4月1日、土曜日。夏だと誤解してしまいそうな暑さだった。

 

NATSUZOMEという巨大アイドルイベントは、そんな天候もあって大成功に終わったわけだが、どんなに巨大なアイドルイベントだろうと、現存する全てのアイドルが出演できるわけではない。となれば、已む無く出演できないアイドルたちは、別のイベント出演によって間に合わせるしかないが、言わずもがな、普段の土日と比べて動員は少なくなってしまう。

 

もっとも、TIFはかなり例外的ではあるが、屋外のマスク着用までもが制限撤廃されたほどに、非常に開放的な今日である。野外で、しかも夏初めと連想させるようなアイドルイベントというのは、極度のドルヲタかライトファンか関係無く、自然と足を運んでしまうものだ。だからこそ今回、参戦した対バンは、はっきり言って、非常に過疎だった。

 

しかし、やっとである。やっと、過疎対バンが生じるほどの「余裕」が出てきたわけだ。

 

少し前などは、コロナ流行最中でもライブをする、言い換えれば、アイドルとファンが会う機会を作る、というだけで精一杯だった。かつ、仮にもっと頑張って諸々動いたとしても、動員などの問題から結果的に収益マイナスで終わってしまっていただろう。だからこそ、ライブ開催なども含め「無難」なイベント運営に留まってしまっていた。

 

今日でもその方針のみを、ライブアイドル業界全体として推し進めるのも無くはないが、もしそうしてしまっては、活動可能なアイドル数にかなり厳しい制限が出てくる。今日、注目を集めているライブアイドルというのは、知名度低いアイドルグループを経験して満を持して花を開いたような者が少なくないので、下積み期間というのは大事だと考える。

 

その経験たるもの、やはりライブに出ることが一番である。もちろん、不条理だと感じるほどになってしまっては、精神的によろしくない。だからこそ、ある意味刹那的なのだ。その刹那性が、どこか桜にも似て映るものだ。

 

また春が来た時に、陽気と共に、今回の対バン参戦を思い出したいものだ。

 

以下、参戦した13組のうち、抜粋して6組のみを参戦レポとして執筆していきたい。

 

 

 

 

 

「12」SharLie「稀に見る高難度ダンス兼高完成度」13:45~14:05「03」

最終観賞:2021/10/3:『主体成長:夜明けを告げる人間的な魅力

物販1「緑」美凪「サインあり2shot」0円 (新規特典)

今回が初参戦かと思いきや、過去の参戦記録を調べたところ、そうではなかった。厳密には、参戦は初めてだったが、ライブを観るのは初めてではなかった。そう、あのコロナ禍での、配信対バンの一つに、彼女たちが出演していたわけだ。ただ、それは既に一年半前のことであり、この観賞レポではかなりの酷評だったので、おそらく別体制と考えるのが自然だろう。それにしても、ライブ観賞、結局は家に籠って観るだけのものだ、実際にライブに赴いて全身で音楽を浴びるそれとは明らかに別物だし、高いレベルを求めてしまっていた、というのも一理ある。

さて、今回のライブはというと、まず、出番開始時点ではかなり過疎なフロアであった。おかげでこの前後含めて振りコピ中心に立ち回れたのが凄く楽しかったが、その中でも群を抜いて楽しかったのが本アイドルである。ダンスがかなり難しい。振りコピする場合、その難しさというのは、大まかに二分できると筆者は考える。一つは、アイドルダンスであまり見ない類いの振りが多いために、真似し慣れていないというもの。そしてもう一つは、たとえば4拍とか8拍とか一つのリズム群において前後半が対になっているケースが極めて少ない、などのために振りの予測が難しいというもの。今回、本アイドルのダンスはというと、この両方に分類でき、結果、かなり集中して挑まなければならなかった。ただ、こちらが挑戦心をも覚えてしまうほどに難しいダンスというのは、間違い無く燃える。自然と気合が入る。観客の記憶に残るライブというのは、観客において何かしら内部変化があってこそだ。もっとも、全員が全員、振りコピをするわけではないにしても、新奇性の高いダンスというのは、他のアイドルとは違う特別な存在として刻まれるに違いない。

