平日の早い時間。渋谷クアトロに参戦するのは久々だ。

厳密に言えば、約7時間耐久レベルの対バンにおいて、の話だ。

今回も典型的なもので、前半は小箱を軸に活動するアイドル、後半は大箱を軸にしかつ対バン全体での主役と呼ばれるようなアイドルが連なる。その場合、早割を狙う時間だろうと、開場して10分もすれば待機列は消える。

書類郵送の都合上、終日歩き回って既に体力の3割ほど消費した状態での参戦であった。万が一待機列が長く生じていた場合、エレベーターで上がるよりも階段で上がった方が待機列の最後尾には早く着ける。今回はそのようなことは無かったものの、混雑を嫌う筆者だ。たとえどんなに短い時間だろうと、あの狭い空間に閉じ込められるのは好きになれない。階段を上って受付に着くと、金曜日の渋谷クアトロ対バンと同じ運営の顔ぶれであった。タイテの都合上、今回指名予約したのはエルフロートだったことを思い出して入場。

 

 

 

入場するや否や、COLOR’zの黄色担当、菜ノ花がフライヤー配りをしていた。この位置でフライヤー配りということは、今日は懸命に取り組むアイドルが多そうだと思いながら、ちゃんと名前を言い当てるスタイル。案の定彼女は驚いてくれて、いやちゃんと予習したからです、と回答しつつ、一応長く見ているから厳密には予習の賜物ではないんだけどなぁ語彙力、と思って、記念にどうぞ、と言われて渡されたフライヤー。平均的なサイズでPCで作成した感じのもので、フライヤーとして欠かせない情報はちゃんと含まれていた。強いて挙げるとすれば、グループ特有のアイコンみたいなものがあればいいぐらいだ。まあ、本グループはそこまでアイコンを一つに縛る戦略ではないから。

 

 

 

貰った位置がコインロッカーの終端に近かったので、すぐに荷物をしまって装備して、再び動線に戻って歩を進める。次にフライヤー配りしていたのはSistersあにまの白担当、葵である。彼女は本グループの中でも先輩に当り、驕ること無く早い時間からひたむきに取り組む姿勢には頭の下がる思いであった。陰乍ら尊敬しているもののそう多くは話さないのが適切だろうと判断して最小限の想いを伝える程度で済ませる。

そういえば、別の時間帯では青担当の渡辺が配っていたようだが、新しいフライヤーだと私が映っているから嬉しい、みたいなツイートが印象的であった。彼女が加入してから予約フォームに彼女の載ったトップ画に変わるまで暫く経っていたものだと。

 

 

 

回るように道を進んでさすがにもういないだろうと思っていたが、曲がった直後に待っていたのがホトキャことHOT DOG CATであった。しかもメンバー全員。これは圧倒的に不利な状況だ、と過去の自身の参戦状況を思い返して痛感。ここで最初に口を開いたのは白担当の白河であった。今日はちゃんとライブ見てくれるよね?と、なんだか彼女らしくない多少哀し気な感じで訊いてきたので、その場の空気をどうにか和ませたいと、いやいや今回はちゃんと見るから、と明るく答えたものの。冷静に考えれば、本対バンではI-GETは多く出ていないし、正確に言えば本グループだけである。事務所的に有利なのはRagdollsとONE to ONE AgencyとBELL AGENCYだろう。となると、本グループを知らない人が多く彼女たちの前を通り過ぎる中、どうにか知ってくれている者が。ただ、グループとしての現状、そして離れつつある状況は彼女たち、特に彼女は痛感しているからこそ、そう明るくは振る舞えなかったのだろうという。なんとも酷な状況だったと執筆時に改めて思うところである。そう考えると、あの立ち回りは本当に正解だった。

 

 

 

