そして、「世界2位の日本の富裕層が3.5%税負担増やすだけで消費税増税は中止できる」ことを、過去エントリーの中で指摘しています。富裕層に対する3.5%の税負担増は別に不当なことでもなんでもないことは、下のグラフ「日本の年収100億円の富裕層は年収100万円の貧困層より税・社会保険料負担が低い」でもよく分かることも紹介しています。
消費税増税分はまかなえる
直近のデータ「日本の長者番付『日本の富豪50人』資産ランキング(2013年)」を見ると、富豪のトップ50人の合計資産は、10兆6.550億円にもなります。消費税増税による2014年度の税収増は約5兆円の見込みと言われていますので、富豪トップ50人の資産約10兆円に対して、50%の税負担をしてもらうだけで、今年度の消費税増税は必要なくなるわけです。
庶民・貧困層は貧しくなり続けている
上のグラフは、所得トップ10%の富裕層の所得シェアを見たものです。さすがにリーマンショック後は少し下がったりしていますが、基本的に富裕層の所得シェアは右肩上がりです。なので、逆に庶民、貧困層の所得は減り続けているわけです。
トヨタ社長は従業員より税負担率が軽い
イギリスやアメリカ並みで1兆円超の税収を
毎年確保できる
上のグラフは、所得階級別の所得税負担率(2012年分)を見たものです。(※労働総研・労働者状態分析部会でいつも私がお世話になっている財政問題研究者の垣内亮さんが国税庁「2012年分申告所得税標本調査結果」から作成したものです) グラフを見て分かるように、所得が1億円を超えると所得税が下がっていきます。これも垣内さんが計算したものですが、個別ケース(2012年)を見たものが以下です。
大企業の内部留保に2%課税するだけで
消費税増税分は確保できる
上のグラフにあるように、民間労働者の年間平均賃金は、1997年の467.3万円から2012年の408万円へ59.3万円も減少しているのに、大企業(資本金10億円以上)の内部留保は1997年度の142兆円から2012年度の272兆円へ130兆円も増加しています。
前年度比を見ると、2011年度から直近の2012年度で大企業の内部留保は267兆円から272兆円へたった1年間で5兆円も増加し、逆に民間労働者の年間平均賃金は409万円から408万円へと減少しています。
この大企業の内部留保5兆円で今年度の消費税増税分はまかなえますし、内部留保272兆円に2%課税するだけで、5.4兆円確保できるのです。
「日本に財源がない」と言うなら
世界のどこにもないことになる
先日、唐鎌直義立命館大学教授にインタビューしました。最後に、そのインタビューの一部を紹介します。
上図は昨年11月の「週刊新潮」に掲載されたものです。一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんが、「世界は数字でできている」という連載コラムをお持ちで、そこに掲載されていた「GDPで見た世界」というものです。
これには、国土面積ではなくGDPの大きさで世界地図が描かれています。そうするとアメリカが圧倒的なんですが、日本は世界第2位を中国と競っているので、こういう世界地図になる。だから、世界の国々は日本をこう見ているのだろうなと思うのです。国土面積で見ると極東の小さな島国でしかありませんが、その小さな国が1年間でつくり出しているGDPはこんなに大きいのです。だから国連などが、もっと拠出金を増やせと日本政府に迫るのだと思いますね。
つまり、516兆円も毎年GDPが生まれている国で、どうして財源がないと言えるのか。それを私は全く理解できません。国民が汗水流して働いて516兆円も毎年富を生んでいるのですから、そこからきちんと応能負担で税金を取るのが政府と財務省の仕事でしょう。それを財源がないということは、全く無能な人達がいるのかということになりますね。しかも所得税や法人税が30兆円くらいしか入らないというのはひどい話ですね。結局は、516兆円のGDPと、360兆円の国民所得からきちんと応能負担で税金を集めて再配分するという当たり前のことを政府・財務省に実行させられるかどうかということが大事です。それを消費税増税で、低所得者からも税金を巻き上げようなどというのは、一体どういう考え方なのかということで、それこそこれを世界に知らせたら笑われるようなことだと思いますね。
(byノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)