凄く楽しかったので、気付けば物販回収していた。フライヤーを貰って即計算して驚いたが、総じて人が十分成っている年齢だ。それでも、グループで一丸となって、アイドル事業に集中して取り組めている。しかも、そこに笑顔がある。純粋にパフォーマンスを楽しめる人財を選り抜いた結果、あの自然な団結力が創れているのだろうが、事務所の規模や知名度関係無く、難しく、奇跡的であることに変わりは無い。やはりアイドルグループというのは、ソロプレイでは立ち行かないものだ。互いに協力し合って、尊敬し合って、そして高め合って初めて、個人および集団、共に魅力として観客に伝わり得るわけだ。

歌唱担当、パフォーマンス担当、ムードメーカー。自己紹介で述べられていたが、総じて歌もダンスもかなり上手かった。おそらく、著名なイベンターに見つかる日はそう遠くないだろう。発掘の意図としての対バン参戦、なるほど、秀逸な選択じゃないか。

 

 

 

 

 

「15」♮リアスクライブ「コアに熱い現場と確かなる成長」14:50~15:10「07」NEW!!

その昔、♮ベクアステラ、というアイドルグループが存在していた。黒基調に宇宙を連想させるようなデザインを混ぜ込み、幾度とステージに立っていた。特にコロナ禍、ライブハウスでのライブが皆無へと陥っていた時期でも、ホールへのライブ出演を積極的に行い、人知れず経験を積んだアイドルだ。ここで人知れずと称したのも已む無し、それほどに知名度上昇には至らずに、体制終了という運命を辿った。

先頭の記号からして、その後続となる現在のグループだと見做すべきだが、当時在籍していた早瀬さくらがどう活きてくるのか。ここに注目した。やはり、現体制のうち少数が古参メンバーとなると、様々なアイドルグループを見てきた筆者が思うに、どうしても歌割りやポジションなどが固まってしまい、言い方は雑だが、運営による贔屓目が目立ってしまい、どこか物足りなさを感じてしまうものだ。前述にもあるように、彼女たちはアイドル「グループ」なのだ。集団である。一個人だけが活かされる様相というのは、他の大多数が納得する期間というのは、そう長くはないと考えるのが妥当というものだ。

では本グループはというと、どのメンバーにも程好く歌割りが充てられ、フォーメーション展開も多彩で縛りなどは感じなかった。あまり各メンバーについて調べていないからなんとも言えないが、いずれにしろ、アイドル経験とか他芸能経験とかの有無関係無く、ちゃんと誰もがアイドルとして活かされている。だからこそ、個性が活きるライブが実現できるわけだ。衣装や楽曲は、そこまで新奇的なものではなかった。しかし故に、良いモデルケースになる。アイドル運営を始める者などにとっては、第一歩として彼女たちのプロデュースされっぷりを参考にするのは一つの手段として有効に違いない。

感動を受けたのは、そんな壇上の奇跡もあったが、これに加えて、現場がかなりの熱気だったことも忘れてはいけない。しかも、昨今よく見るような、若者によって為す浮ついたものではない。層としては中年男性が中心となって成す、コロナ前などに見たような、良き地下現場である。コールやMIXなど、彼らの叫びというのは、熟年男性故に力強さはもちろんだが、そこにはどこか、ヲタクとして生き続けてしまったという哀愁をも覚えてしまうものだ。だからこそ、アイドルのライブを彩るにあたって、深い趣が生まれる。その時間が15分とか20分だったとしても、その場に居る者にとっては、深く記憶に残るものだ。

現場は一朝一夕にして成らず。てっきり、声援に対する集団認識や、参戦回数の少なさ故の叫ぶ行為への一縷の抵抗や迷いなどが原因だと思っていたが、コロナを経て、様々な現場が生まれて、改めて考えてみれば、叫ぶ者の人間的背景、これこそが欠かせないのではないだろうか。今度参戦する頃には、筆者ももっと、人として味わい深くなっておきたい。

 

 

 

 

 

「19」かかかぶぶぶききき!!!「不特定的Twitter」16:15~16:35「06」NEW!!

そういえばステージ上に何人いたかな、と改めてTwitterを調べてみたが、どうやらこのグループ、少なくとも外部対バンでは、出演メンバーを選抜しているようだ。なので、グループ垢のフォロー欄から辿ろうとしても特定できないし、対バン出演情報のツイートにも詳細は載せていない。まあ、内輪のシアター出演を手堅くこなせていればそれで十分なのだろう。なんだか、さくらシンデレラと似たものを感じるが、あっちはまだSNS改善して前よりも見やすくなった。って、おいおい、これじゃあ酷評じゃないか。切り替えてライブについて書こうと思ったものの、それなら別のアイドルについて急遽追加で書きたい。

 

 

 

 

 

「18」8DOLL「アイドル人財部門では間違い無くMVP」15:50~16:10「03」NEW!!