最後に居たのがニトクリことNeat.and.cleanの黄緑色担当、姫睡である。SEでは彼女が最初に登場することから筆者の中では強く印象に残っていた。毎回ちゃんとメンバーコールもしているし、何も問題は無い。そう思い、メモにまとめた漢字をそのまま読んでしまったのが大いなる過ちであった。彼女の苗字は「ひすい」であって、「ひめすい」ではない。口を出た精確性の欠ける情報に対して若干の違和感を覚え、そういえばまとめる際にTwitterのIDに読み方が書かれていたんだった、と誤りに気付くも時既に遅し。改めて彼女に教えられて、次回こそはリベンジします、と告げてその場を去った。そういえば苗字の読み方思い出せなかったのは、渋谷DUO対バンでのTEARSの薄紫担当、榛那に対しても近々あったので、今後アイドルをまとめる際には読み方もちゃんと意識せねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「01」深川史那「こんな減少も久々」

一昔前は本対バンのような組まれ方だったのだが、最近のところは対バン主催も工夫してきて、そう不人気とは言い難いアイドルをあえて早い時間に持ってきて早割効果で多く動員させておきたい、という場合が見られる。特に初め5組程度が全てそう人気とは言い難いアイドルであったのは本当に久しぶりであった。

そして普段はグループとして活動する、ソロでステージに立つという点では未熟だと言わざるを得ない彼女であった。先日のキャンゴーの磯野のように、一人でステージを満たすような存在感があったとは言い難いもので、如何にソロアイドルがグループとは違った強さが必要かということが際立たされた15分間であった。

 

 

 

「02」白星☆ウィクトーリア「親心をも感じられる暖かき運営」

前述の深川が出番のとき、関係者エリアで三脚を用意する運営の姿があった。てっきり深川の運営かと思いきや、撮影する様子を見る限り本運営であった。カメラ越しにライブを見つめる眼差しは柔和なもので、プロデュースするアイドルを単純な駒だと見做していないこと、加えて一人一人の女性の人生を左右する身であるからこそ、親身になって支えまいとする姿勢が感じ取れた。少なくとも筆者が正式な推しとして定めているアイドルの運営に関してはその心配は要らないものの、生きとし生ける地下アイドル全ての運営が本運営のような心構えであってほしいと願うのであった。

現場は手堅く形成するスタイルであったものの、しかし前半は盛り上がりに欠けるものであった。小箱対バンで鍛えてから大箱に挑んでほしい気持ちは無いわけではなかったが、むしろ総合的には好評な本現場である。メンバーの卒業や加入を繰り返して現体制に至るため、専ヲタも入れ替わってしまっているのだが、どんな状況だろうと推しのために熱く応援する姿勢というのは素晴らしいものであった。後方からかろうじて見えるほどのカンペであったが、そこに込められた愛の深さには応えるしかなかった。急速に体力を回復させて強い加勢に努めるのであった。

本現場が出番的に先行していたからこそ、あの現場が冷めて見えてしまったのだろうか。

((まだ2組しか書いていないのに既に二千五百字超えている、だと…!?←))

 

 

 

「03」三毛猫歌劇団「初夏を告げる透白の向日葵」

自画自賛で申し訳ないが、よく参戦直後にこうした言葉が浮かぶものだとしみじみ。

これはこの日限定での彼女たちの衣装を指すものであり、7月初日ということで夏の訪れを告げるものにしたいという創意工夫であった。それでいてエネルギッシュな楽曲がメインであり、そのギャップは確かに惹かれるものであった。ただ、振りコピしてて感じ取ったのとしては、女の子らしい可愛さも失うこと無く有しているのだと。なのでどうにかしてその秘めたる一面を著したいと考え、熟考の末に「透白」という単語に辿り着いた。

本現場で最も印象に残ったのは、あの最前管理がマサイしていたということだ。対バン全体を踏まえて、目当てとしてはTEARSやアンビスだと考えられるものの、純粋に楽しめる場は楽しみ尽くすという、彼らなりの矜持である。

 

 

 

「04」Cheering Party「解放的なステージング良き」

冒頭で記すタイミングを失っていたが、実はホトキャのフライヤー配りの最中に目撃しており、なぜそこで記さなかったのかというと、単純に一時的に動線を明け渡しただけだからだ。理想的にはすぐにその場を去るべきだったのだが、ホトキャとの会話が終了していなかったので。きり良いタイミングで彼女たちに道を譲る。若干身を縮めて「すいません」と一言言って通過するあたり、行儀がしっかりしているものだと。

