「片親疎外症候群」であると決めつける人たちです。「片親疎外症候群」は、自らの行ってきた加害行為により生じた弱いものの傷や歪みを、監護親に責任転嫁する、加害者側の魔法の言葉です。

 

 DV家庭に育つ子どもが相反する感情や考え方を同時に心に抱いていることはあります。でも、それは、片親疎外だから生じているなんて短絡的な話じゃないし、DV地獄から避難した子どもたちの圧倒的多数は「離れてホッとした」という感想を持っています。そして、抑圧が大きい場合には、別居後にようやく問題と向き合うことができて、夜驚症や夜尿症が生じたり、不登校になったりすることがありますが、それは回復の過程であるということもあります。

 

 そしてだめ押しとなる加害者理論がフレンドリーペアレントルールです。「離婚後も子どものために共同養育しよう」など一年の半分にあたる期間の面会交流を求める調停や審判を繰り返すリーガルハラスメント。「フレンドリーペアレントルール」などという考えは「笑顔の加害者による終わりのないモラハラ支配」に他ならず、日本の母子家庭の多くが母子ともに確実に病んでいくでしょう。

 

 数年前から、誰が指南しているのか、DV被害者に対して、子の監護者指定・引渡しの審判、面会交流調停、夫婦円満調停、婚姻費用減額調停、連れ去りや面会妨害、支援措置を取ったことによる名誉毀損など理由とする地裁・簡裁での慰謝料請求を次々と量産するという人が現れるようになりました。誘拐したという理由での刑事告訴、被害者の実家の親に対する損害賠償金請求、被害者側弁護士に対する懲戒請求や慰謝料請求、裁判官に対する慰謝料請求をする人まで現れるようになりました。共同養育の名の下に、離婚後の配偶者の家の近所まで引っ越してきた人もしましたが、恐怖しかありません。

 

 何なんだろう。違う人なのに、何でこんなに同じことをするんだろう。そして、この人たちは、何で口を揃えたように、共同親権制度じゃないから子どもとの面会が制限されていると言っているのだろう。その人たちのブログには、子どもと頬を寄せ合った仲良し写真やパパ大好きだよなどと書かれたメッセージカートなどが掲載され、連れ去られたと悲劇のように書かれている。そして、そこには、元配偶者悪口とならんで、司法の悪口がひどく書かれているけど、じゃあ何でこんなに訴えを量産しているの? 笑顔の写真は、虐待家庭でも存在しているし、性虐待を受けた子どもが、お父さん大好きというメッセージカードを残していることも普通にあることとです。

 

 弁護士に対して繰り返される懲戒請求や地方裁判所での損害賠償請求。一つも負けたことないけど、自分のために弁護士を立てればそれは私の自腹です。これが、あの人たちがビジネスと呼ぶ弁護士ですよ。皆さん、どう思われるでしょうか…。申し立てが量産されても同じ主張ばかりの繰り返し。勝つ気ありませんよね?負けるとわかっている申し立てをして、家裁の批判がしたいだけ。ブログに書くことが目的でしょうか。

 

 平成31年1月31日の支援措置に関する名古屋高等裁判所の判決を読んだ時は涙がでました。ここに事実認定されていることは、この人だけの特殊なことじゃない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/543/088543_hanrei.pdf

 

 共同親権が導入されることの不安は私だけの不安じゃない。弱くて発信力もなくてお金もなくて元気もなくて何にもないけどホッとしたい人たちを支援してきた側みんなの不安です。地味でも、推進派に雑魚と揶揄されても、私は1年の半分を家庭裁判所で過ごすくらいの事件数をこなしてきたから、今、本意気のつぶやきをしています。本当の言葉は必ず人を動かします。関心がない人にも伝えて下さい。どうしようもない国だけど、その分優しい人も多いから。

 

 尊厳を傷つけられた人間が離婚したからと言って加害者と手を繋ぐことができないのは被害者のわがままではありません。 以上!