8系列は全体的にパフォーマンスレベルが低い認識だが、ここは特に御粗末だった。

それに、他の出演者と比べてもひどい過疎だった。おそらく、普段はキャパ200とか300とかのライブハウスに出るのだろうが、有名イベントの裏での対バン、しかもSELENEはキャパ800だ。どう考えても、今回の状況に陥って、アイドルが望まない活動様相と化してしまうのは想像できるはずだ。本運営、何がしたいんだ。

ただそれでも、光る人財はいた。水色担当、空条みさである。顔が小さく、ルックスは普通に良い。ただ一番は、ライブ中、観客と目が合った時のくしゃっとなる笑顔である。あの笑顔が見れるというだけでも、参戦する価値があるほどに、惹き付けられてしまう。パフォーマンス面での伸びしろが未知数なので何とも言えないところではあるが、やはりライブという瞬間に強く輝ける人財というのは、ライブアイドル人財として末永く残していきたいと筆者は考えている。今はまだ、8DOLLで様々な経験を積むのは全然ありだが、ある程度の年齢になったら、経験者採用として大手事務所へ移籍してほしい。彼女の輝くステージは、もっと大きく、眩しいところであるべきだ。理想論だが、期待したい。

さて、気付けば執筆するのも残り3組となってしまったが、参戦から帰宅しての執筆、時刻は既に0時を回ってしまった。どうにか夜が明けるまでには執筆を終わらせたいところだ。しかし、いつも以上に真剣に執筆している今回、しっかり一つ一つの言葉を選びつつ、丁寧に書き起こしていきたい。ということで続けて、挙げていこうじゃないか。

 

 

 

 

 

「20」ミスティア!「グループ全体での成長を高く評価」16:35~16:55「04」

最終参戦:2023/2/5:『狭溝東端:転職と重ね合わせた新木場:起

物販2「赤」立花ことり「サインあり2shot」2,000円

あまりここで話したくはないが、前回参戦との筆者の心情比較ということで、改めてあの話をしなければならない。それは、ソープ開拓の件である。

精神的に詰んで、急遽一週間有休を取った、今年二月中頃のことだ。その前半で転職活動するも結局全て蹴り、週後半でソープ開拓したわけだが、このソープ開拓の五日前、まさに転職活動の最中の参戦が、前回の新木場参戦だったわけだ。それは確かに、転職の未来までも一つ視野に入れて人生考えていたわけだし、ソープの世界を知っていなかったために究極の癒し兼逃げ道が無く追い詰められていた。そんな状況であれば、物販回収として立花と話した際に、体調が心配だと言われてしまうわけだ。もっとも、あれは冬の寒さも若干はあったものの、補足事項に過ぎない。今思えば、きっと、約二ヶ月ぶりに今回話したわけだが、この二ヶ月間でちゃんと人として立ち直ってくれた、生き直してくれたのだと、会話の結果感じたに違いない。思えばそういえば、口数だって全然違っていた。まさに逆転していた。そんな筆者の変化について、彼女は何も訊かなかった。まあ言ってしまえば、別に専ヲタでもないし、物販回収した回数だってたかが知れている。しかし、それでも訊いてくるアイドルは過去確かにいたし、と考えれば、あえて訊かなかった、などという大人な配慮をも想像してしまうものだ。本人に言うつもりは無いが、彼女は本当に賢いと思う。物事を第三者目線で考えることができるし、怖がらずに意見することだってできる。アイドルとして、一集団として、ライブなど良いものを創り上げたいというプロ意識あってこそだろうが、行動する力だけではなく、行動「しない」力もあるだろうと、今回考えた次第である。

ただ、配信などで培った、会話スキルだってかなり高いので、何気ない話でも全然楽しめる。本当に逸財だと思う。なので筆者も、やろうと思えば他愛無い話を展開することは可能ではあるが、Twitterなどで見ていてもやはり、彼女の一番の関心はライブであり、アイドルである。だからこそ、今回のライブでの感動、メンバー全員歌唱力が高くなったこと、表情が自然になって笑顔が増えたこと、を直球で伝えたわけだが、個人的には、ファンの増加というところまで触れられたのが収穫だ。今回の対バン、他が哀しい動員多い中、安定の動員の多さを実現させ、さらにはサイリウムがカラフルに灯っていた。昔、それこそ横浜ランドマークホールなどで観た時には、彼女一色というのが普通だった。しかし今や、全員が良く応援されている。アイドルにとっては、確かなモチベーションだ。実力面でも、良い流れが来ているミスティア、今年の夏を自信持って駆け抜けてほしい。