開演5分前ぐらいにもとあるメンバーがフロア内でフライヤー配りに励んでおり、ピンク担当の橋本である。眼鏡姿で活動する地下アイドルはそう多くないのでその時点でも既に印象的だったのだが。どの参戦履歴を話そうかと思って、一、二か月前あたりのSELENEだと言ってみた。だいぶ前ですね、という回答を頂けて、あとはサイリウム点けてほしいとかいろいろ話してくれて親切な子だと感心した。

((ちなみにこの回答は正解で、日付としては5月22日。アイドル諜報機関LEVEL7の青担当、くるむの生誕祭対バンで場所はSELENE。そう多くは書いていないものの、若々しさは今後活きてくるのではと未来への期待を込めた内容となっている((行動選択:定義という名の抽象化))))

前述のウィクトーリアでライブを観て他から学ぼうとする姿勢も素晴らしかった。正直なところ、あの年齢でライブで強く応援するのは難しく、かつ加勢難易度としては高い方だと思うからこそ、純粋にコンセプトを実現させるのは現時点では難しいのでは。ただ、行動に表れなかろうと、応援というのは想い次第で成り立つものなのでは。

ライブでは終始振りコピさせていただいた。左右の繰り返しが多いものの、左右どちらが先なのか、また同時に脚はどちらを、そしてどの方向に動かすべきなのかという、振りコピする際に必要な基本事項を想起させるという点では適度な難易度のダンスであったように思われる。この体慣らしがあったからこそ、あの振りコピが実現したんですかね…。

 

 

 

「05」あんだーびーすてぃー「半ば攻略しつつあるシェキラブ」

今回は分量や構成の都合上、アンビスのライブや物販については割愛する可能性が高いので先に書いてしまおう。アンビスのライブ中では前半は振りコピ、後半は無難に加勢という運びだったのだが、その振りコピでエルフ物販回収直後で筆者自身なかなか好調だったので普段よりも高い精度だったと自負している。そんな筆者に対して(あんびすでは)オレンジ担当の凛音が、なんでも踊れるんだね!という物販での第一声であった。

ただ、あんびすに話を移すと、本楽曲のみまだ攻略しきったとは言い難い完成度だと思っている。特にサビは難しく、サビ初手での左右移動を上下共に間違えないこと、そしてシェキラブ連呼直前での個々で異なる振りも瞬時に真似ることなど、課題はそう少なくない。今後も参戦を重ねて彼女たちのダンスを自分のものにしていきたい所存である。

 

 

 

「06」天空アイランド「推しは見つかったが君の名は。」

今回はチーム合同でのライブであった。どちらかというと小箱でのライブが多い本グループだからこそ、ステージの広さからして柔軟なプロデュースだと感服。振りコピしてて楽しいのは間違いなくクローバーの方だが、アイドルとして推したいと思えるのはハートである。振りコピし比べると各チームでのダンスは確かに異なり、前者はキレが多く頼もしさすら感じれるほどだったが、後者はその点では欠けるもののアイドル特有の可愛さ溢れたダンスで共に素晴らいものであった。

一言コメントはライブ中に気になった子が見つかったものの担当カラーを押し出さない感じの衣装なので検索も難しいという。あとは本グループに限った話ではないが、Twitterと実物が似つかわないアイドルがどちらかというと多いので、たとえグループ名で検索して片っ端から画像見たとしても結びつかないという。なので諦めていたが。

帰宅してTLを漁っていると偶然にも発見してしまった。振りコピした際に得られた個性や表情からして間違いなくこの子だと。顔立ちとしては、レディキスの佐々木とatMEの園崎を足して割ったような感じで、推したらきっと楽しいんだろうなぁと思いながら、現時点で正式な推しとして選定している20名を羨みを以って見つめるのであった。

 

 

 

「07」モエギノジノム「レスを飛ばす虚を突く天使」

この言葉は昨年の9月、藤方実穂がまだきみだけこときみがわたしだけのおうじさまだったらに所属していた時期に渋谷クアトロに参戦した際の参戦レポのタイトルとして用いたものである。ちなみにその記事はこちら。「虚を突く若き天使

