13日、このお盆はお客さんも来ないし、実は普段からだれも来ませんが、時間はあるしで、今日も酷暑の中作業しました。
シャーシ板の切り出しです。今回は1.2ミリ厚みにしました。これでも1.0ミリよりは剛性を感じます。
切り出したい形状にケガイて、カッターで表裏から切込みを2度ずつ入れます。1.2ミリなので2回で充分です。
ワークベンチの上に置いて、上から角材で挟みます。
ここで加工の心強い友だち、C型クランプの登場です。
折り曲げ部分を、挟んだ板より少し出します。2ミリ程度。台座と角材の板はもちろん、ツライチで揃えておきます。この辺りをいい加減にすると曲げ位置がおかしくなり、きれいに曲がりません。ピタッと揃えます。シャーシ加工は全てに精確さ、丁寧さが必要なのです。もちろん想像力も必要です。間違いなくきれいに加工するにはどんな方法をとればよいか。もっといい方法はないか。
最初からやりかたを決めておいて、改善方法や工夫することなく、漠然と実行するのはよくありません。
頭を使うことです。
さて次はアルミを下側に抑えて、一発目の折り曲げをきめるのですが。ここでも考えます。両方の手のひらを広げてアルミを押さえると、指のところだけ力が入り、アルミ全体を均一な力で押さえることができません。場合により薄いアルミなので曲がってしまう可能性もあります。ここは道具を使うべきです。
見ての通り、角材を使って押さえると固いし、面で抑えることができます。
一発目、下側折り曲げ完了
今度は下面から上に押し上げ完了。
上下にパタパタ曲げているうちに切断できました。
同じように横方向も切断して、板シャーシの周囲を紙やすりで研磨して完成。
室内に入って、枠の中に板シャーシを落しこんで、パーツを置いてレイアウト検討です。
真空管が無秩序に置かれている印象かもしれません。
実際には、上で明いているスペースに、MC昇圧トランスを置いたり、トーンコントロール部分のパーツ実装用のラグ板を置いたりします。いつものようにラフなレイアウト・加工図面を描いてみました。
背面は黒で塗装しておきました。
明日は板シャーシの加工です。
今回は3Rで行こうと思っています。リサイクル、リユース、リデュースです。
ジャンクプリの解体前に取り付けられていたパーツの再利用です。電源トランスはもちろん生かします。
下の写真はヴォリューム用のA500KΩ・2連です。もう現在は生産されていません。
よく見てください。
センタータップが付いています。何に使うのかと言えば、ラウドネス回路です。小音量再生時、人の耳は低音を聴きとる能力が低下する傾向にあります。それを補うことを目的とした、低音部を増強するための(持ち上げるための)回路です。
現在の2連VRにはセンタータップは付いていません。よってこのVRは引き続きアンプに続投します。
問題なのは内部の接点汚れです。このあとケースの金属缶を開けて、洗浄スプレーで洗いました。
それからヒューズも続投です。何しろ加工しなくてよいのでそのままの位置に取り付けます。
ようく磨いてやります。そういえば解体するときに、中のガラスヒューズが切れていないかを見ていませんでした。
なんとなく飛んでいないだろうと思っていました。
やはり生きていました。プリアンプはそれほど大きな電流は流れず、最大でも20mA程度で、通常15mA程度です。
パワーアンプのように、出力管に過大電流が流れたり、電源トランスに突然大きな負荷がかかることはあまりないので、ヒューズも飛ぶことはそれほどないと考えています。
解体したプリアンプですが、何んとなくの想像では、完成してもベストの状態で鳴っていなかったのではないかと思います。解体して分かるのですが、前面のロッカースイッチの固定も、ガタガタの穴が明けてあって取り付けネジ穴も結構位置がずれて、手直しのあとがありました。機構面での配慮が少し薄い。長持ちさせるアンプを作るのなら、全体的に細部わたり検討することが必要なのです。折をみて、プリアンプの設計、部品配置、アースの引き回し、シールド線の使い方、アクセサリ回路の配線などを説明してみたいと考えています。
私も昔はそうでしたが、プリアンプの、性格、性状に詳しくなくて、トラブルがあっても、例えば片側音が出ないとか、切り替えると信号が思い通りの回路に流れないとか、大きなハムが発生しても何が何やらでどこが悪いのか皆目見当が付かないとか。
そうなってしまうと、折角作っても、放棄せざるを得ない状況でした。
このプリアンプもそうだったのではないかと考えます。イコライザ部あたりは格好よく配線されていました。全くの素人ではないことが分かりますが、幾分かの自信をもって配線しても、トラブルに直面すると、なかなか打つ手が分からなかったのかもしれません。ずっと使われていたような感じではないのです。
ここはひとつ、ゆっくり作りなおして、常用に十分耐えうるアンプに蘇らせようと思っています。