 

 

 

 

 

「21」ワガママきいて??「古き雪を融かす猛る現場よ」16:55~17:15「07」

最終参戦:2020/3/7:『再咲重衝:戦場に挑み続ける執念

あれは雪降る渋谷だった。2019年2月9日。細雪程度ではあったが、路面は所々凍っていて、歩くだけでも大変な一日だった。当然、凍える寒さだ。それでも参戦した対バンだったわけだが、今から四年前ともなると、筆者は大学生だ。血気盛んだった。思い返すだけでも、恥ずかしくなってくる。如何に幼く稚拙な人間だったことか。

雪。そういえば、ソープ開拓した日も、雪が降っていた。ただあれは、東京でもがっつり雪が降っていた。2023年2月10日。銀世界を縫ってやっと辿り着いた、癒しの空間。未だに、務める彼女以外は、ソープという世界を肯定はしてくれない。もしかしたら彼女自身も、どこか後ろめたい想いがあるのかもしれない。なんだかんだで、優しい人だ。ちゃんと別れを配慮ぐらいだ。昼職に専念する日は、近くはないが、10年先とかいう話でもない。彼女の発言が正しければ、あと二年。もしそこで人生ドロップアウトとなれば、そうか、たとえば四年先から今という日を思い返すことも無いのか。それはそれで寂しいかもしれない。いや、寂しさにはもう慣れた。だとしても、死を語るには早過ぎる。まだまだ、今を頑張って生きているアイドルは数多い。そんな少女たちが日の目を浴びて一層と輝く姿を見るまでは死ねない。ただそうなると、永遠に死ねないわけだが、人は必ず終わりが来る。結局プラマイゼロな押し問答じゃないか。いずれにしろ、雪は特別な記憶を刻んでくれる。

雑に切り替えたが、前回参戦はというと、2020年3月7日、コロナが流行る直前で、緊急事態宣言が出る前に、既に客の足が遠のいていた頃だ。まだギリギリ学生だった筆者、どこか足掻く想いもあった。今思えば、あれからずっと、参戦していないということは、黙秘を強いられる現場に遭遇してこなかったということか。姉妹グループであれば経験はあるが。そのあたり、もしかしたら本運営は、本グループには特別な思い入れがあるのかもしれない。声援ありきだと。声援あってこそ、ワガマきは生きるのだと。

当然、前回参戦からメンバーはすっかり入れ替わっているだろうし、ヲタクだって入れ替わっていてもおかしくないのだが、一言コメントにある通り、当時と比べて遜色無い現場熱であった。凄いことだ。時代が大きく変わっただけではなく、そもそもライブアイドルという世界は変化が目まぐるしいものだ。たった一年経つだけでも、メンバーの入れ替わりだけではなく、グループの存亡、さらには事務所の存亡までも変化し得るものだ。だからこそ、本運営には、良い意地を感じてしまう。一度信じたアイドルの在り方を、とことん貫き通す。別事務所にはなるが、kabukimonodog’sと似たものを感じる。昨今では新進気鋭事務所も数多いが、やはりタフな運営や事務所というのも、この世界には欠かせないものだ。

 

 

 

 

 

「22」IIIIIIIDIOM「無我夢中の最中の笑顔」17:15~17:35「07」

最終参戦:2023/3/19:『渋谷悠春:ライブ愛尽きない筆者のツイート群

物販3「紫」数馬京乃「サインあり2shot」2,000円

この参戦の先々週での渋谷ストリームホール。ヒロインズアイドルなど推され強いアイドルが数多く出演する中、彼女たちは御世辞にも盛り上がっているとは言い難いフロア様相であった。知名度を上げるというのが、そう簡単なことではないのは解っているし、パフォーマンス実力面で昔以上に正確にかつ酷に評価される時代だ。後方で観賞していた筆者だが、全く勝機が見えなかった。そんな折でのトリ無我夢中は、現状への抗いを謳うという点でストーリー性は確かにあった。しかし、春の訪れを告げるような陽気かつ快晴だった渋谷、そんな街でこの葛藤を謳うべきなのか、そもそもイディオムはそういった方向性のアイドルなのか、欲を言えばコンセプト体現で勝ってほしい、と願っていた。