彼女同等と言ったらそれは過去の筆者を否定することになるので一応違うものだと念のために言っておくが、ただ天使にも似る王道な可愛さは、本グループの天音にも言えるのではと思う現在の筆者である。ちなみになぜレスが飛んできたのかというと、精度良く振りコピしていたので。別にそう難しいダンスではないので振りコピ自体は難しくないものの、そうなると今後は集中力を持続させて如何にミスを減らすことが求められるかと。

直近の参戦頻度の高さからして正式な推しに追加してもいいと思うのだが、やはりグループ全体としてはまだ成長の余地があるからこそ、安易に追加するのは違うような気がしてくる。筆者も高みを目指して日々精進せねば。

 

 

 

「08」アイスクリーム夢少女「JK感を活かす衣装は秀逸」

今回念願の初参戦。後続のアイドルでそう高評価な印象でなかったら、本グループのそのプロデュースの秀逸さを褒めようと思っていたので。本グループは結成自体は一番新しいものの、所属するメンバーの中には元々天空アイランドに所属していたメンバーがおり、似た雰囲気や個性の子を集めて一つのグループの方向性として確立させるという、複数プロデュースする事務所ならではの戦法ではあるが、ここまで完成度高いものだと天晴れだと言ってしまいたいぐらい。振りコピも楽しかったし。

ただ、この時間帯はちょうどBELL AGENCYの出番が迫っているタイミングで、場内に徐々に地蔵が殖えていたのが勿体なく感じた。地蔵をも魅了できない彼女たちを嘆いてではなく、壇上の凝ったステージで魅せるアイドルが正面にいるのに顔を俯かせて興味を示せない地蔵を嘆いてのことである。専門性を失ってしまうほどに一番に愛する者から目を逸らしてしまうのは確かに良くないかもしれないが、しかしそれは対バンで出る他のアイドルに関心を全く示してはいけないという理由とはならないはずだ。

 

 

 

「09」K+RANK’IN「左手を静止させた振りコピ」

グループ名を聞いて真っ先に思い返すのは、テンシメシ新体制御披露目を兼ねたユメライブ対バン。場所は渋谷ストリームホール。最近できた箱でその開拓を兼ねたものであった。その時の参戦した感想としてはそう良いものではなかったが、一応その記事のリンクを示しておこう。「STREAM開拓!!

そんな印象なのでここはドリンク交換するしか、と思ってメロンソーダを注文。飲みながらフロアを見渡してみると、左脇の死角が空いているのを発見。しかも専ヲタがいない。これは振りコピをして柱の脇から見えるアイドルを少しでも笑顔にできれば。もちろん彼女たちからして赤の他人であることは否めないのだが、しかし空疎にライブをするのは本当に堪えるものだと、専ヲタ時代に近く寄り添って応援した身だからこそ、それは痛いほどわかっている。半分ほど中身が残ったプラカップを持ったまま移動。

そこで新たな楽しみ方ができることを発見。これは左手を封じた振りコピをする良い機会なのでは。しかも間近でかつ対象となるメンバーはほぼ単独だ。あとは如何に精度良くこなせるか。自称振りコピ師の身としては、妥協の許されない挑戦であった。

実際のところ、問題無く真似ることができた。やはりここまでの体慣らしは相当プラスに働いたようで、体力面でも余裕を持って取り組めた。

そんな最中、盤面を揺らがすほどの事態は発生していた。

 

 

 

「10」COLOR’z「控える脇への無銭接触に異議」

確かに筆者の居た位置は、脇で出番を控えるアイドルが見えたかもしれない。ただ、筆者の矜持としては、アイドルはライブ中と物販中のみ応援すべきだと思っており、冒頭に記したことに反するかもしれないが、自分の中ではフライヤー配りは微妙なラインである。アイドル自ら行っていることとはいえ、しかし本来必要な活動かというと全員そうとは限らない。大事であることに変わりは無いが、果たして筆者ほどにアイドルを熟知している者が介入していいのか、いや、すべき場なのかというと難しい問題だ。

そんな想いを抱いているからこそ、本専ヲタが脇に控える本アイドルに何度か接触を試みようとしている様は非常に見苦しいものであった。確かに筆者は強く愛する者に対しては高いハードルを設ける傾向がある。そんなに厳しく評価しなくても、と思う読者がいることは想像に難くないし、筆者自身過去の記事を読み返してしばしば思うところである。ただ、他を差し置いて強く愛するからこそ、そこには相対的に上に立つからこその多角的な強さがあってほしいと願うのは今でも変わらない。それはアイドル自身に限らず、運営やファンにも求めてしまうことだからこそ、正直なところ、タイトルに示した蒼を担う彼女もなんとも微妙なラインである。物販までは下回っている昨今なのだが、わずか数分の会話で全てリセットさせてくるのが彼女の強さだと思えてならない。気付けば彼女へと内容が移ってしまっているため、このあたりで本グループは切り上げるとしよう。

 

 

 

おかしいな…、次の手番は白って言っていたよね…?

青はパスしないといけない盤面だからって言っていたよね…?

どうしてなの。気付かないうちに私が打てない盤面になっているなんて。

 

 

 

ライブ中の彼の表情。確かにそう笑顔ではなかったけど。

一番に好きになったって言っていたよね? あの言葉は嘘だったの?

どう足掻いても勝てないなんて。もう負けを認めるしかないの…?

 

 

 

ここまでの他の現場と比較しても、明らかに動員は多い。

しかし、それでこの火力か。早い時間から会場入りしておいて。

他の現場に対して、そう興味を示さずにいるからには。

相当良い現場だと思わせてほしかった。希望的観測なのは承知していたが。

 

 

 

「11」アストレイア*「女々しさを満たす超王道な振り」

そこまで大箱対バン頻度は高くない。事務所内定期公演を軸に活動し、見方によってはそこで完結しているからこそ、筆者が本現場にそう頻繁に参戦できるものではない。ただ、本グループの方向性である「超王道系正統派アイドル」は地下から徐々に減りつつあり、ここまで可愛く攻めるアイドルは皆無に近い。だからこそ、本グループの振りコピは初めてではないものの待ちに待ったものであり、振りコピを続けるうちに感極まった感情へと化すのもそう理解の難いものではない自己分析だ。

淡雪も輪舞も封じた今回のセトリであったが、そうなると王道感がさらに増すものだ。加えて、17時半という早めの時間、周囲は十分にスペースがあり、ここまで振りコピで楽しめるのは願ったり叶ったりで著しい歓喜に満ちていた。終盤では白担当のキアラからたくさんレスが飛んでくるから本当に楽しかった。彼女を推すことで覚醒した人格を満足させるには本グループのダンスが一番効くように思えてくる。

 

 

 

「12」HOT DOG CAT「間隔を計算した振りコピ」

本グループのTOもまた、厳しいハードルを設ければ、もっと他現場に貢献できたのではと思えてしまう。本現場を離れてしまえばそう有能ではないと結論づけたからこそ、本現場のみ強く応援することに同意できなかった。そう大きな声では言えないが、本グループに限らず、こういった専ヲタの振る舞いで推しの優劣を判断していることは否めない。

ただ、入場直後の彼女たち、特に彼女のあの様子からして、サイリウムを燃やさない、つまりライブを観ていることを示さないわけにはいかなかった。ただ、前述の通り、筆者のプライドからして加勢はしたくないし地蔵にも堕ちたくない。となると、選ぶべきは両手サイリウム持ち振りコピ一択であった。この場合、自明ではあるが素手での振りコピよりも幅を要する。しかし徐々に場内に人が増えていたため、他人に迷惑をかけないよう留意する必要があった。そのため、このような一言コメントに至ったのである。

振りコピしてて思ったのは、地下アイドルの一般的なダンスよりもターンが多い。どうしてターンについて特筆したいのかというと、振りコピする側からして、ターンは一時的にステージから目を離す必要が生じるためである。そのため、適切な速度での回転、そして向きを予想できなければ、本グループのダンスは制せないものである。

 

 

 

「13」S-CARAT「妖艶と熱気の共存」

近日の参戦としてはキネマ倶楽部が挙げられる。初見に近い参戦だったが、予想に反して盛り上がりが素晴らしい記憶だ。そして今回も、その盛り上がりは失われることなく非常に楽しめるものであった。大いに感謝したい。