今回、なぜ筆者が振りコピで立ち回ったのか、それは結局、声出しOKでフロアに十分なスペースがあったから、もあるが、今更ながら気付かされた。ライブとは、アイドルだけで創るものじゃない。そこに客がいて、音楽を共有して、あわよくば体を動かして声を出して、無形物で刹那だが唯一無二の空間を創るのだと。それが、ライブの本質だ。

イディオムのライブは、そんなレスポンスのエネルギーが強いアイドルだ。同じ振りコピでも、表情を自然と多彩に変えてくるし、何より、笑顔に嘘が無い。人財面でもそうだが、運営面でも、相性や手腕など、見事に噛み合っていないと、あそこまで少女の素の良さを残すことはできないし、ライブ中に表出させることだってできない。なのでこれはあくまで筆者個人の見解でしかないが、他出演者がそこまで強くない対バンに出て、ホールではない(=椅子の無い)会場を選んで、など、ライブ出演を選り抜くのが大事だと感じた。こうした方が、他目当ての客でも暖かく応えてくれるし、着席地蔵が殖える恐れも無い。素の良さを活かす、ということは、その分、繊細だ。アウェーな場などでのダメージは他以上に大きいものと成り得る。彼女たちの輝きをここまで引き出せている、その技量があるからこそ、ここまで考えこまなくとも大丈夫な気もする。時刻は既に二時半、深夜がそうさせるのだろうか。いずれにしろ、まだ、彼女たちがアイドルとして輝く姿を見ていたい。

そこまで想ってしまうのも、トリ曲以外での明らかな笑顔の多さ、そしてトリ無我夢中で、メンバーの大半がラスサビで笑顔になっていたのに対し、数馬は葛藤が続くとも描ける曲中盤で笑顔を魅せた。三曲目までの流れを踏まえて、葛藤でも必死に頑張る、そんな自分へのエールという意味合いでの笑顔でくると思っていた。しかしあの笑顔は違った。頑張って頑張って、それでも報われない、でもまだ諦められない、だからまだ頑張らなきゃいけないけど一旦はここまでの努力を認めてもいいんじゃないか、という、一種の解放的でかつあまりにも刹那的な笑顔である。あの表情は、簡単には作れない。

ゴールの見えない状況でも、笑顔はある。見方を変えることで、笑顔は作れるのだと。そしてそこからまた、人生という名の物語は続いていく。だから決して、絶望などではない。過言かもしれないが、彼女の笑顔から、そう学び取った筆者である。

 

 

 

 

 

このライブで締めよう。そう思い立って、結局、残り9組を全てスルーして、イディオムを物販回収して、会場を出た。というかそもそも、会場入りだって遅かった。こちらも初手9組スルーしていて、では何をしていたかというと、呑気に寝ていたし、麻布十番駅に着いてからのんびり昼御飯を食べていた。ただ、こうして参戦前後、ゆったりとした時間を設けたからこそ、どのアイドルにも真っ直ぐ向き合えたし、振りコピもコールMIXも、熱く活動的に挑めた。かなり楽しかった。これでチケ代1Kは安すぎる。

 

じゃあNATSUZOME裏じゃなかったら人十分だったかというと、それも違う気がする。もはや今日、各グループへのファンの固定ぶりは昔よりも強く、だからこそ、有名イベントが仮に同日で無かったとしても、様変わりレベルでは動員変化は無かったと考える。

 

それでもやはり、どのアイドルも、今日、みんな頑張っている。

 

報われるか否か、という曖昧な議論をするつもりは無い。ただ一つ、幸せにアイドル活動に励んでほしい。そんなの勝手なお世話なのは重々承知しているが、どのアイドルだって、それ以前に人生がある。どうか悔いの無いように、と願うばかりである。

 

それにしても、こうして深夜に及ぶまで、参戦レポを書いてしまうぐらいには、アイドル熱が相変わらず強い筆者だと、再認識できた。これぐらいなら、再びソープ行く余裕も無さそうだが、だとしても、あの日記は非常に気になる。私信じゃないのかと考えてしまう。

 

未来をどうするか。雑に考えながら、眠りに就くとしよう。(9000字)

 

 

 

 

 

日時:2023年4月1日(土)、10時~20時40分

会場:白金高輪SELENE

タイトル:Serenade 01 APRIL 2023 @ SELENE B2

出演組数:31組