本対バンではライブを撮影する運営が多いように感じた。本運営も撮影していたのだが、地下アイドルではそう見受けられないようなダンスに特化した運営がいたのが印象的だ。確かに振りコピしてて、他のアイドルのダンスとは一線を画しているのは明白であった。単純に動きを真似るだけでは、それは真に振りコピできたことにならない。そのダンスを以って何を伝えたいのか、楽曲をどう引き出したいのか、そんなダンスの根本を彷彿とさせてくれて、一段と振りコピに専念する筆者であった。加えて合間に力強く声援を飛ばすという追い込みよう。体力は既に半分を切っていたからこそ、妥協するわけには。

最後になってしまったが、新規に対して無料チェキというメンバーの提案をその場で許容するという(前述とは別の人だが)本運営の粋な計らいもまた天晴れであった。結局彼女たちと交流したのは会場を去る時点でのフライヤー配りであったが、振りコピしてて楽しかったことを伝えられたから悪くなかったかなといったところ。

 

 

 

「14」Sistersあにま「タイテに救われたレス」

振りコピに集中し、声援を強く飛ばし、一気に疲労に襲われた。タイテを見返し、どうにか休憩できないかと思ったものの、前述の理由から今回はCOLOR’zの物販には行きたくないし、近日の人気っぷりからアストレイアが回収できるか微妙なラインであった。会場を去ろうとドア付近でタイテ画像を見返してそうわずかに落胆していた最中、ふと足元に落ちていたフライヤーに気付いた。拾ってみると、それはホトキャのもので、前述の通り今回は他事務所アイドルがメインであったからこそ、アウェーな彼女たちに対して、過去の自身を思い返して一層同情の念が湧き、反して本グループは近日順調に人気を得ている。あまりにも対照的だと頭を抱える中、果たしてどうすべきかと思い悩んでいた。

「次回参戦するのは来週の渋谷クアトロかな」

そういえばそう彼女には伝えたんだった。物販はタイテ的に厳しいのは十分に把握していたからこそ、せめてライブ中だけでもここにいることを伝えられればいいか。それに、如何に本グループが知名度的に羨ましい状況であったとしても、彼女への愛を途絶えさせていいという正当な理由とはならないはずだ。結果的に途絶えるかどうかはとりあえずこの15分、サイリウムを燃やして応援してみればいいか。もし他のファンで済むほどであれば私の要は相対的に薄いのだと。我儘かもしれないが、そんな想いで応援してみた。

どの楽曲かは思い出せないが、明らかにレスが多く飛んできて、そうか、ここまで無視されない存在になったのかと、その時点では複雑な想いであった。

 

 

 

「物販1」HOT DOG CAT「白」白河陽奈「ツイート直後に即追加します」

今回の対バンでは正式な推しは6組。そのうち回収に至ったのはわずか3組。当初の予定として、タイテ的にも一番に回収すべきなのは彼女だと強く想っていた。

しすあにライブ直後、予定通りに物販ブースに行くと、そう混んでいなかったのでこれは回収できると半ば嬉しく思いながら昔と変わらずに購入し撮影待機列へ。TOの影響なのか、彼女が一番人気という状況であった。

斜め左で物販を行うアストレイア。どうにか回収できないかと思いながらも、あのメンバーの配置だとチェキ券購入の動線が無いなぁと激しく嘆きながら、いやでもどこかのメンバーが空けばメンバー伝いで購入できるかもしれない、それに物販時間だって数分ではあるけど最後に回収できそう、あとはここの物販を上がるタイミング次第、と熟考していたらいつの間にか出番が回ってきたので若干慌てて撮影。

上述の通り気持ちは既にアストレイアでいっぱいになっていたものの、彼女を前にして様子がおかしいことに気が付いた。入場時点よりも哀し気だ。同様に明るく振る舞ってみながら、話題をどうするか迷い、許容レベルで、本グループは伸び盛りだという話題へ。さすがにその場では、本対バンでアウェーな状況であったことは言わなかったため、精一杯の軌道修正の結果だ。そしたら彼女はどうにか笑顔になってくれたものの、若干目が潤んでいた。何気なく尋ねてみると、ライブも物販も最近来てくれなくて、見てくれたとしても途中で帰られて本当に寂しかった的な内容。そうか、そこまで本グループは窮地に立たされているのか、と思いながら、未だに忘れられること無い存在なのだと有難く思いながら、当初の予定通り、正式な推しに復帰させることを伝えて終了。

思い返せばちょうど一年前とかはにれのき野外に出ていた頃で確かに強めに応援していたから、それは堪えることなのは違いないのかなと自省しつつ、失った時間を取り戻すためにも今後愛していければ。少なくとも、必要としてくれる者に貢献したいからこそ。声援や現場など二の次だ。如何に大切に想い合えるか。それが、応援の本質だ。

 

 

 

「物販2」アストレイア*「白」筒井キアラ「Twitterは(当然)フォロー済」

タイミング良くホトキャの物販を上がれたので、メンバー伝いにチェキ券購入。しかもキアラを通してでこれは良い回収になると勝機を既に見出していた。

撮影して、一応ライブは何回か見ていることや、振りコピが本当に楽しかったことを伝えたぐらい。最後にTwitterフォローしてねと言われたもののだいぶ前にフォローしたし一時期正式な推しに選定していたぐらいに想っていた存在ではある。

 

 

 

「16」つぼみ大革命「これが玄人というもの」

参戦直後のまとめツイートではダンスについてそう深くは取り上げていなかったのでここで書いておこう。本対バンでダンスで素晴らしかったグループを3つ挙げるとするならば、アストレイアとS-CARATとつぼみである。

アストレイアは前述の通り、王道可愛いダンスが軸であったことが大きな特徴だが、そこには最低限のキレや体幹などのスキルが欠かせない。ダンスを昇華させるというのは、スタイルの良さやメンバー自身のかわいさだけでは不十分だからこそ、それらを有しておりかつ適度なダンス力によって実現させているのは巧みの技だ。

S-CARATもまた既に記したが、アイドルの領域に収まらないとも思えるような難しさがあって、妖艶さはメンバー自身ある程度あったとしても、楽曲そしてダンスによって、今度は彼女たち自身を如何にライブ特有の魅力を付与させられるかという、ある意味自身との対峙であって、狂い無くこなす姿は観ていて清々しいものであった。

そして本グループのダンスはというと、大人数でカラフルでそれだけでも見栄えはあるのだが、個性を全面的に押し出して、怖気を少しも感じさせないほどの度胸の強さ。ステージに立って歌って踊っているのは間違いなく私たちなのだと、そんな私たちを観てほしい!という力強さは彼女たち特有の魅力であり、今後より一層多くの者に認められ、そして愛されてほしいのだと陰ながら願うのであった。

 

 

 

「17」エルフロート「一瞬に捧げる熱意が強く同意」

彼女への物販を阻むほどの熱気溢れるライブを実現させてくる素晴らしいグループである。

SE時点での場内は予想を覆すもので、先日のバタフライエフェクトな動員を強く否定するような幅広い動員であった。次の時代に必要だと筆者が抱いている、女子ファンを如何に獲得し動員できるかという点では間違いなく素晴らしかったのだが、それだけでなく、十分なサイリウム量や応援の熱気。そしてそんな場内に応えるかのような秀逸なセトリ。胸を張って、自慢の推しだと太鼓判を押せるアイドルである。

 

 

 

TEARSライブ開始数分。動員の多さと場内の声援火力。

エルフの方が良かった。もはや体力も限界に近い。そういえば、まだ時間はあるはず。

サイリウムを消して、私はフロアを急ぎ足で去るのであった。

 

 

 

「物販3」Sistersあにま「青」渡辺もも「回収直後の疑似的な浮遊感」

物販時間は残り5分。やはり彼女の物販人気はこの日も強く、もはや何度も見た顔ぶれで、参戦直前の彼女のツイートでは「独占できるチャンス」みたいな文言が書かれていたからこそ、彼のその場を一時的とはいえ台無しにしてしまうのは。ハロー効果とはファン側だけでなくアイドルにも大方言えることであるからこそ、おそらく彼女だって筆者の物販回収は望んでいなかったはずだと、執筆する今冷静に考えればそう思われる。本運営だって、ギリギリになってチェキ券を購入する筆者をそう快くは思っていなかったはずだ。別に病んでいるわけではなく、冷静に分析した結果で、そんな分析に沿わない行動をしてしまったことは、そう深く引きずるつもりは無いものの、いずれにしろらしからぬ失態であった。今まで何度も、自身の行動は他者への配慮が軸にあったからこそ、今回の行動選択は果たして正しいものだったのかと、安易に首を縦には振れない。

気付けば物販終了時間でも待機列に身を置く筆者の姿があった。もう終わっているのに、どうしてここまで彼女と話すことを望んでいるのか。自分でもわからないまま、彼女との会話は始まった。来年から就職すること、ライブ中のレス、物販終了時点での回収など多々話してしまったことも多少の悔いは残る。それでも回収して良かったと当時の筆者は思っていたらしく、一言コメントのように著した次第である。

盤面を用意し白を担う対戦相手を設けたのは、結局のところそんな現状から筆者をどうにかして遠ざけようとする試みだったのかもしれない。彼女を超えるほどに愛せる存在が浮上すれば自然と忘れられるのかもしれないと思うと、やはり既に緑へと変わってしまった桜の木を縋るように見つめてしまうものだ。

だから急に回収するなんて。結局は誰も笑顔にならないのだから。非現実性の強い世界だからこそ、もはや自身の空想こそ真実味を帯びてくる。様々な事象をこの世界で見てきたはずなのに、どうしてこうも過ちを繰り返してしまうのか。半ば強制的ではあるが、次回の参戦はあえて出演しない対バンを選定し今回のような可能性は潰しておこう。タイテをも、もはや無力と化してしまうからこそ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てのマスが満たされないまま、蒼石しか置かれない盤面を私は見つめていた。

一時的かもしれない。ただ、それでも、彼女の存在を記憶から抹消できれば。

私は盤面を真下から見上げてみた。当然、全て白石に見える。

縋るほどに、彼女は涙を堪えて再会を喜んでくれたから。

それこそが価値の真髄だと。そしてスケジュールを再確認するのであった。

 

 

 

結局は後悔が強いような内容と化してしまった。強ち間違いではないが。

いずれにしろ、次回の参戦は彼女と会う可能性は無い。皆無だ。

偏って強く愛してしまった。自戒と考えれば正しい選択とも思える。

彼女の真意はわからない。それでいい。もはや、もう十分愛せた気すら感じられる。

ただ、どうしてだろうか。少し寂しい想いが込み上げてくる。

思い返さねば。過去の自身の行動。今もなおこの世界に残り続ける理由。

そして、本対バンに「覚醒」という単語が入っていること。

これは、地下アイドルファンとして覚醒するために必要だった対峙なのだ。

特定の他者を深く愛することが主目的ではないのだと。

何度自分に言い聞かせれば、彼女を忘れられるのか。

既に一万字を超えている。強制的に書き終えればきっとこの複雑な胸中は治ると信じて。

 

 

 

その時、脇に置いていたスマホの通知に気付いた。

彼女からのリプが。このタイミングで。そんな馬鹿な。

気付けば、何度か文面を目で追っていた。そして。

表には出なかったものの、心の中では微かな涙が。

7月初日。約束通り会いに来てくれたこと。

そして、時間や金銭を捧げてくれることに対する感謝。

ここまで大切に想ってくれているとは…、いや、そんな自惚れなど。

そこで、とある人格が救いの一手。アイドルとファンという仮定を敷いてくれた。

そうか、それなら腑に落ちる。どうにか理解は可能だ。

 

 

 

執筆を始めて既に3時間は経過していた。しかし、自然と疲れは感じない。

ただ、これ以上記して、この心情の変化を薄まらせるのも違う気がする。

もっと素直になっていいんじゃない? そう同期の彼が教えてくれたように。

彼女に対してなら、そんな立ち回りも悪くないかもしれない。

計画通り、分析通りに行動するのが必ずしも最適とは限らない。

蒼く染まった盤面を見返して、私はもう一つ蒼石を置くのであった。

そして、幸福感に満たされつつある中、彼女へとリプを返すのであった。(13633字)